あなたは相手に質問をいくつできますか どれだけ真剣にきけますか 観察をしていますか これがコツです

今の考え 思考は 必ず変わります 振り返ってみれば誰でも知っています ただ 人の言うことや 社会の影響に左右されます
実際の公開ページでは回答部分が閉じた状態で表示されます。

40年間悩みを 

  • 中高年者は企業にとってとても大切な存在なのです。

    自分自身が 60代を迎えて、
    ふと事業を40年間 営んできた中で若者を
    リードしビジョンを実現させていくことに疑問を感じました。
    若物は良いところもありますが不安定であるということです。
    40年間悩みを持ち続けていたことかもしれません。
  • 最初は不安もありましたが.......

    今の自分の体力 気力 経験 を
    振り返った時に想像していた以上に充実している
    ことに気がつきました。そこで 社会を見回すと同じ60代高齢者の方々も
    同じではないのだろうか自分の若い時と今を比べると、とても充実している
    キャリアも積んでいる、この素晴らしい時期に入った人々にリストラ 定年退職.....
    大きな疑問を感じました。これからという時に.....そこで定年退職者、を募集し共に仕事をしていきました。
  • 朝礼で何千回も年金はプラス、貯金のことです

    年金は貯金プラスという
    スローガンを掲げまして、年金をあてにしない 生活。
    年金は おまけだ、将来の不安や心配を せずに修羅場を抜けて培ってきた
    キャリアと経験を生かして.....お互いの尊重尊厳を認め合いまだまだこれからだ、
    60代は70代の準備期間と毎朝朝礼で何千回も話しスローガンにいたしました。
    それはとてもうまくいきました。
  • ここをクリックして表示したいテキストを入力してください。

    ここをクリックして表示したいテキストを入力してください。テキストは「右寄せ」「中央寄せ」「左寄せ」といった整列方向、「太字」「斜体」「下線」「取り消し線」、「文字サイズ」「文字色」「文字の背景色」など細かく編集することができます。
実際の公開ページでは回答部分が閉じた状態で表示されます。

不思議なものが力を貸すと言う言い方もできると思います。

  • うまくいったらすぐに手を引くことです。

    うまくいったらすぐに手を引くことです。
    任せることです。なぜなら、そのすぐ先の角を曲がったら、驕りが待っているのです。そしてその次の角を曲がってみると、また上手くいくのです。
    同じことが、繰り返される二極性ということなのです。言葉にしますと不思議と気がついてみると、この提案は純粋な思いを表そうとする行動を不思議なものが力を貸すと言う言い方もできると思います。間違うとそこからおかしくなってゆく人もいるのです。
  • ここをクリックして表示したいテキストを入力してください。

    ここをクリックして表示したいテキストを入力してください。テキストは「右寄せ」「中央寄せ」「左寄せ」といった整列方向、「太字」「斜体」「下線」「取り消し線」、「文字サイズ」「文字色」「文字の背景色」など細かく編集することができます。
実際の公開ページでは回答部分が閉じた状態で表示されます。

リストラ定年退職、延長雇用、ビジネス

  • この言葉には冷たい響きがありますね。

    私の切なる思い願い。 70代10年間を社会貢献に捧げる気持にチャレンジです。7度目の上手くいく根拠と自信を持っているのは

    儲けようという意識が先に来ないからです。
    自分と他は同じ。親切がいちばん大切なことだとおもうのです。儲ける どうすれば みんなが注目するだろう、この心がありますとそれはビジネスです。

  • 興味がなくなって M&Aで終わり

    今まで 軌道に乗った会社を作り上げたら興味がなくなって M&Aで終わりにする。そして 次にやりたい会社を作ることを繰り返してきました。そして7回目80歳までを目標に、、、私は売上目標を達成するとすっかり燃え尽きていました。あれほど 時間を費やしたのにその満足感はあっという間に消えてしまい人生の目的を見失ってしまった気分でした。これには周りの友人もびっくりでしたあとは譲り当時は、「もうわたしの夢はかなったから、これで おしまい」という気持ち キャリアなんてどうでもいいことでしたどんなに夢がかなっても、全然満たされなかったのです。
  • ここをクリックして表示したいテキストを入力してください。

    ここをクリックして表示したいテキストを入力してください。テキストは「右寄せ」「中央寄せ」「左寄せ」といった整列方向、「太字」「斜体」「下線」「取り消し線」、「文字サイズ」「文字色」「文字の背景色」など細かく編集することができます。

中高年は働く時間.動き方がとても大切です

いろいろな方がおられました。

ミドルシニアの方々の体験を尊重尊敬し、ジャッジせず.口出しせず.観察と質問を大切にし、のびのびと自由にやってもらう、自分の 体調や 体力に応じて、出社も就労時間も自由

*両親の介護を 併用してやりたい

*3日間ぐらい集中する方が能率が上がる

*朝は早く7時頃からやりたい*夕方は2時か3時には終わりたい

*朝はゆっくり*午後からやりたい夜型タイプ

いろいろな方がおられました。こういう環境でとても大きな売り上げが上がりました。皆さんの 報酬も今まで以上に アップ いたしましてコロナの状況下でも創意工夫と切磋琢磨で成功されました。

コンプライアンス意識が高く、スピードがあり 無駄な動きは一切 せず 短時間で成果を出すという能力、 クレーム処理も今までのキャリアが大いに役に立ちまた。

 

キーボドは好きになれませんきらいです今までの起業もそうでしたが

 7度目の起業となりました。この事業を始めるにあたっての考え方や、初めてのホームページ作りに苦労したことなど、知識がなく 作ったものなのです。
一番考えたことは テキストは ひらめきですから記録するだけの簡単なことですが、そのひらめき 内容をどう 不特定多数の人事の方に理解してもらえるか、理解しやすいかこれを考えるのに随分時間がかかりました3年くらい考えていました。
周りに話しても相手にされませんでした。そのおかげで逆に自信がつきました。
方向がが決まったら後は作業です。その作業もこの部分をここへこう言葉を変える などと…

興味深いとの回答をいただきました。
コンサルティングという言葉は好きではありませんが…

これが「お役に立てるかもしれない!!」として発足したわけです。

経営者 ・各銀行のビジネスサポート分野.大学研究機関専門教授
厚労省専門部署で率直な意見をお願いしましたところ、驚くと同時に非常に
興味深いとの回答をいただきました。

 

Step
1
見出し
ここをクリックして表示したいテキストを入力してください。テキストは「右寄せ」「中央寄せ」「左寄せ」といった整列方向、「太字」「斜体」「下線」「取り消し線」、「文字サイズ」「文字色」「文字の背景色」など細かく編集することができます。テキストテキストテキストテキストテキストテキストテキストテキストテキスト...。テキストテキストテキストテキストテキストテキストテキストテキストテキスト...。テキストテキストテキストテキストテキストテキストテキストテキストテキスト...。

その動機が結果を左右します

私は「他社にならってジョブ型を導入しましょう」「働かない社員は排除しましょう」といった今の風潮には疑問を感じています。
企業は目先の給料や労働分配率だけを見るのではなく、長い目で企業が成長するための人材育成をしていくべきです。
真の問題はどこにあるのか、何のためにジョブ型を導入したいのかをはっきりさせることが先決です。

見出し

🎈ジョブ型雇用とは?|メンバーシップ型との違いやメリデメなど解説 ジョブ型雇用とは「仕事」に「人」を当てはめるという考え方を基本とした雇用形態のことです。ジョブ型雇用では、仕事内容や就業場所、責任範囲や評価基準、報酬などの職務内容をあらかじめ提示し、この職務記述書にもとづいて雇用契約を結びます。職務記述書に記載されていない業務の指示や、就業場所の変更などは基本的には認められません。 ジョブ型雇用の目的は「仕事に必要な人材を雇用する」こと。企業側だけでなく従業員側にもメリットがあります...     ここからしたジョブ型業務委託メリットデメリット業務委託やってる会社人事高齢者の方へジョブ型雇用とは?【メンバーシップ型との違い】メリデメ2023/06/05部下を育成し、目標を達成させる「1on1」とは?スペシャリストを確保したい企業を中心に導入が進められています。目次 [表示する]


1.ジョブ型雇用とは?ジョブ型雇用とは、職務内容を明文化して従業員を採用し、仕事の成果で報酬を決める雇用制度です。ジョブ型雇用では、仕事内容や就業場所、責任範囲や評価基準、報酬などの職務内容をあらかじめ提示し、この職務記述書にもとづいて雇用契約を結びます。職務記述書に記載されていない業務の指示や、就業場所の変更などは基本的には認められません。従来、日本企業が採用してきた「メンバーシップ型雇用」とは制度として大きく異なります。部下を育成し、目標を達成させる「1on1」とは?2.ジョブ型雇用が注目されている背景ジョブ型雇用はすでに浸透しつつありますが、近年また注目されるようになったのは、2020年に経団連(一般社団法人日本経済団体連合会)が「2020年版経営労働政策特別委員会報告」で「メンバーシップ型の雇用を見直すべき」と公表したためです。そのほかには、2020年4月1日に施行された「同一労働同一賃金ルール」で「同じ仕事内容ならば同じ賃金を支給する」と定めたことや、テレワークでは評価基準を成果に切り替えたことなどが挙げられます。部下を育成し、目標を達成させる「1on1」とは? 効果的に行うための1on13.職務記述書(ジョブディスクリプション)とは?職務記述書(ジョブディスクリプション)とは従事する職務内容などを記載した書類で、雇用契約を結ぶ前に企業が求職者へ提示します。記載項目には以下のものが挙げられ、なかには業務を問題なく遂行するために必要な項目も含まれているのです。ポジションや役職職務目的職務責任職務内容および範囲スキルや資格、経験年数 など4.ジョブ型雇用のメリットジョブ型雇用の目的は「仕事に必要な人材を雇用する」こと。企業側だけでなく従業員側にもメリットがあります。企業側のメリットジョブ型雇用では、企業は求める人材を職務記述書で明確化して採用するため、採用活動や人材育成などでメリットを得られるのです。専門性の高い人材の採用職務記述書で業務遂行に必要なスキルや資格、経験年数などを明確にしているため、条件に合致する、業務に適したスペシャリストを採用できます。企業にとっては、人材育成コストの削減と業務効率化の両面において大きなメリットを得られるのです。雇用のミスマッチ防止職務内容や勤務地などを雇用前に限定しているため、採用後に「希望していた仕事と違う」という理由での退職を防げます。メンバーシップ型雇用では、欠員が出たときなどに担当業務の変更や転勤を命じられることがありますが、ジョブ型雇用ではそのような人員配置ができないからです。ミスマッチが起こりにくいため、採用コストの削減にもつながるでしょう。優秀な人材の育成ジョブ型雇用従業員は人材育成においても効果的です。ジョブ型雇用では求められる役割や責任、能力などが明確であり、仕事の成果が評価や報酬につながります。業務遂行に必要なキャリア形成やスキルアップなどに対して意欲的に取り組みやすいと考えられます。能力の高いジョブ型雇用従業員にマネジメントなどの研修を取り入れると、次世代のリーダーとなりえるでしょう。従業員側のメリット従業員側の大きなメリットは、自分の能力を活かせる仕事に専念できること。評価の基準が成果であるため、報酬が年齢や勤続年数などに左右されない点もメリットになりえます。能力を最大限に発揮ジョブ型雇用従業員は、自分のスキルや専門性を最大限に発揮して仕事に取り組めます。各部門のジョブ型雇用従業員が各々の仕事に専念して成果を上げれば、業務効率や生産性の向上につながります。経営課題の解決や業績の向上などが実現しやすくなるでしょう。評価基準の明確化ジョブ型雇用従業員の評価は、職務記述書に記載された業務を遂行し、求められている成果を上げることで決まります。メンバー型雇用の評価では、上司や人事の主観が含まれたり、人柄や価値観なども加味されたりすることも少なくありません。ジョブ型雇用の評価基準は従業員にとっても基準が明瞭であるため、成果アップへのモチベーションにつながるでしょう。専門性やスキルに応じた報酬の獲得ジョブ型雇用の報酬額は人材市場も考慮して決定されるため、従業員の専門性やスキルが報酬に影響します。年齢や役職などは評価や報酬の基準に含まれません。スキルアップするほど高い報酬を得られるのです。社内ではより高報酬の仕事を遂行できるようになりますし、キャリア形成のための転職などもし🎈5.ジョブ型雇用のデメリット日本で多く取り入れられているメンバーシップ型雇用と比べると、対極的ともいえる雇用制度です。企業側と従業員側には、メンバーシップ型雇用にはないデメリットが生じます。企業側のデメリット企業でジョブ型雇用を導入した際には、人材の硬直化人材流出雇用時のトラブルなどのデメリットが想定されます。柔軟な人材の配置換えが困難ジョブ型雇用従業員は職務や就業場所が変更できないため人員配置に制限が生じてしまい、柔軟な対応が取りにくくなります。たとえば増員や欠員補充が必要になった部署やチームがあっても、ジョブ型雇用従業員へ異動や転勤などを原則命じることができません。事業の縮小や撤退などで部署や部門を廃止する際に、ジョブ型雇用従業員は人員整理がしにくくなります。合意形成が不十分だった場合のトラブル職務記述書の記載内容が不十分なまま雇用契約を締結させてしまうと、のちにトラブルに発展する恐れがあります。「職務記述書に記載されていない業務をやらされた」として、従業員の不満や、最悪の場合は訴訟への発展が懸念されます。業務内容などに変更が生じる場合は職務記述書を更新し、再度合意を得る必要があります。人材流出のおそれジョブ型雇用従業員は、自分の専門性や能力をより高く評価してくれる企業へ転職してしまう可能性があります。特定の職務に従事してスキルを高めた従業員は人材市場価値が高まりますし、ほかの企業も高い報酬を提示して確保しようとするでしょう。キャリアアップや、自社では実現できないスキルアップを希望して他社へ転職してしまうケースも考えられます。従業員側のデメリット働く側のデメリットには、教育の機会長時間労働解雇などが挙げられます。いずれも職務や勤続へのモチベーションが大きく低下しかねません。積極的な自己研鑽が必要ジョブ型雇用従業員は、研修や教育が省略される傾向にあります。「職務を遂行できる専門性や能力を持っている」という条件で採用され、入社後は即戦力とみなされるからです。異動なども行えないため、ジョブローテーションの対象にもなりません。ジョブ型雇用従業員がキャリアアップや報酬アップを目指すには、自主的に学習やトレーニングを積んでスキルアップする必要になるケースもあります。労働時間に対し業務量が不相応成果が評価の基準であるため、ときに労働時間と業務量のバランスが崩れることがあります。「あきらかに勤務時間内に終わらない業務量である」や、「期日までの期間が短すぎて残業しなければ間に合わない」といったケースが考えられるでしょう。このような状況が続いてしまうと、離職や転職してしまいかねません。ジョブ型雇用従業員であっても適正な労務管理が必須です。解雇リスク職務記述書に記載された職務に専従するため、その職務が無くなると解雇される可能性があります。たとえば事業の縮小や撤退などで人員整理が必要になった際、ほかの部署へジョブ型雇用従業員を異動するなどの対処ができないのです。ただし企業が従業員を解雇する際にはさまざまな条件が設けられているので簡単には実施できません。🎈6.ジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用の違い特定の職務に従事するジョブ型雇用に対して、メンバーシップ型雇用は職務内容や勤務地の制限がありません。たとえば新卒者をメンバーシップ型雇用で採用した場合、社内研修などで適性を見極めて最適な職務が割り振られます。しかしその職務にずっと従事するとは限りません。部署異動や転勤といったジョブローテーションや研修などを行って、リーダーやマネージャー、役員などへ育成していくのです。メンバーシップ型雇用のメリットメンバーシップ型雇用は基本的に終身雇用を前提としています。部署や部門を変更できるので、ジョブローテーションなどを取り入れた長期の人材開発がしやすく、事業の縮小や撤退などがあっても雇用を継続しやすい制度になっています。企業は柔軟な戦略人事が実現でき、従業員は安定した収入を得られます。メンバーシップ型雇用のデメリットメンバーシップ型雇用のメリットは、一方でデメリットにもつながります。「簡単に解雇されない」という安心感から、従業員の向上心やモチベーションなどが低下する恐れがあるでしょう。年功序列型賃金制度もあわせて取り入れている場合、企業はそのような従業員にも勤務年数に応じた賃金を支払わなければなりません。一方従業員側は、会社都合の異動や転勤、残業などに応じなければならない点がデメリットといえます。7.ジョブ型雇用の導入事例日本でもジョブ型雇用の導入が進んでおり、大手企業だけでなく中小企業やベンチャー企業などにも広がりを見せているのです。ここでは大手企業3社の事例を紹介します。

🎈株式会社日立製作所総合電機メーカーの株式会社日立製作所ではグローバル人財マネジメントを実現するために、2021年4月からジョブ型雇用人事制度を運用開始。主な施策には以下の3つが挙げられます。デジタル分野に特化した人材の採用職種別採用即戦力となる経験者の積極採用職種別採用とは、新卒者が応募時に希望職種を選択でき、入社後はその職種へ配属する取り組みです。ほかにも全職種の職務記述書を作成し、2024年までに従事する従業員へ必要なスキルを習得する機会の提供という取り組みも進めています。参考NEXT CAREER STORIES株式会社日立製作所参考対談 「ジョブ型雇用」とこれからの人財マネジメント その1 「ジョブ型雇用」の定義株式会社日立製作所🎈富士通株式会社電子機器メーカーの富士通株式会社は、2020年にジョブ型人事制度を導入。対象は幹部従業員です。報酬の基準として7段階の「FUJITSULevel」を設定し、売上や目標達成度、影響力や専門性などによって評価します。同時にジョブポスティング(社内公募制度)も改定しており、レベルを上げるために必要であればポジションの移籍を可能としています。参考富士通と従業員の成長に向けた「ジョブ型人材マネジメント」の加速富士通株式会社🎈KDDI株式会社大手通信事業者のKDDI株式会社は2020年8月にジョブ型人財マネジメントを導入。労働時間ではなく成果や能力、チャレンジなどを評価の対象として報酬を決定します。ジョブ型雇用でありながら、グループ企業などを利用した人材育成を取り入れている点が特徴です。2021年4月に入社する新卒従業員からは、一律としていた初任給制度を撤廃し、能力に応じた給与体制を導入することも決定しています。参考KDDI版ジョブ型人事制度KDDI株式会社8.ジョブ型雇用を導入する際の課題企業にも従業員にもメリットがあるジョブ型雇用の導入を検討している企業も多いでしょう。しかし、職務記述書の作成が難しい採用活動の効率が低下する適した人材が見つかりにくいなどの課題があります。職務記述書(ジョブディスクリプション)の作成ジョブ型雇用を導入する際は、職務記述書の作成が不可欠です。しかし企業によっては、職務記述書を作成するのが難しいでしょう。職務記述書を作成するには、部署やチームなどが現場で行っている業務や責任、遂行に必要なスキルなどを洗い出し、人事部や経営層がこれらを把握しなければならないからです。多くの人手と時間を要するため、これらの作業をやりたくても実行できないという企業も少なくありません。新卒一括採用との非親和性ジョブ型雇用への移行やジョブ型雇用従業員の割合を増やすと、メンバーシップ型雇用の採用活動と比べて効率が悪くなる可能性があります。たとえば新卒者は応募の際に職務記述書の提出が求められるようになり、人事担当者はそれぞれの適性に合わせた人材配置を考えねばなりません。中途採用の割合を増やす場合は、通年的に採用活動を行う必要があります。人材の確保メンバーシップ型雇用の企業が多いと、ジョブ型雇用に適した人材が獲得しにくいという課題もあります。独立行政法人労働政策研究・研修機構の「データブック国際労働比較2019」によると、20年以上勤続している労働者の割合は、日本は全体のうち22.5%を占めています。一方のアメリカは10.3%。ジョブ型雇用が普及しているアメリカでは、キャリアアップなどで転職することが一般的なので、転職市場で優秀な人材を調達することが可能なのです。しかし日本ではまだその域に達していないといえます。ジョブ型メリットデメリットその意味  現状ジョブ型 🎈「高年齢者雇用安定法」改正…定年後の働き方はどう変わるのか  ジョブ型にすると、働かない社員の給料を下げられる?・問1 ITに詳しい人材を特別な高額年俸で採用してもいいですか? ・問2  「こんな安月給では結婚もできない」と若手がぼやく ・問3 ジョブ型にすると、働かない社員の給料を下げられる? ・問4 職務記述書にどんな要素を入れればいいか分からない ・問5 仕事はできるが、勤務態度が悪い古参をどう処遇すればいい? 新卒一括採用、終身雇用など日本企業の代名詞とされるメンバーシップ型雇用。これに対して、欧米型のジョブ型雇用は、ジョブディスクリプション(職務記述書)を作成し、その職務内容に基づいて必要な人をその職務内容に見合った金額で採用します 。 ジョブ型が職務に対して人を付ける「就職」であるのに対して、メンバーシップ型は、人を採用してから職務を付ける「就社」と表現すると分かりやすいでしょう。 雇用の起点が、職務ありきか、人ありきかという違いです。  そして、最近話題のこのジョブ型雇用に変更したら「働かない社員の給料を下げられるのか」と尋ねられることが増えました。 私は「下げようと思えば、下げられるでしょう」と答えています。 ジョブ型は、職種ごとに職務記述書を作成するので、「ここに定めた仕事が十分にできていなければ、今の給料は維持できない」と迫ることは可能だからです。  でも、「社員の給料を下げたいから、ジョブ型を採用するのですか」と私は経営者に聞きたい。 新しい賃金制度を導入する目的は、給料を下げることなのか、それとも社員の成長や定着を促すことなのか。自問自答してください。 また、働かない社員の給料を下げる前に、なぜ社内に働かない社員が生まれてしまったのかを考えるべきだと思います。社員の給料を下げるなら当然。社長の給料も下げて当たり前ではないですか? ある日突然、その社員は働かなくなったのでしょうか。その社員に対して、きちんと働くように会社は十分な指導をしてきたのでしょうか。 もし、働かない社員の給料を下げた場合、必ず他の社員にも影響を及ぼします。「今度は自分の給料が下げられるかもしれない」と不安になるからです。 それ以降、会社に忠誠心を持つことはないでしょう 。組織にとってマイナスであることは明らかです。働かない社員にはこう話すことをおすすめします。「あなたの本来の給料は○○万円です。○○の仕事ができるようになれば、今の給料を維持できます。給料を下げたくないので、○○の仕事ができるように成長してほしい。我々も一生懸命教えます」。 これで社員がやる気になってくれれば、社員も会社もハッピーです。 この説明をするためには、一般職、中堅職、管理職における期待成果、その成果を出すための重要業務、必要な知識・技術、そして勤務態度を明らかにしなくてはなりません。 さらに、社員の成長に連動した賃金制度もつくる。 その上で、経営者には社員の前でぜひこう宣言してほしい。  「人事制度を見直して成長基準と給料を明確にしたために、我が社では、評価と賃金の一致しない社員はもう二度と生まれない」 私は「他社にならってジョブ型を導入しましょう」「働かない社員は排除しましょう」といった今の風潮には疑問を感じています。企業は目先の給料や労働分配率だけを見るのではなく、長い目で企業が成長するための人材育成をしていくべきです。真の問題はどこにあるのか、何のためにジョブ型を導入したいのかをはっきりさせることが先決です。   







  🎈人事に関する問題は社員の採用、定着、成長の3つに帰着します。「定年後の再雇用」うまくいく人、ダメな人の差管理職で定年を迎えた人ほど早々に辞めるワケこの4月から「高年齢者雇用安定法」が改正となり、70歳までの就業機会を確保することが企業の努力義務となりました 現在は65歳までの雇用が義務化されていますが、そこからさらに5年という期間が努力義務となったことで、すべての企業ではないものの70歳まで会社に残って働ける可能性は増えてきたといっていいでしょう。 ところが現状では、定年延長どころか再雇用でも70歳までの雇用機会を設けているところはそれほど多くはありません。帝国データバンクが今年の2月に調べた結果によれば、定年を70歳まで延長するうえにしたへつずきとばすところはわずか3.4%です。 比較的多いのは70歳までの継続雇用制度を採用するところで、これは25.4%です。その他の制度を合わせても何らかの就業機会の確保を予定しているのは43.6%ですから半分以下です。さらにいえば、これは制度をつくるということであって、全員が必ず70歳まで雇用されるわけではなく、成果や能力の評価によっては雇用されないということもありえます。したがって、望めば誰もが70歳まで同じ会社で働けるというわけではありません 。70歳までの雇用をめぐる昨今の記事やコメントをみていると、「自己評価が甘すぎる」とか「自分の価値を冷静にみるべきだ」という比較的シビアな意見がみられますが、 70歳までの雇用確保への取り組みはまだ始まったばかりです。むしろ、それ以前に現在の雇用延長制度、すなわち60歳から65歳までの再雇用制度にも問題点はあります。再雇用後の仕事に「判断する業務」はない私は、自分自身も定年後に再雇用で少しの間、働いた経験がありますので、実体験からいわせてもらうと、再雇用でうまくいくかどうかの分かれ目は性格とか能力といった要素よりも、もっとシンプルな要因で決まります。結論からいえば、「現業で働いている人」はうまくいくことが多いですが、「管理職」はうまくいかないことが多いのです。私自身、定年前は管理職でしたので、60歳で定年になった後に再雇用で働き始めたものの、結局半年で辞めて自分で起業しました。 でも、これは考えてみれば当たり前の話です。現業で働いている人、例えば製造現場で作業に従事していたり、営業マンとして第一線で顧客開拓をしていたり、あるいは経理で実務をやっていたりという人であれば、自分のやるべきタスクがはっきりしています。もちろん、人によって能力差はあるものの、少なくとも“仕事がある”ことは間違いありません。 ところが、管理職のまま、定年を迎えた人は、とたんに“仕事がなくなる”ことが多いのです。管理職の仕事は「判断すること」です。でも定年後は多くの場合、管理職ポストを外れて一兵卒になりますから、管理職の業務=判断することはなくなってしまいます。もちろん、管理職としての仕事は、判断することだけではありません。自分の部門の業務をスムーズに進めるために上層部への根回しやトラブルが起きたときの対応、 部下の評価といったこともありますが、多くの場合、そういった業務はなくなります。定年後の再雇用において管理職のまま勤務を続けられるのであればいいですが、そういうケースはまだ少ないでしょう。したがって再雇用されたものの、管理職からは外れ、重要な仕事を任されることはまずありません。どんな内容であれ、自分が誰かに必要とされていると感じられれば、働くことに生きがいを覚えるでしょうが、そうでなければモチベーションは大きく低下します。では、管理職の人には定年後の再雇用においても、そのままの立場で残って働いてもらえばいいのかというと、事はそれほど容易ではありません。とくに大企業になればなるほど下から若い人がどんどん上がってきますし、ポストは限られますから、ずっと管理職のままでというわけにはいかないのです。だとすれば現在、管理職の人が60歳や65歳以降も一定の存在感を発揮して働きたいと思ったら、いったいどうすればいいのでしょう。それは「準備すること」に尽きると思います。「準備」というと、定年後に再就職や起業をするのかと思うかもしれませんが、必ずしもそうでなく、会社に残る場合も「準備」をしておくことが大切なのです。では何の準備をするのか?ということですが、それは「自分の部署が行っている業務に対する理解と知識の補充」です。「何を今さら! そんなことぐらいわかっている」と思うかもしれませんが、長年管理職をやっていると実務に関する最新の知識はわからなくなっていることが多いのです。なぜなら、実務は現場の若手がやっているからです。でも同じ会社で、再雇用で働く場合は昔と同じ一兵卒に戻るわけですから、判断する業務は不要で、実務をこなさなければなりません。したがって若手同様に現在の業務に対する最新の知識を補充することは必須です。他の部署に異動するのであれば、現在の業務の知識を覚えても無駄になるかもしれませんが、会社としても60歳以降にまったく経験のない業務に就かせて一から教育するなどということは効率が悪いでしょうから、多くの場合は現在の部署で立場を変えて仕事をすることになります。再雇用後は「老後の初心」を忘れずに働こう実務をこなすための知識を勉強し、その能力を身に付けることは欠かすことができません。「若手じゃあるまいし、今さらそんなことができるか!」という人は再雇用には向いていないと思います。いえ、再雇用だけではなく、転職にしても起業にしても素直に学ぶ姿勢がないと、おそらくどんな仕事をやってもうまくいかないでしょう。 室町時代に能を広めた世阿弥が著した『風姿花伝』の中に「老後の初心」という言葉が出てきます。60歳を迎えてから学ぶことを失わないことの大切さを説いているのですが、まさに再雇用でうまくいくために必要なことは、「老後の初心」ではないでしょうか。自分が会社に入った頃に一から学んだ業務のことを再び学ぶ、そのことに新鮮な気持ちと喜びを覚えることが再雇用で楽しく働ける秘訣だと思います。 50歳以上の社員4割の超高齢化 希望退職に続くシニア追い出し策「日本のホンダ社員に占める、50歳以上の社員の構成比が4割に上る。円滑に社員の世代交代を進めるために導入する」 これは、早期退職制度「ライフシフト・プログラム(LSP)」を導入するに当たって、ホンダ経営陣が管理職社員に向けて発信したメッセージだ。 今年4月に、ホンダは中高年社員を対象にLSPを実施。LSPは、定年より早期に辞めれば、通常の退職金に上乗せした割増退職金が加算される制度だ。早期退職対象者のうち希望する社員には、人材サービス企業による再就職支援など、転職に必要なメニューが用意されている。   「高年齢者雇用安定法」改正…定年後の働き方はどう変わるのか     さらに、社員の成長に連動した賃金制度もつくる。 その上で、経営者には社員の前でぜひこう宣言してほしい。  「人事制度を見直して成長基準と給料を明確にしたために、我が社では、評価と賃金の一致しない社員はもう二度と生まれない」 私は「他社にならってジョブ😊型を導入しましょう」「働かない社員は排除しましょう」といった今の風潮には疑問を感じています。企業は目先の給料や労働分配率だけを見るのではなく、長い目で企業が成長するための人材育成をしていくべきです。真の問題はどこにあるのか、何のためにジョブ型を導入したいのかをはっきりさせることが先決です。 
「定年後の再雇用」うまくいく人、ダメな人の差管理職で定年を迎えた人ほど早々に辞めるワケこの4月から「高年齢者雇用安定法」が改正となり、70歳までの就業機会を確保することが企業の努力義務となりました 現在は65歳までの雇用が義務化されていますが、そこからさらに5年という期間が努力義務となったことで、すべての企業ではないものの70歳まで会社に残って働ける可能性は増えてきたといっていいでしょう。
ところが現状では、定年延長どころか再雇用でも70歳までの雇用機会を設けているところはそれほど多くはありません。帝国データバンクが今年の2月に調べた結果によれば、定年を70歳まで延長するうえにしたへつずきとばすところはわずか3.4%です。
 比較的多いのは70歳までの継続雇用制度を採用するところで、これは25.4%です。その他の制度を合わせても何らかの就業機会の確保を予定しているのは43.6%ですから半分以下です。さらにいえば、これは制度をつくるということであって、全員が必ず70歳まで雇用されるわけではなく、成果や能力の評価によっては雇用されないということもありえます。したがって、望めば誰もが70歳まで同じ会社で働けるというわけではありません
70歳までの雇用をめぐる昨今の記事やコメントをみていると、「自己評価が甘すぎる」とか「自分の価値を冷静にみるべきだ」という比較的シビアな意見がみられますが、 70歳までの雇用確保への取り組みはまだ始まったばかりです。むしろ、それ以前に現在の雇用延長制度、すなわち60歳から65歳までの再雇用制度にも問題点はあります。再雇用後の仕事に「判断する業務」はない私は、自分自身も定年後に再雇用で少しの間、働いた経験がありますので、実体験からいわせてもらうと、再雇用でうまくいくかどうかの分かれ目は性格とか能力といった要素よりも、もっとシンプルな要因で決まります。結論からいえば、「現業で働いている人」はうまくいくことが多いですが、「管理職」はうまくいかないことが多いのです。私自身、定年前は管理職でしたので、60歳で定年になった後に再雇用で働き始めたものの、結局半年で辞めて自分で起業しました。 でも、これは考えてみれば当たり前の話です。現業で働いている人、例えば製造現場で作業に従事していたり、営業マンとして第一線で顧客開拓をしていたり、あるいは経理で実務をやっていたりという人であれば、自分のやるべきタスクがはっきりしています。もちろん、人によって能力差はあるものの、少なくとも“仕事がある”ことは間違いありません。 ところが、管理職のまま、定年を迎えた人は、とたんに“仕事がなくなる”ことが多いのです。管理職の仕事は「判断すること」です。でも定年後は多くの場合、管理職ポストを外れて一兵卒になりますから、管理職の業務=判断することはなくなってしまいます。もちろん、管理職としての仕事は、判断することだけではありません。自分の部門の業務をスムーズに進めるために上層部への根回しやトラブルが起きたときの対応、 部下の評価といったこともありますが、多くの場合、そういった業務はなくなります。定年後の再雇用において管理職のまま勤務を続けられるのであればいいですが、そういうケースはまだ少ないでしょう。したがって再雇用されたものの、管理職からは外れ、重要な仕事を任されることはまずありません。どんな内容であれ、自分が誰かに必要とされていると感じられれば、働くことに生きがいを覚えるでしょうが、そうでなければモチベーションは大きく低下します。では、管理職の人には定年後の再雇用においても、そのままの立場で残って働いてもらえばいいのかというと、事はそれほど容易ではありません。とくに大企業になればなるほど下から若い人がどんどん上がってきますし、ポストは限られますから、ずっと管理職のままでというわけにはいかないのです。だとすれば現在、管理職の人が60歳や65歳以降も一定の存在感を発揮して働きたいと思ったら、いったいどうすればいいのでしょう。それは「準備すること」に尽きると思います。「準備」というと、定年後に再就職や起業をするのかと思うかもしれませんが、必ずしもそうでなく、会社に残る場合も「準備」をしておくことが大切なのです。では何の準備をするのか?ということですが、それは「自分の部署が行っている業務に対する理解と知識の補充」です。「何を今さら! そんなことぐらいわかっている」と思うかもしれませんが、長年管理職をやっていると実務に関する最新の知識はわからなくなっていることが多いのです。なぜなら、実務は現場の若手がやっているからです。でも同じ会社で、再雇用で働く場合は昔と同じ一兵卒に戻るわけですから、判断する業務は不要で、実務をこなさなければなりません。したがって若手同様に現在の業務に対する最新の知識を補充することは必須です。他の部署に異動するのであれば、現在の業務の知識を覚えても無駄になるかもしれませんが、会社としても60歳以降にまったく経験のない業務に就かせて一から教育するなどということは効率が悪いでしょうから、多くの場合は現在の部署で立場を変えて仕事をすることになります。再雇用後は「老後の初心」を忘れずに働こう実務をこなすための知識を勉強し、その能力を身に付けることは欠かすことができません。「若手じゃあるまいし、今さらそんなことができるか!」という人は再雇用には向いていないと思います。いえ、再雇用だけではなく、転職にしても起業にしても素直に学ぶ姿勢がないと、おそらくどんな仕事をやってもうまくいかないでしょう。 室町時代に能を広めた世阿弥が著した『風姿花伝』の中に「老後の初心」という言葉が出てきます。60歳を迎えてから学ぶことを失わないことの大切さを説いているのですが、まさに再雇用でうまくいくために必要なことは、「老後の初心」ではないでしょうか。自分が会社に入った頃に一から学んだ業務のことを再び学ぶ、そのことに新鮮な気持ちと喜びを覚えることが再雇用で楽しく働ける秘訣だと思います。 (ダイヤモンド編集部副編集長 浅島亮子)50歳以上の社員4割の超高齢化 希望退職に続くシニア追い出し策「日本のホンダ社員に占める、50歳以上の社員の構成比が4割に上る。円滑に社員の世代交代を進めるために導入する」 これは、早期退職制度「ライフシフト・プログラム(LSP)」を導入するに当たって、ホンダ経営陣が管理職社員に向けて発信したメッセージだ。 今年4月に、ホンダは中高年社員を対象にLSPを実施。LSPは、定年より早期に辞めれば、通常の退職金に上乗せした割増退職金が加算される制度だ。早期退職対象者のうち希望する社員には、人材サービス企業による再就職支援など、転職に必要なメニューが用意されている。 現状 高齢者から中高年に帰る 「退職してほしい」月収32万円・30代サラリーマンも半ギレ…職場の使えないシニアの〈あきれた給与額〉 (※写真はイメージです/PIXTA)年金の支給が原則65歳からとなったことで、60歳を超えても就労を希望するシニアが増加している。勤務先への再雇用が最も手っ取り早い道だが、仕事や人間関係の面で、難しい問題もあるようだ。実情を見ていく。年金支給は65歳から…増加の一途をたどる「シニア従業員」すさまじい勢いで進展する日本の高齢化。中高年の人たちの多くは、老後資金に不安を抱えている。人生の早い段階から、貯蓄や投資等で老後資金の確保に努めている人もいるが、人生、なかなか計画通りには進まない。そのため、「できるだけ長く働く」という選択肢を選ぶことになる。 実際、内閣府『令和4年版高齢社会白書』からは、その傾向が如実に見て取れる。労働力人口のうち「65~69歳」は410万人、「70歳以上」は516万人。労働力人口総数に占める「65歳以上」の割合は、2000年7.6%→2005年7.6%→2010年8.8%→2015年11.3%→2020年13.3%と、ジワジワ上昇を続けている。 就業率の推移をみていくと、「60~64歳」では2011年57.1%→2021年71.5%、「65~69歳」で2011年36.2%→2021年50.3%、「70~74歳」で2011年22.8%→2021年32.6%、「75歳以上」で2011年8.4%→2021年10.5%と、いずれの年代でもこの10年、上昇傾向にある。 役員を除く雇用者のうち、非正規社員の割合だが、男性は「55~59歳」で10.5%、「60~64歳」で45.3%、「65~69歳」で67.8%と、60歳を境に急増。女性は「55~59歳」で59.1%、「60~64歳」で74.7%、「65~69歳」で83.9%と、男性に比べて上昇幅は小さいものの、同じく60歳を境に非正規社員の割合は増えている。60歳の定年を境に、雇用形態を変えて働き続ける人が多いことが読み取れる。 定年後の再雇用だが、こちらは高年齢者雇用安定法で定められており、企業は従業員が希望すれば、基本的に65歳まで雇用し続けなければならない。 厚生労働省『高年齢者雇用状況等報告』によると、60歳定年企業において、調査期間(2021年6月1日~1年間)に定年に達した人は37万9,120人。そのうち継続雇用された人は87.1%、継続雇用を希望しない定年退職者はわずか12.7%だった。60歳以降の就労を希望するのは、年金の支給が65歳からというのが大きな理由だろう。「シニアは給料をもらい過ぎ」…20代30.0%、30代27.6%定年後、新しい環境に飛び込むより、同じ会社でなじみの顔ぶれのなか、勝手のわかる仕事を続けた方が、ストレスがないのではないか。そのように思いがちだが、実情はどうも異なるようだ。 まずあげられるのがポジションの問題。管理職として多くの部下を束ねていた人も、再雇用の立場になれば、仕事内容は軽いものになりがちだ。かつての部下から指示をもらうこともあるだろう。頭では割り切ったつもりでも、気持ちがついていかないという人も少なくない。 逆に、肩書もなくなり、給料も下がったにもかかわらず、なし崩し的に、役付き時代の高度な仕事と同じ仕事をさせられ、うんざりする人もいる。 若手からすると、ついこの間まで目上の立場だった人が非正規のポジションとなり指示を仰いでも、なかなか部下のようには扱えない。遠慮しがちになり、ミスの指摘にも気を遣う。しかし、元上司のほうは、元部下たちの気持ちが汲みとれず、適当な仕事を投げ返したり、周囲の空気を読めないままニコニコ自由にふるまったりと、相手の神経を逆なですることも。 また給与面も、若手をイライラさせる原因となっている。厚生労働省『令和4年賃金構造基本統計調査』によると、大卒・男性・正社員「55~59歳」の給与は、月収52.5万円、年収で857.6万円。ところが、60歳定年で非正規社員になると、月収は32.3万円、年収で490.8万円。 非正規となった本人目線では「4割も給与が減っている」ことになるが、この月収は30代前半の「32.1万円」と同水準。賞与を含む年収こそシニア従業員を上回ってはいるものの、退職したシニア、ましてや「イマイチ使えない人材」と同等だとなれば、若手も気分はよくないだろう。 実際、パーソル総合研究所『シニア従業員とその同僚の就労意識に関する定量調査』によると、「私の会社ではシニア社員が給料を貰い過ぎていると思う」という社員が、20代で30.0%、30代で27.6%、40代で20.1%、50代で15.9%。若い社員ほど不公平感を覚えているのだ。 何度も同じ質問を投げかけ「おお! そうだった、そうだった」と、毎回同じリアクションを見せるシニア。 ミスを指摘されても「そうか。じゃ、修正しといて!」と、つい管理職時代のような返事をしてしまうシニア。 「もうウンザリ。使えなさすぎ!」「正直、退職してほしい…」 にこやかに、遠慮がちに仕事を指導する若手たちが、陰で怒り、あきれていることも。 若手と同じステージで働くことができなければ、次第に居場所がなくなり、大切な老後の収入源も失ってしまうかもしれない。人事の方へ     |ジョブ型雇用とは?|メンバーシップ型との違いやメリデメなど解説
🎈🎈🎈🎈🎈🎈🎈🎈🎈🎈大手企業で導入が進むジョブ型雇用を巡る課題



大手企業を中心に、職務(ジョブ)を特定して必要な人員を採用するジョブ型雇用制度を導入する動きが活発になっている。これまでの日本で主流だったのは、職務を特定せずに採用するメンバーシップ型の雇用形態である。



メンバーシップ型は、もし特定の職務で人材が不足した場合、人事異動による人員配置で対応してきた。それを支えてきたのが新卒一括採用や年功序列、終身雇用という日本型の雇用形態である。



しかし、この日本型の雇用形態が、グローバル社会では通用しなくなりつつあるという側面も、ジョブ型雇用が進む背景にありそうだ。さらに、海外の優秀な人材を獲得するためにも、欧米で主流のジョブ型へと、雇用形態を切り替える必要も生じてきているようだ。



メンバーシップ型からジョブ型へと雇用形態を転換するためには、年功序列の賃金制度や終身雇用制度についても見直す必要がある。ジョブ型雇用は、職務を特定して雇用関係を結ぶ仕組みで、その職務が完了すると雇用関係も終了する。



その仕組みにこそ、人材の流動化促進や生産性向上、成果によって賃金をアップすることもできるのだが、日本でのジョブ型雇用は、年功序列型の賃金制度を引きずった“日本版ジョブ型雇用”とでもいうべきスタイルが多いようだ。



ジョブ型雇用は、まず職務があり、そこに職務を遂行できる人材を配置することで、成果に合わせた賃金を支払うものである。しかし、成果を正当に評価する明確な基準も定まっていないのが実情だ。



日本でジョブ型雇用が本格的に定着していくためには、年功の賃金制度や終身雇用制などを大転換する必要がある。そうなると、働き方も雇われ方も大きく変わることになるが、働く側の意識変革も必要となりそうだ。

序列型

政府も、職務給中心の給与体系への移行を促す指針を策定する予定だが、ジョブ型雇用が日本に根付いていくためには、クリアしなければ課題がまだまだありそうだ。


 ジョブ型雇用とは「仕事」に「人」を当てはめるという考え方を基本とした雇用形態のことです。ジョブ型雇用では、仕事内容や就業場所、責任範囲や評価基準、報酬などの職務内容をあらかじめ提示し、この職務記述書にもとづいて雇用契約を結びます。職務記述書に記載されていない業務の指示や、就業場所の変更などは基本的には認められません。 ジョブ型雇用の目的は「仕事に必要な人材を雇用する」こと。企業側だけでなく従業員側にもメリットがあります...     ここからしたジョブ型業務委託メリットデメリット業務委託やってる会社人事高齢者の方へジョブ型雇用とは?【メンバーシップ型との違い】メリデメ2023/06/05部下を育成し、目標を達成させる「1on1」とは?スペシャリストを確保したい企業を中心に導入が進められています。目次 [表示する]1.ジョブ型雇用とは?ジョブ型雇用とは、職務内容を明文化して従業員を採用し、仕事の成果で報酬を決める雇用制度です。ジョブ型雇用では、仕事内容や就業場所、責任範囲や評価基準、報酬などの職務内容をあらかじめ提示し、この職務記述書にもとづいて雇用契約を結びます。職務記述書に記載されていない業務の指示や、就業場所の変更などは基本的には認められません。従来、日本企業が採用してきた「メンバーシップ型雇用」とは制度として大きく異なります。部下を育成し、目標を達成させる「1on1」とは?2.ジョブ型雇用が注目されている背景ジョブ型雇用はすでに浸透しつつありますが、近年また注目されるようになったのは、2020年に経団連(一般社団法人日本経済団体連合会)が「2020年版経営労働政策特別委員会報告」で「メンバーシップ型の雇用を見直すべき」と公表したためです。そのほかには、2020年4月1日に施行された「同一労働同一賃金ルール」で「同じ仕事内容ならば同じ賃金を支給する」と定めたことや、テレワークでは評価基準を成果に切り替えたことなどが挙げられます。部下を育成し、目標を達成させる「1on1」とは? 効果的に行うための1on13.職務記述書(ジョブディスクリプション)とは?職務記述書(ジョブディスクリプション)とは従事する職務内容などを記載した書類で、雇用契約を結ぶ前に企業が求職者へ提示します。記載項目には以下のものが挙げられ、なかには業務を問題なく遂行するために必要な項目も含まれているのです。ポジションや役職職務目的職務責任職務内容および範囲スキルや資格、経験年数 など4.ジョブ型雇用のメリットジョブ型雇用の目的は「仕事に必要な人材を雇用する」こと。企業側だけでなく従業員側にもメリットがあります。企業側のメリットジョブ型雇用では、企業は求める人材を職務記述書で明確化して採用するため、採用活動や人材育成などでメリットを得られるのです。専門性の高い人材の採用職務記述書で業務遂行に必要なスキルや資格、経験年数などを明確にしているため、条件に合致する、業務に適したスペシャリストを採用できます。企業にとっては、人材育成コストの削減と業務効率化の両面において大きなメリットを得られるのです。雇用のミスマッチ防止職務内容や勤務地などを雇用前に限定しているため、採用後に「希望していた仕事と違う」という理由での退職を防げます。メンバーシップ型雇用では、欠員が出たときなどに担当業務の変更や転勤を命じられることがありますが、ジョブ型雇用ではそのような人員配置ができないからです。ミスマッチが起こりにくいため、採用コストの削減にもつながるでしょう。優秀な人材の育成ジョブ型雇用従業員は人材育成においても効果的です。ジョブ型雇用では求められる役割や責任、能力などが明確であり、仕事の成果が評価や報酬につながります。業務遂行に必要なキャリア形成やスキルアップなどに対して意欲的に取り組みやすいと考えられます。能力の高いジョブ型雇用従業員にマネジメントなどの研修を取り入れると、次世代のリーダーとなりえるでしょう。従業員側のメリット従業員側の大きなメリットは、自分の能力を活かせる仕事に専念できること。評価の基準が成果であるため、報酬が年齢や勤続年数などに左右されない点もメリットになりえます。能力を最大限に発揮ジョブ型雇用従業員は、自分のスキルや専門性を最大限に発揮して仕事に取り組めます。各部門のジョブ型雇用従業員が各々の仕事に専念して成果を上げれば、業務効率や生産性の向上につながります。経営課題の解決や業績の向上などが実現しやすくなるでしょう。評価基準の明確化ジョブ型雇用従業員の評価は、職務記述書に記載された業務を遂行し、求められている成果を上げることで決まります。メンバー型雇用の評価では、上司や人事の主観が含まれたり、人柄や価値観なども加味されたりすることも少なくありません。ジョブ型雇用の評価基準は従業員にとっても基準が明瞭であるため、成果アップへのモチベーションにつながるでしょう。専門性やスキルに応じた報酬の獲得ジョブ型雇用の報酬額は人材市場も考慮して決定されるため、従業員の専門性やスキルが報酬に影響します。年齢や役職などは評価や報酬の基準に含まれません。スキルアップするほど高い報酬を得られるのです。社内ではより高報酬の仕事を遂行できるようになりますし、キャリア形成のための転職などもし5.ジョブ型雇用のデメリット日本で多く取り入れられているメンバーシップ型雇用と比べると、対極的ともいえる雇用制度です。企業側と従業員側には、メンバーシップ型雇用にはないデメリットが生じます。企業側のデメリット企業でジョブ型雇用を導入した際には、人材の硬直化人材流出雇用時のトラブルなどのデメリットが想定されます。柔軟な人材の配置換えが困難ジョブ型雇用従業員は職務や就業場所が変更できないため人員配置に制限が生じてしまい、柔軟な対応が取りにくくなります。たとえば増員や欠員補充が必要になった部署やチームがあっても、ジョブ型雇用従業員へ異動や転勤などを原則命じることができません。事業の縮小や撤退などで部署や部門を廃止する際に、ジョブ型雇用従業員は人員整理がしにくくなります。合意形成が不十分だった場合のトラブル職務記述書の記載内容が不十分なまま雇用契約を締結させてしまうと、のちにトラブルに発展する恐れがあります。「職務記述書に記載されていない業務をやらされた」として、従業員の不満や、最悪の場合は訴訟への発展が懸念されます。業務内容などに変更が生じる場合は職務記述書を更新し、再度合意を得る必要があります。人材流出のおそれジョブ型雇用従業員は、自分の専門性や能力をより高く評価してくれる企業へ転職してしまう可能性があります。特定の職務に従事してスキルを高めた従業員は人材市場価値が高まりますし、ほかの企業も高い報酬を提示して確保しようとするでしょう。キャリアアップや、自社では実現できないスキルアップを希望して他社へ転職してしまうケースも考えられます。従業員側のデメリット働く側のデメリットには、教育の機会長時間労働解雇などが挙げられます。いずれも職務や勤続へのモチベーションが大きく低下しかねません。積極的な自己研鑽が必要ジョブ型雇用従業員は、研修や教育が省略される傾向にあります。「職務を遂行できる専門性や能力を持っている」という条件で採用され、入社後は即戦力とみなされるからです。異動なども行えないため、ジョブローテーションの対象にもなりません。ジョブ型雇用従業員がキャリアアップや報酬アップを目指すには、自主的に学習やトレーニングを積んでスキルアップする必要になるケースもあります。労働時間に対し業務量が不相応成果が評価の基準であるため、ときに労働時間と業務量のバランスが崩れることがあります。「あきらかに勤務時間内に終わらない業務量である」や、「期日までの期間が短すぎて残業しなければ間に合わない」といったケースが考えられるでしょう。このような状況が続いてしまうと、離職や転職してしまいかねません。ジョブ型雇用従業員であっても適正な労務管理が必須です。解雇リスク職務記述書に記載された職務に専従するため、その職務が無くなると解雇される可能性があります。たとえば事業の縮小や撤退などで人員整理が必要になった際、ほかの部署へジョブ型雇用従業員を異動するなどの対処ができないのです。ただし企業が従業員を解雇する際にはさまざまな条件が設けられているので簡単には実施できません。6.ジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用の違い特定の職務に従事するジョブ型雇用に対して、メンバーシップ型雇用は職務内容や勤務地の制限がありません。たとえば新卒者をメンバーシップ型雇用で採用した場合、社内研修などで適性を見極めて最適な職務が割り振られます。しかしその職務にずっと従事するとは限りません。部署異動や転勤といったジョブローテーションや研修などを行って、リーダーやマネージャー、役員などへ育成していくのです。メンバーシップ型雇用のメリットメンバーシップ型雇用は基本的に終身雇用を前提としています。部署や部門を変更できるので、ジョブローテーションなどを取り入れた長期の人材開発がしやすく、事業の縮小や撤退などがあっても雇用を継続しやすい制度になっています。企業は柔軟な戦略人事が実現でき、従業員は安定した収入を得られます。メンバーシップ型雇用のデメリットメンバーシップ型雇用のメリットは、一方でデメリットにもつながります。「簡単に解雇されない」という安心感から、従業員の向上心やモチベーションなどが低下する恐れがあるでしょう。年功序列型賃金制度もあわせて取り入れている場合、企業はそのような従業員にも勤務年数に応じた賃金を支払わなければなりません。一方従業員側は、会社都合の異動や転勤、残業などに応じなければならない点がデメリットといえます。7.ジョブ型雇用の導入事例日本でもジョブ型雇用の導入が進んでおり、大手企業だけでなく中小企業やベンチャー企業などにも広がりを見せているのです。ここでは大手企業3社の事例を紹介します。株式会社日立製作所総合電機メーカーの株式会社日立製作所ではグローバル人財マネジメントを実現するために、2021年4月からジョブ型雇用人事制度を運用開始。主な施策には以下の3つが挙げられます。デジタル分野に特化した人材の採用職種別採用即戦力となる経験者の積極採用職種別採用とは、新卒者が応募時に希望職種を選択でき、入社後はその職種へ配属する取り組みです。ほかにも全職種の職務記述書を作成し、2024年までに従事する従業員へ必要なスキルを習得する機会の提供という取り組みも進めています。参考NEXT CAREER STORIES株式会社日立製作所参考対談 「ジョブ型雇用」とこれからの人財マネジメント その1 「ジョブ型雇用」の定義株式会社日立製作所富士通株式会社電子機器メーカーの富士通株式会社は、2020年にジョブ型人事制度を導入。対象は幹部従業員です。報酬の基準として7段階の「FUJITSULevel」を設定し、売上や目標達成度、影響力や専門性などによって評価します。同時にジョブポスティング(社内公募制度)も改定しており、レベルを上げるために必要であればポジションの移籍を可能としています。参考富士通と従業員の成長に向けた「ジョブ型人材マネジメント」の加速富士通株式会社KDDI株式会社大手通信事業者のKDDI株式会社は2020年8月にジョブ型人財マネジメントを導入。労働時間ではなく成果や能力、チャレンジなどを評価の対象として報酬を決定します。ジョブ型雇用でありながら、グループ企業などを利用した人材育成を取り入れている点が特徴です。2021年4月に入社する新卒従業員からは、一律としていた初任給制度を撤廃し、能力に応じた給与体制を導入することも決定しています。参考KDDI版ジョブ型人事制度KDDI株式会社8.ジョブ型雇用を導入する際の課題企業にも従業員にもメリットがあるジョブ型雇用の導入を検討している企業も多いでしょう。しかし、職務記述書の作成が難しい採用活動の効率が低下する適した人材が見つかりにくいなどの課題があります。職務記述書(ジョブディスクリプション)の作成ジョブ型雇用を導入する際は、職務記述書の作成が不可欠です。しかし企業によっては、職務記述書を作成するのが難しいでしょう。職務記述書を作成するには、部署やチームなどが現場で行っている業務や責任、遂行に必要なスキルなどを洗い出し、人事部や経営層がこれらを把握しなければならないからです。多くの人手と時間を要するため、これらの作業をやりたくても実行できないという企業も少なくありません。新卒一括採用との非親和性ジョブ型雇用への移行やジョブ型雇用従業員の割合を増やすと、メンバーシップ型雇用の採用活動と比べて効率が悪くなる可能性があります。たとえば新卒者は応募の際に職務記述書の提出が求められるようになり、人事担当者はそれぞれの適性に合わせた人材配置を考えねばなりません。中途採用の割合を増やす場合は、通年的に採用活動を行う必要があります。人材の確保メンバーシップ型雇用の企業が多いと、ジョブ型雇用に適した人材が獲得しにくいという課題もあります。独立行政法人労働政策研究・研修機構の「データブック国際労働比較2019」によると、20年以上勤続している労働者の割合は、日本は全体のうち22.5%を占めています。一方のアメリカは10.3%。ジョブ型雇用が普及しているアメリカでは、キャリアアップなどで転職することが一般的なので、転職市場で優秀な人材を調達することが可能なのです。しかし日本ではまだその域に達していないといえます。ジョブ型メリットデメリットその意味  現状ジョブ型 「高年齢者雇用安定法」改正…定年後の働き方はどう変わるのか  ジョブ型にすると、働かない社員の給料を下げられる?・問1 ITに詳しい人材を特別な高額年俸で採用してもいいですか? ・問2  「こんな安月給では結婚もできない」と若手がぼやく ・問3 ジョブ型にすると、働かない社員の給料を下げられる? ・問4 職務記述書にどんな要素を入れればいいか分からない ・問5 仕事はできるが、勤務態度が悪い古参をどう処遇すればいい? 新卒一括採用、終身雇用など日本企業の代名詞とされるメンバーシップ型雇用。これに対して、欧米型のジョブ型雇用は、ジョブディスクリプション(職務記述書)を作成し、その職務内容に基づいて必要な人をその職務内容に見合った金額で採用します 。 ジョブ型が職務に対して人を付ける「就職」であるのに対して、メンバーシップ型は、人を採用してから職務を付ける「就社」と表現すると分かりやすいでしょう。 雇用の起点が、職務ありきか、人ありきかという違いです。  そして、最近話題のこのジョブ型雇用に変更したら「働かない社員の給料を下げられるのか」と尋ねられることが増えました。 私は「下げようと思えば、下げられるでしょう」と答えています。 ジョブ型は😊、職種ごとに職務記述書を作成するので、「ここに定めた仕事が十分にできていなければ、今の給料は維持できない」と迫ることは可能だからです。  でも、「社員の給料を下げたいから、ジョブ型を採用するのですか」と私は経営者に聞きたい。 新しい賃金制度を導入する目的は、給料を下げることなのか、それとも社員の成長や定着を促すことなのか。自問自答してください。 また、働かない社員の給料を下げる前に、なぜ社内に働かない社員が生まれてしまったのかを考えるべきだと思います。社員の給料を下げるなら当然。社長の給料も下げて当たり前ではないですか? ある日突然、その社員は働かなくなったのでしょうか。その社員に対して、きちんと働くように会社は十分な指導をしてきたのでしょうか。 もし、働かない社員の給料を下げた場合、必ず他の社員にも影響を及ぼします。「今度は自分の給料が下げられるかもしれない」と不安になるからです。 それ以降、会社に忠誠心を持つことはないでしょう 。組織にとってマイナスであることは明らかです。働かない社員にはこう話すことをおすすめします。「あなたの本来の給料は○○万円です。○○の仕事ができるようになれば、今の給料を維持できます。給料を下げたくないので、○○の仕事ができるように成長してほしい。我々も一生懸命教えます」。 これで社員がやる気になってくれれば、社員も会社もハッピーです。 この説明をするためには、一般職、中堅職、管理職における期待成果、その成果を出すための重要業務、必要な知識・技術、そして勤務態度を明らかにしなくてはなりません。 さらに、社員の成長に連動した賃金制度もつくる。 その上で、経営者には社員の前でぜひこう宣言してほしい。  「人事制度を見直して成長基準と給料を明確にしたために、我が社では、評価と賃金の一致しない社員はもう二度と生まれない」 私は「他社にならってジョブ😊型を導入しましょう」「働かない社員は排除しましょう」といった今の風潮には疑問を感じています。企業は目先の給料や労働分配率だけを見るのではなく、長い目で企業が成長するための人材育成をしていくべきです。真の問題はどこにあるのか、何のためにジョブ型を導入したいのかをはっきりさせることが先決です。  人事に関する問題は社員の採用、定着、成長の3つに帰着します。「定年後の再雇用」うまくいく人、ダメな人の差管理職で定年を迎えた人ほど早々に辞めるワケこの4月から「高年齢者雇用安定法」が改正となり、70歳までの就業機会を確保することが企業の努力義務となりました 現在は65歳までの雇用が義務化されていますが、そこからさらに5年という期間が努力義務となったことで、すべての企業ではないものの70歳まで会社に残って働ける可能性は増えてきたといっていいでしょう。 ところが現状では、定年延長どころか再雇用でも70歳までの雇用機会を設けているところはそれほど多くはありません。帝国データバンクが今年の2月に調べた結果によれば、定年を70歳まで延長するうえにしたへつずきとばすところはわずか3.4%です。 比較的多いのは70歳までの継続雇用制度を採用するところで、これは25.4%です。その他の制度を合わせても何らかの就業機会の確保を予定しているのは43.6%ですから半分以下です。さらにいえば、これは制度をつくるということであって、全員が必ず70歳まで雇用されるわけではなく、成果や能力の評価によっては雇用されないということもありえます。したがって、望めば誰もが70歳まで同じ会社で働けるというわけではありません 。70歳までの雇用をめぐる昨今の記事やコメントをみていると、「自己評価が甘すぎる」とか「自分の価値を冷静にみるべきだ」という比較的シビアな意見がみられますが、 70歳までの雇用確保への取り組みはまだ始まったばかりです。むしろ、それ以前に現在の雇用延長制度、すなわち60歳から65歳までの再雇用制度にも問題点はあります。再雇用後の仕事に「判断する業務」はない私は、自分自身も定年後に再雇用で少しの間、働いた経験がありますので、実体験からいわせてもらうと、再雇用でうまくいくかどうかの分かれ目は性格とか能力といった要素よりも、もっとシンプルな要因で決まります。結論からいえば、「現業で働いている人」はうまくいくことが多いですが、「管理職」はうまくいかないことが多いのです。私自身、定年前は管理職でしたので、60歳で定年になった後に再雇用で働き始めたものの、結局半年で辞めて自分で起業しました。 でも、これは考えてみれば当たり前の話です。現業で働いている人、例えば製造現場で作業に従事していたり、営業マンとして第一線で顧客開拓をしていたり、あるいは経理で実務をやっていたりという人であれば、自分のやるべきタスクがはっきりしています。もちろん、人によって能力差はあるものの、少なくとも“仕事がある”ことは間違いありません。 ところが、管理職のまま、定年を迎えた人は、とたんに“仕事がなくなる”ことが多いのです。管理職の仕事は「判断すること」です。でも定年後は多くの場合、管理職ポストを外れて一兵卒になりますから、管理職の業務=判断することはなくなってしまいます。もちろん、管理職としての仕事は、判断することだけではありません。自分の部門の業務をスムーズに進めるために上層部への根回しやトラブルが起きたときの対応、 部下の評価といったこともありますが、多くの場合、そういった業務はなくなります。定年後の再雇用において管理職のまま勤務を続けられるのであればいいですが、そういうケースはまだ少ないでしょう。したがって再雇用されたものの、管理職からは外れ、重要な仕事を任されることはまずありません。どんな内容であれ、自分が誰かに必要とされていると感じられれば、働くことに生きがいを覚えるでしょうが、そうでなければモチベーションは大きく低下します。では、管理職の人には定年後の再雇用においても、そのままの立場で残って働いてもらえばいいのかというと、事はそれほど容易ではありません。とくに大企業になればなるほど下から若い人がどんどん上がってきますし、ポストは限られますから、ずっと管理職のままでというわけにはいかないのです。だとすれば現在、管理職の人が60歳や65歳以降も一定の存在感を発揮して働きたいと思ったら、いったいどうすればいいのでしょう。それは「準備すること」に尽きると思います。「準備」というと、定年後に再就職や起業をするのかと思うかもしれませんが、必ずしもそうでなく、会社に残る場合も「準備」をしておくことが大切なのです。では何の準備をするのか?ということですが、それは「自分の部署が行っている業務に対する理解と知識の補充」です。「何を今さら! そんなことぐらいわかっている」と思うかもしれませんが、長年管理職をやっていると実務に関する最新の知識はわからなくなっていることが多いのです。なぜなら、実務は現場の若手がやっているからです。でも同じ会社で、再雇用で働く場合は昔と同じ一兵卒に戻るわけですから、判断する業務は不要で、実務をこなさなければなりません。したがって若手同様に現在の業務に対する最新の知識を補充することは必須です。他の部署に異動するのであれば、現在の業務の知識を覚えても無駄になるかもしれませんが、会社としても60歳以降にまったく経験のない業務に就かせて一から教育するなどということは効率が悪いでしょうから、多くの場合は現在の部署で立場を変えて仕事をすることになります。再雇用後は「老後の初心」を忘れずに働こう実務をこなすための知識を勉強し、その能力を身に付けることは欠かすことができません。「若手じゃあるまいし、今さらそんなことができるか!」という人は再雇用には向いていないと思います。いえ、再雇用だけではなく、転職にしても起業にしても素直に学ぶ姿勢がないと、おそらくどんな仕事をやってもうまくいかないでしょう。 室町時代に能を広めた世阿弥が著した『風姿花伝』の中に「老後の初心」という言葉が出てきます。60歳を迎えてから学ぶことを失わないことの大切さを説いているのですが、まさに再雇用でうまくいくために必要なことは、「老後の初心」ではないでしょうか。自分が会社に入った頃に一から学んだ業務のことを再び学ぶ、そのことに新鮮な気持ちと喜びを覚えることが再雇用で楽しく働ける秘訣だと思います。 (ダイヤモンド編集部副編集長 浅島亮子)50歳以上の社員4割の超高齢化 希望退職に続くシニア追い出し策「日本のホンダ社員に占める、50歳以上の社員の構成比が4割に上る。円滑に社員の世代交代を進めるために導入する」 これは、早期退職制度「ライフシフト・プログラム(LSP)」を導入するに当たって、ホンダ経営陣が管理職社員に向けて発信したメッセージだ。 今年4月に、ホンダは中高年社員を対象にLSPを実施。LSPは、定年より早期に辞めれば、通常の退職金に上乗せした割増退職金が加算される制度だ。早期退職対象者のうち希望する社員には、人材サービス企業による再就職支援など、転職に必要なメニューが用意されている。   「高年齢者雇用安定法」改正…定年後の働き方はどう変わるのか  ジョブ型にすると、働かない社員の給料を下げられる?・問1 ITに詳しい人材を特別な高額年俸で採用してもいいですか? ・問2  「こんな安月給では結婚もできない」と若手がぼやく ・問3 ジョブ型にすると、働かない社員の給料を下げられる? ・問4 職務記述書にどんな要素を入れればいいか分からない ・問5 仕事はできるが、勤務態度が悪い古参をどう処遇すればいい? 新卒一括採用、終身雇用など日本企業の代名詞とされるメンバーシップ型雇用。これに対して、欧米型のジョブ型雇用は、ジョブディスクリプション(職務記述書)を作成し、その職務内容に基づいて必要な人をその職務内容に見合った金額で採用します 。 ジョブ型が職務に対して人を付ける「就職」であるのに対して、メンバーシップ型は、人を採用してから職務を付ける「就社」と表現すると分かりやすいでしょう。 雇用の起点が、職務ありきか、人ありきかという違いです。  そして、最近話題のこのジョブ型雇用に変更したら「働かない社員の給料を下げられるのか」と尋ねられることが増えました。 私は「下げようと思えば、下げられるでしょう」と答えています。 ジョブ型は😊、職種ごとに職務記述書を作成するので、「ここに定めた仕事が十分にできていなければ、今の給料は維持できない」と迫ることは可能だからです。  でも、「社員の給料を下げたいから、ジョブ型を採用するのですか」と私は経営者に聞きたい。 新しい賃金制度を導入する目的は、給料を下げることなのか、それとも社員の成長や定着を促すことなのか。自問自答してください。 また、働かない社員の給料を下げる前に、なぜ社内に働かない社員が生まれてしまったのかを考えるべきだと思います。社員の給料を下げるなら当然。社長の給料も下げて当たり前ではないですか? ある日突然、その社員は働かなくなったのでしょうか。その社員に対して、きちんと働くように会社は十分な指導をしてきたのでしょうか。 もし、働かない社員の給料を下げた場合、必ず他の社員にも影響を及ぼします。「今度は自分の給料が下げられるかもしれない」と不安になるからです。 それ以降、会社に忠誠心を持つことはないでしょう 。組織にとってマイナスであることは明らかです。働かない社員にはこう話すことをおすすめします。「あなたの本来の給料は○○万円です。○○の仕事ができるようになれば、今の給料を維持できます。給料を下げたくないので、○○の仕事ができるように成長してほしい。我々も一生懸命教えます」。 これで社員がやる気になってくれれば、社員も会社もハッピーです。 この説明をするためには、一般職、中堅職、管理職における期待成果、その成果を出すための重要業務、必要な知識・技術、そして勤務態度を明らかにしなくてはなりません。 さらに、社員の成長に連動した賃金制度もつくる。 その上で、経営者には社員の前でぜひこう宣言してほしい。  「人事制度を見直して成長基準と給料を明確にしたために、我が社では、評価と賃金の一致しない社員はもう二度と生まれない」 私は「他社にならってジョブ😊型を導入しましょう」「働かない社員は排除しましょう」といった今の風潮には疑問を感じています。企業は目先の給料や労働分配率だけを見るのではなく、長い目で企業が成長するための人材育成をしていくべきです。真の問題はどこにあるのか、何のためにジョブ型を導入したいのかをはっきりさせることが先決です。  人事に関する問題は社員の採用、定着、成長の3つに帰着します。「定年後の再雇用」うまくいく人、ダメな人の差管理職で定年を迎えた人ほど早々に辞めるワケこの4月から「高年齢者雇用安定法」が改正となり、70歳までの就業機会を確保することが企業の努力義務となりました 現在は65歳までの雇用が義務化されていますが、そこからさらに5年という期間が努力義務となったことで、すべての企業ではないものの70歳まで会社に残って働ける可能性は増えてきたといっていいでしょう。 ところが現状では、定年延長どころか再雇用でも70歳までの雇用機会を設けているところはそれほど多くはありません。帝国データバンクが今年の2月に調べた結果によれば、定年を70歳まで延長するうえにしたへつずきとばすところはわずか3.4%です。 比較的多いのは70歳までの継続雇用制度を採用するところで、これは25.4%です。その他の制度を合わせても何らかの就業機会の確保を予定しているのは43.6%ですから半分以下です。さらにいえば、これは制度をつくるということであって、全員が必ず70歳まで雇用されるわけではなく、成果や能力の評価によっては雇用されないということもありえます。したがって、望めば誰もが70歳まで同じ会社で働けるというわけではありません 。70歳までの雇用をめぐる昨今の記事やコメントをみていると、「自己評価が甘すぎる」とか「自分の価値を冷静にみるべきだ」という比較的シビアな意見がみられますが、 70歳までの雇用確保への取り組みはまだ始まったばかりです。むしろ、それ以前に現在の雇用延長制度、すなわち60歳から65歳までの再雇用制度にも問題点はあります。再雇用後の仕事に「判断する業務」はない私は、自分自身も定年後に再雇用で少しの間、働いた経験がありますので、実体験からいわせてもらうと、再雇用でうまくいくかどうかの分かれ目は性格とか能力といった要素よりも、もっとシンプルな要因で決まります。結論からいえば、「現業で働いている人」はうまくいくことが多いですが、「管理職」はうまくいかないことが多いのです。私自身、定年前は管理職でしたので、60歳で定年になった後に再雇用で働き始めたものの、結局半年で辞めて自分で起業しました。 でも、これは考えてみれば当たり前の話です。現業で働いている人、例えば製造現場で作業に従事していたり、営業マンとして第一線で顧客開拓をしていたり、あるいは経理で実務をやっていたりという人であれば、自分のやるべきタスクがはっきりしています。もちろん、人によって能力差はあるものの、少なくとも“仕事がある”ことは間違いありません。 ところが、管理職のまま、定年を迎えた人は、とたんに“仕事がなくなる”ことが多いのです。管理職の仕事は「判断すること」です。でも定年後は多くの場合、管理職ポストを外れて一兵卒になりますから、管理職の業務=判断することはなくなってしまいます。もちろん、管理職としての仕事は、判断することだけではありません。自分の部門の業務をスムーズに進めるために上層部への根回しやトラブルが起きたときの対応、 部下の評価といったこともありますが、多くの場合、そういった業務はなくなります。定年後の再雇用において管理職のまま勤務を続けられるのであればいいですが、そういうケースはまだ少ないでしょう。したがって再雇用されたものの、管理職からは外れ、重要な仕事を任されることはまずありません。どんな内容であれ、自分が誰かに必要とされていると感じられれば、働くことに生きがいを覚えるでしょうが、そうでなければモチベーションは大きく低下します。では、管理職の人には定年後の再雇用においても、そのままの立場で残って働いてもらえばいいのかというと、事はそれほど容易ではありません。とくに大企業になればなるほど下から若い人がどんどん上がってきますし、ポストは限られますから、ずっと管理職のままでというわけにはいかないのです。だとすれば現在、管理職の人が60歳や65歳以降も一定の存在感を発揮して働きたいと思ったら、いったいどうすればいいのでしょう。それは「準備すること」に尽きると思います。「準備」というと、定年後に再就職や起業をするのかと思うかもしれませんが、必ずしもそうでなく、会社に残る場合も「準備」をしておくことが大切なのです。では何の準備をするのか?ということですが、それは「自分の部署が行っている業務に対する理解と知識の補充」です。「何を今さら! そんなことぐらいわかっている」と思うかもしれませんが、長年管理職をやっていると実務に関する最新の知識はわからなくなっていることが多いのです。なぜなら、実務は現場の若手がやっているからです。でも同じ会社で、再雇用で働く場合は昔と同じ一兵卒に戻るわけですから、判断する業務は不要で、実務をこなさなければなりません。したがって若手同様に現在の業務に対する最新の知識を補充することは必須です。他の部署に異動するのであれば、現在の業務の知識を覚えても無駄になるかもしれませんが、会社としても60歳以降にまったく経験のない業務に就かせて一から教育するなどということは効率が悪いでしょうから、多くの場合は現在の部署で立場を変えて仕事をすることになります。再雇用後は「老後の初心」を忘れずに働こう実務をこなすための知識を勉強し、その能力を身に付けることは欠かすことができません。「若手じゃあるまいし、今さらそんなことができるか!」という人は再雇用には向いていないと思います。いえ、再雇用だけではなく、転職にしても起業にしても素直に学ぶ姿勢がないと、おそらくどんな仕事をやってもうまくいかないでしょう。 室町時代に能を広めた世阿弥が著した『風姿花伝』の中に「老後の初心」という言葉が出てきます。60歳を迎えてから学ぶことを失わないことの大切さを説いているのですが、まさに再雇用でうまくいくために必要なことは、「老後の初心」ではないでしょうか。自分が会社に入った頃に一から学んだ業務のことを再び学ぶ、そのことに新鮮な気持ちと喜びを覚えることが再雇用で楽しく働ける秘訣だと思います。 (ダイヤモンド編集部副編集長 浅島亮子)50歳以上の社員4割の超高齢化 希望退職に続くシニア追い出し策「日本のホンダ社員に占める、50歳以上の社員の構成比が4割に上る。円滑に社員の世代交代を進めるために導入する」 これは、早期退職制度「ライフシフト・プログラム(LSP)」を導入するに当たって、ホンダ経営陣が管理職社員に向けて発信したメッセージだ。 今年4月に、ホンダは中高年社員を対象にLSPを実施。LSPは、定年より早期に辞めれば、通常の退職金に上乗せした割増退職金が加算される制度だ。早期退職対象者のうち希望する社員には、人材サービス企業による再就職支援など、転職に必要なメニューが用意されている。  現状 高齢者から中高年に帰る 「退職してほしい」月収32万円・30代サラリーマンも半ギレ…職場の使えないシニアの〈あきれた給与額〉 (※写真はイメージです/PIXTA)年金の支給が原則65歳からとなったことで、60歳を超えても就労を希望するシニアが増加している。勤務先への再雇用が最も手っ取り早い道だが、仕事や人間関係の面で、難しい問題もあるようだ。実情を見ていく。年金支給は65歳から…増加の一途をたどる「シニア従業員」すさまじい勢いで進展する日本の高齢化。中高年の人たちの多くは、老後資金に不安を抱えている。人生の早い段階から、貯蓄や投資等で老後資金の確保に努めている人もいるが、人生、なかなか計画通りには進まない。そのため、「できるだけ長く働く」という選択肢を選ぶことになる。 実際、内閣府『令和4年版高齢社会白書』からは、その傾向が如実に見て取れる。労働力人口のうち「65~69歳」は410万人、「70歳以上」は516万人。労働力人口総数に占める「65歳以上」の割合は、2000年7.6%→2005年7.6%→2010年8.8%→2015年11.3%→2020年13.3%と、ジワジワ上昇を続けている。 就業率の推移をみていくと、「60~64歳」では2011年57.1%→2021年71.5%、「65~69歳」で2011年36.2%→2021年50.3%、「70~74歳」で2011年22.8%→2021年32.6%、「75歳以上」で2011年8.4%→2021年10.5%と、いずれの年代でもこの10年、上昇傾向にある。 役員を除く雇用者のうち、非正規社員の割合だが、男性は「55~59歳」で10.5%、「60~64歳」で45.3%、「65~69歳」で67.8%と、60歳を境に急増。女性は「55~59歳」で59.1%、「60~64歳」で74.7%、「65~69歳」で83.9%と、男性に比べて上昇幅は小さいものの、同じく60歳を境に非正規社員の割合は増えている。60歳の定年を境に、雇用形態を変えて働き続ける人が多いことが読み取れる。 定年後の再雇用だが、こちらは高年齢者雇用安定法で定められており、企業は従業員が希望すれば、基本的に65歳まで雇用し続けなければならない。 厚生労働省『高年齢者雇用状況等報告』によると、60歳定年企業において、調査期間(2021年6月1日~1年間)に定年に達した人は37万9,120人。そのうち継続雇用された人は87.1%、継続雇用を希望しない定年退職者はわずか12.7%だった。60歳以降の就労を希望するのは、年金の支給が65歳からというのが大きな理由だろう。「シニアは給料をもらい過ぎ」…20代30.0%、30代27.6%定年後、新しい環境に飛び込むより、同じ会社でなじみの顔ぶれのなか、勝手のわかる仕事を続けた方が、ストレスがないのではないか。そのように思いがちだが、実情はどうも異なるようだ。 まずあげられるのがポジションの問題。管理職として多くの部下を束ねていた人も、再雇用の立場になれば、仕事内容は軽いものになりがちだ。かつての部下から指示をもらうこともあるだろう。頭では割り切ったつもりでも、気持ちがついていかないという人も少なくない。 逆に、肩書もなくなり、給料も下がったにもかかわらず、なし崩し的に、役付き時代の高度な仕事と同じ仕事をさせられ、うんざりする人もいる。 若手からすると、ついこの間まで目上の立場だった人が非正規のポジションとなり指示を仰いでも、なかなか部下のようには扱えない。遠慮しがちになり、ミスの指摘にも気を遣う。しかし、元上司のほうは、元部下たちの気持ちが汲みとれず、適当な仕事を投げ返したり、周囲の空気を読めないままニコニコ自由にふるまったりと、相手の神経を逆なですることも。 また給与面も、若手をイライラさせる原因となっている。厚生労働省『令和4年賃金構造基本統計調査』によると、大卒・男性・正社員「55~59歳」の給与は、月収52.5万円、年収で857.6万円。ところが、60歳定年で非正規社員になると、月収は32.3万円、年収で490.8万円。 非正規となった本人目線では「4割も給与が減っている」ことになるが、この月収は30代前半の「32.1万円」と同水準。賞与を含む年収こそシニア従業員を上回ってはいるものの、退職したシニア、ましてや「イマイチ使えない人材」と同等だとなれば、若手も気分はよくないだろう。 実際、パーソル総合研究所『シニア従業員とその同僚の就労意識に関する定量調査』によると、「私の会社ではシニア社員が給料を貰い過ぎていると思う」という社員が、20代で30.0%、30代で27.6%、40代で20.1%、50代で15.9%。若い社員ほど不公平感を覚えているのだ。 何度も同じ質問を投げかけ「おお! そうだった、そうだった」と、毎回同じリアクションを見せるシニア。 ミスを指摘されても「そうか。じゃ、修正しといて!」と、つい管理職時代のような返事をしてしまうシニア。 「もうウンザリ。使えなさすぎ!」「正直、退職してほしい…」 にこやかに、遠慮がちに仕事を指導する若手たちが、陰で怒り、あきれていることも。 若手と同じステージで働くことができなければ、次第に居場所がなくなり、大切な老後の収入源も失ってしまうかもしれない。人事の方へ     |ジョブ型雇用とは?|メンバーシップ型との違いやメリデメなど解説 ジョブ型雇用とは「仕事」に「人」を当てはめるという考え方を基本とした雇用形態のことです。ジョブ型雇用では、仕事内容や就業場所、責任範囲や評価基準、報酬などの職務内容をあらかじめ提示し、この職務記述書にもとづいて雇用契約を結びます。職務記述書に記載されていない業務の指示や、就業場所の変更などは基本的には認められません。 ジョブ型雇用の目的は「仕事に必要な人材を雇用する」こと。企業側だけでなく従業員側にもメリットがあります...     ここからしたジョブ型業務委託メリットデメリット業務委託やってる会社人事高齢者の方へジョブ型雇用とは?【メンバーシップ型との違い】メリデメ2023/06/05部下を育成し、目標を達成させる「1on1」とは?スペシャリストを確保したい企業を中心に導入が進められています。目次 [表示する]1.ジョブ型雇用とは?ジョブ型雇用とは、職務内容を明文化して従業員を採用し、仕事の成果で報酬を決める雇用制度です。ジョブ型雇用では、仕事内容や就業場所、責任範囲や評価基準、報酬などの職務内容をあらかじめ提示し、この職務記述書にもとづいて雇用契約を結びます。職務記述書に記載されていない業務の指示や、就業場所の変更などは基本的には認められません。従来、日本企業が採用してきた「メンバーシップ型雇用」とは制度として大きく異なります。部下を育成し、目標を達成させる「1on1」とは?2.ジョブ型雇用が注目されている背景ジョブ型雇用はすでに浸透しつつありますが、近年また注目されるようになったのは、2020年に経団連(一般社団法人日本経済団体連合会)が「2020年版経営労働政策特別委員会報告」で「メンバーシップ型の雇用を見直すべき」と公表したためです。そのほかには、2020年4月1日に施行された「同一労働同一賃金ルール」で「同じ仕事内容ならば同じ賃金を支給する」と定めたことや、テレワークでは評価基準を成果に切り替えたことなどが挙げられます。部下を育成し、目標を達成させる「1on1」とは? 効果的に行うための1on13.職務記述書(ジョブディスクリプション)とは?職務記述書(ジョブディスクリプション)とは従事する職務内容などを記載した書類で、雇用契約を結ぶ前に企業が求職者へ提示します。記載項目には以下のものが挙げられ、なかには業務を問題なく遂行するために必要な項目も含まれているのです。ポジションや役職職務目的職務責任職務内容および範囲スキルや資格、経験年数 など4.ジョブ型雇用のメリットジョブ型雇用の目的は「仕事に必要な人材を雇用する」こと。企業側だけでなく従業員側にもメリットがあります。企業側のメリットジョブ型雇用では、企業は求める人材を職務記述書で明確化して採用するため、採用活動や人材育成などでメリットを得られるのです。専門性の高い人材の採用職務記述書で業務遂行に必要なスキルや資格、経験年数などを明確にしているため、条件に合致する、業務に適したスペシャリストを採用できます。企業にとっては、人材育成コストの削減と業務効率化の両面において大きなメリットを得られるのです。雇用のミスマッチ防止職務内容や勤務地などを雇用前に限定しているため、採用後に「希望していた仕事と違う」という理由での退職を防げます。メンバーシップ型雇用では、欠員が出たときなどに担当業務の変更や転勤を命じられることがありますが、ジョブ型雇用ではそのような人員配置ができないからです。ミスマッチが起こりにくいため、採用コストの削減にもつながるでしょう。優秀な人材の育成ジョブ型雇用従業員は人材育成においても効果的です。ジョブ型雇用では求められる役割や責任、能力などが明確であり、仕事の成果が評価や報酬につながります。業務遂行に必要なキャリア形成やスキルアップなどに対して意欲的に取り組みやすいと考えられます。能力の高いジョブ型雇用従業員にマネジメントなどの研修を取り入れると、次世代のリーダーとなりえるでしょう。従業員側のメリット従業員側の大きなメリットは、自分の能力を活かせる仕事に専念できること。評価の基準が成果であるため、報酬が年齢や勤続年数などに左右されない点もメリットになりえます。能力を最大限に発揮ジョブ型雇用従業員は、自分のスキルや専門性を最大限に発揮して仕事に取り組めます。各部門のジョブ型雇用従業員が各々の仕事に専念して成果を上げれば、業務効率や生産性の向上につながります。経営課題の解決や業績の向上などが実現しやすくなるでしょう。評価基準の明確化ジョブ型雇用従業員の評価は、職務記述書に記載された業務を遂行し、求められている成果を上げることで決まります。メンバー型雇用の評価では、上司や人事の主観が含まれたり、人柄や価値観なども加味されたりすることも少なくありません。ジョブ型雇用の評価基準は従業員にとっても基準が明瞭であるため、成果アップへのモチベーションにつながるでしょう。専門性やスキルに応じた報酬の獲得ジョブ型雇用の報酬額は人材市場も考慮して決定されるため、従業員の専門性やスキルが報酬に影響します。年齢や役職などは評価や報酬の基準に含まれません。スキルアップするほど高い報酬を得られるのです。社内ではより高報酬の仕事を遂行できるようになりますし、キャリア形成のための転職などもし5.ジョブ型雇用のデメリット日本で多く取り入れられているメンバーシップ型雇用と比べると、対極的ともいえる雇用制度です。企業側と従業員側には、メンバーシップ型雇用にはないデメリットが生じます。企業側のデメリット企業でジョブ型雇用を導入した際には、人材の硬直化人材流出雇用時のトラブルなどのデメリットが想定されます。柔軟な人材の配置換えが困難ジョブ型雇用従業員は職務や就業場所が変更できないため人員配置に制限が生じてしまい、柔軟な対応が取りにくくなります。たとえば増員や欠員補充が必要になった部署やチームがあっても、ジョブ型雇用従業員へ異動や転勤などを原則命じることができません。事業の縮小や撤退などで部署や部門を廃止する際に、ジョブ型雇用従業員は人員整理がしにくくなります。合意形成が不十分だった場合のトラブル職務記述書の記載内容が不十分なまま雇用契約を締結させてしまうと、のちにトラブルに発展する恐れがあります。「職務記述書に記載されていない業務をやらされた」として、従業員の不満や、最悪の場合は訴訟への発展が懸念されます。業務内容などに変更が生じる場合は職務記述書を更新し、再度合意を得る必要があります。人材流出のおそれジョブ型雇用従業員は、自分の専門性や能力をより高く評価してくれる企業へ転職してしまう可能性があります。特定の職務に従事してスキルを高めた従業員は人材市場価値が高まりますし、ほかの企業も高い報酬を提示して確保しようとするでしょう。キャリアアップや、自社では実現できないスキルアップを希望して他社へ転職してしまうケースも考えられます。従業員側のデメリット働く側のデメリットには、教育の機会長時間労働解雇などが挙げられます。いずれも職務や勤続へのモチベーションが大きく低下しかねません。積極的な自己研鑽が必要ジョブ型雇用従業員は、研修や教育が省略される傾向にあります。「職務を遂行できる専門性や能力を持っている」という条件で採用され、入社後は即戦力とみなされるからです。異動なども行えないため、ジョブローテーションの対象にもなりません。ジョブ型雇用従業員がキャリアアップや報酬アップを目指すには、自主的に学習やトレーニングを積んでスキルアップする必要になるケースもあります。労働時間に対し業務量が不相応成果が評価の基準であるため、ときに労働時間と業務量のバランスが崩れることがあります。「あきらかに勤務時間内に終わらない業務量である」や、「期日までの期間が短すぎて残業しなければ間に合わない」といったケースが考えられるでしょう。このような状況が続いてしまうと、離職や転職してしまいかねません。ジョブ型雇用従業員であっても適正な労務管理が必須です。解雇リスク職務記述書に記載された職務に専従するため、その職務が無くなると解雇される可能性があります。たとえば事業の縮小や撤退などで人員整理が必要になった際、ほかの部署へジョブ型雇用従業員を異動するなどの対処ができないのです。ただし企業が従業員を解雇する際にはさまざまな条件が設けられているので簡単には実施できません。6.ジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用の違い特定の職務に従事するジョブ型雇用に対して、メンバーシップ型雇用は職務内容や勤務地の制限がありません。たとえば新卒者をメンバーシップ型雇用で採用した場合、社内研修などで適性を見極めて最適な職務が割り振られます。しかしその職務にずっと従事するとは限りません。部署異動や転勤といったジョブローテーションや研修などを行って、リーダーやマネージャー、役員などへ育成していくのです。メンバーシップ型雇用のメリットメンバーシップ型雇用は基本的に終身雇用を前提としています。部署や部門を変更できるので、ジョブローテーションなどを取り入れた長期の人材開発がしやすく、事業の縮小や撤退などがあっても雇用を継続しやすい制度になっています。企業は柔軟な戦略人事が実現でき、従業員は安定した収入を得られます。メンバーシップ型雇用のデメリットメンバーシップ型雇用のメリットは、一方でデメリットにもつながります。「簡単に解雇されない」という安心感から、従業員の向上心やモチベーションなどが低下する恐れがあるでしょう。年功序列型賃金制度もあわせて取り入れている場合、企業はそのような従業員にも勤務年数に応じた賃金を支払わなければなりません。一方従業員側は、会社都合の異動や転勤、残業などに応じなければならない点がデメリットといえます。7.ジョブ型雇用の導入事例日本でもジョブ型雇用の導入が進んでおり、大手企業だけでなく中小企業やベンチャー企業などにも広がりを見せているのです。ここでは大手企業3社の事例を紹介します。株式会社日立製作所総合電機メーカーの株式会社日立製作所ではグローバル人財マネジメントを実現するために、2021年4月からジョブ型雇用人事制度を運用開始。主な施策には以下の3つが挙げられます。デジタル分野に特化した人材の採用職種別採用即戦力となる経験者の積極採用職種別採用とは、新卒者が応募時に希望職種を選択でき、入社後はその職種へ配属する取り組みです。ほかにも全職種の職務記述書を作成し、2024年までに従事する従業員へ必要なスキルを習得する機会の提供という取り組みも進めています。参考NEXT CAREER STORIES株式会社日立製作所参考対談 「ジョブ型雇用」とこれからの人財マネジメント その1 「ジョブ型雇用」の定義株式会社日立製作所富士通株式会社電子機器メーカーの富士通株式会社は、2020年にジョブ型人事制度を導入。対象は幹部従業員です。報酬の基準として7段階の「FUJITSULevel」を設定し、売上や目標達成度、影響力や専門性などによって評価します。同時にジョブポスティング(社内公募制度)も改定しており、レベルを上げるために必要であればポジションの移籍を可能としています。参考富士通と従業員の成長に向けた「ジョブ型人材マネジメント」の加速富士通株式会社KDDI株式会社大手通信事業者のKDDI株式会社は2020年8月にジョブ型人財マネジメントを導入。労働時間ではなく成果や能力、チャレンジなどを評価の対象として報酬を決定します。ジョブ型雇用でありながら、グループ企業などを利用した人材育成を取り入れている点が特徴です。2021年4月に入社する新卒従業員からは、一律としていた初任給制度を撤廃し、能力に応じた給与体制を導入することも決定しています。参考KDDI版ジョブ型人事制度KDDI株式会社8.ジョブ型雇用を導入する際の課題企業にも従業員にもメリットがあるジョブ型雇用の導入を検討している企業も多いでしょう。しかし、職務記述書の作成が難しい採用活動の効率が低下する適した人材が見つかりにくいなどの課題があります。職務記述書(ジョブディスクリプション)の作成ジョブ型雇用を導入する際は、職務記述書の作成が不可欠です。しかし企業によっては、職務記述書を作成するのが難しいでしょう。職務記述書を作成するには、部署やチームなどが現場で行っている業務や責任、遂行に必要なスキルなどを洗い出し、人事部や経営層がこれらを把握しなければならないからです。多くの人手と時間を要するため、これらの作業をやりたくても実行できないという企業も少なくありません。新卒一括採用との非親和性ジョブ型雇用への移行やジョブ型雇用従業員の割合を増やすと、メンバーシップ型雇用の採用活動と比べて効率が悪くなる可能性があります。たとえば新卒者は応募の際に職務記述書の提出が求められるようになり、人事担当者はそれぞれの適性に合わせた人材配置を考えねばなりません。中途採用の割合を増やす場合は、通年的に採用活動を行う必要があります。人材の確保メンバーシップ型雇用の企業が多いと、ジョブ型雇用に適した人材が獲得しにくいという課題もあります。独立行政法人労働政策研究・研修機構の「データブック国際労働比較2019」によると、20年以上勤続している労働者の割合は、日本は全体のうち22.5%を占めています。一方のアメリカは10.3%。ジョブ型雇用が普及しているアメリカでは、キャリアアップなどで転職することが一般的なので、転職市場で優秀な人材を調達することが可能なのです。しかし日本ではまだその域に達していないといえます。ジョブ型メリットデメリットその意味  現状ジョブ型 「高年齢者雇用安定法」改正…定年後の働き方はどう変わるのか  ジョブ型にすると、働かない社員の給料を下げられる?・問1 ITに詳しい人材を特別な高額年俸で採用してもいいですか? ・問2  「こんな安月給では結婚もできない」と若手がぼやく ・問3 ジョブ型にすると、働かない社員の給料を下げられる? ・問4 職務記述書にどんな要素を入れればいいか分からない ・問5 仕事はできるが、勤務態度が悪い古参をどう処遇すればいい? 新卒一括採用、終身雇用など日本企業の代名詞とされるメンバーシップ型雇用。これに対して、欧米型のジョブ型雇用は、ジョブディスクリプション(職務記述書)を作成し、その職務内容に基づいて必要な人をその職務内容に見合った金額で採用します 。 ジョブ型が職務に対して人を付ける「就職」であるのに対して、メンバーシップ型は、人を採用してから職務を付ける「就社」と表現すると分かりやすいでしょう。 雇用の起点が、職務ありきか、人ありきかという違いです。  そして、最近話題のこのジョブ型雇用に変更したら「働かない社員の給料を下げられるのか」と尋ねられることが増えました。 私は「下げようと思えば、下げられるでしょう」と答えています。 ジョブ型は😊、職種ごとに職務記述書を作成するので、「ここに定めた仕事が十分にできていなければ、今の給料は維持できない」と迫ることは可能だからです。  でも、「社員の給料を下げたいから、ジョブ型を採用するのですか」と私は経営者に聞きたい。 新しい賃金制度を導入する目的は、給料を下げることなのか、それとも社員の成長や定着を促すことなのか。自問自答してください。 また、働かない社員の給料を下げる前に、なぜ社内に働かない社員が生まれてしまったのかを考えるべきだと思います。社員の給料を下げるなら当然。社長の給料も下げて当たり前ではないですか? ある日突然、その社員は働かなくなったのでしょうか。その社員に対して、きちんと働くように会社は十分な指導をしてきたのでしょうか。 もし、働かない社員の給料を下げた場合、必ず他の社員にも影響を及ぼします。「今度は自分の給料が下げられるかもしれない」と不安になるからです。 それ以降、会社に忠誠心を持つことはないでしょう 。組織にとってマイナスであることは明らかです。働かない社員にはこう話すことをおすすめします。「あなたの本来の給料は○○万円です。○○の仕事ができるようになれば、今の給料を維持できます。給料を下げたくないので、○○の仕事ができるように成長してほしい。我々も一生懸命教えます」。 これで社員がやる気になってくれれば、社員も会社もハッピーです。 この説明をするためには、一般職、中堅職、管理職における期待成果、その成果を出すための重要業務、必要な知識・技術、そして勤務態度を明らかにしなくてはなりません。 さらに、社員の成長に連動した賃金制度もつくる。 その上で、経営者には社員の前でぜひこう宣言してほしい。  「人事制度を見直して成長基準と給料を明確にしたために、我が社では、評価と賃金の一致しない社員はもう二度と生まれない」 私は「他社にならってジョブ😊型を導入しましょう」「働かない社員は排除しましょう」といった今の風潮には疑問を感じています。企業は目先の給料や労働分配率だけを見るのではなく、長い目で企業が成長するための人材育成をしていくべきです。真の問題はどこにあるのか、何のためにジョブ型を導入したいのかをはっきりさせることが先決です。  人事に関する問題は社員の採用、定着、成長の3つに帰着します。「定年後の再雇用」うまくいく人、ダメな人の差管理職で定年を迎えた人ほど早々に辞めるワケこの4月から「高年齢者雇用安定法」が改正となり、70歳までの就業機会を確保することが企業の努力義務となりました 現在は65歳までの雇用が義務化されていますが、そこからさらに5年という期間が努力義務となったことで、すべての企業ではないものの70歳まで会社に残って働ける可能性は増えてきたといっていいでしょう。 ところが現状では、定年延長どころか再雇用でも70歳までの雇用機会を設けているところはそれほど多くはありません。帝国データバンクが今年の2月に調べた結果によれば、定年を70歳まで延長するうえにしたへつずきとばすところはわずか3.4%です。 比較的多いのは70歳までの継続雇用制度を採用するところで、これは25.4%です。その他の制度を合わせても何らかの就業機会の確保を予定しているのは43.6%ですから半分以下です。さらにいえば、これは制度をつくるということであって、全員が必ず70歳まで雇用されるわけではなく、成果や能力の評価によっては雇用されないということもありえます。したがって、望めば誰もが70歳まで同じ会社で働けるというわけではありません 。70歳までの雇用をめぐる昨今の記事やコメントをみていると、「自己評価が甘すぎる」とか「自分の価値を冷静にみるべきだ」という比較的シビアな意見がみられますが、 70歳までの雇用確保への取り組みはまだ始まったばかりです。むしろ、それ以前に現在の雇用延長制度、すなわち60歳から65歳までの再雇用制度にも問題点はあります。再雇用後の仕事に「判断する業務」はない私は、自分自身も定年後に再雇用で少しの間、働いた経験がありますので、実体験からいわせてもらうと、再雇用でうまくいくかどうかの分かれ目は性格とか能力といった要素よりも、もっとシンプルな要因で決まります。結論からいえば、「現業で働いている人」はうまくいくことが多いですが、「管理職」はうまくいかないことが多いのです。私自身、定年前は管理職でしたので、60歳で定年になった後に再雇用で働き始めたものの、結局半年で辞めて自分で起業しました。 でも、これは考えてみれば当たり前の話です。現業で働いている人、例えば製造現場で作業に従事していたり、営業マンとして第一線で顧客開拓をしていたり、あるいは経理で実務をやっていたりという人であれば、自分のやるべきタスクがはっきりしています。もちろん、人によって能力差はあるものの、少なくとも“仕事がある”ことは間違いありません。 ところが、管理職のまま、定年を迎えた人は、とたんに“仕事がなくなる”ことが多いのです。管理職の仕事は「判断すること」です。でも定年後は多くの場合、管理職ポストを外れて一兵卒になりますから、管理職の業務=判断することはなくなってしまいます。もちろん、管理職としての仕事は、判断することだけではありません。自分の部門の業務をスムーズに進めるために上層部への根回しやトラブルが起きたときの対応、 部下の評価といったこともありますが、多くの場合、そういった業務はなくなります。定年後の再雇用において管理職のまま勤務を続けられるのであればいいですが、そういうケースはまだ少ないでしょう。したがって再雇用されたものの、管理職からは外れ、重要な仕事を任されることはまずありません。どんな内容であれ、自分が誰かに必要とされていると感じられれば、働くことに生きがいを覚えるでしょうが、そうでなければモチベーションは大きく低下します。では、管理職の人には定年後の再雇用においても、そのままの立場で残って働いてもらえばいいのかというと、事はそれほど容易ではありません。とくに大企業になればなるほど下から若い人がどんどん上がってきますし、ポストは限られますから、ずっと管理職のままでというわけにはいかないのです。だとすれば現在、管理職の人が60歳や65歳以降も一定の存在感を発揮して働きたいと思ったら、いったいどうすればいいのでしょう。それは「準備すること」に尽きると思います。「準備」というと、定年後に再就職や起業をするのかと思うかもしれませんが、必ずしもそうでなく、会社に残る場合も「準備」をしておくことが大切なのです。では何の準備をするのか?ということですが、それは「自分の部署が行っている業務に対する理解と知識の補充」です。「何を今さら! そんなことぐらいわかっている」と思うかもしれませんが、長年管理職をやっていると実務に関する最新の知識はわからなくなっていることが多いのです。なぜなら、実務は現場の若手がやっているからです。でも同じ会社で、再雇用で働く場合は昔と同じ一兵卒に戻るわけですから、判断する業務は不要で、実務をこなさなければなりません。したがって若手同様に現在の業務に対する最新の知識を補充することは必須です。他の部署に異動するのであれば、現在の業務の知識を覚えても無駄になるかもしれませんが、会社としても60歳以降にまったく経験のない業務に就かせて一から教育するなどということは効率が悪いでしょうから、多くの場合は現在の部署で立場を変えて仕事をすることになります。再雇用後は「老後の初心」を忘れずに働こう実務をこなすための知識を勉強し、その能力を身に付けることは欠かすことができません。「若手じゃあるまいし、今さらそんなことができるか!」という人は再雇用には向いていないと思います。いえ、再雇用だけではなく、転職にしても起業にしても素直に学ぶ姿勢がないと、おそらくどんな仕事をやってもうまくいかないでしょう。 室町時代に能を広めた世阿弥が著した『風姿花伝』の中に「老後の初心」という言葉が出てきます。60歳を迎えてから学ぶことを失わないことの大切さを説いているのですが、まさに再雇用でうまくいくために必要なことは、「老後の初心」ではないでしょうか。自分が会社に入った頃に一から学んだ業務のことを再び学ぶ、そのことに新鮮な気持ちと喜びを覚えることが再雇用で楽しく働ける秘訣だと思います。 (ダイヤモンド編集部副編集長 浅島亮子)50歳以上の社員4割の超高齢化 希望退職に続くシニア追い出し策「日本のホンダ社員に占める、50歳以上の社員の構成比が4割に上る。円滑に社員の世代交代を進めるために導入する」 これは、早期退職制度「ライフシフト・プログラム(LSP)」を導入するに当たって、ホンダ経営陣が管理職社員に向けて発信したメッセージだ。 今年4月に、ホンダは中高年社員を対象にLSPを実施。LSPは、定年より早期に辞めれば、通常の退職金に上乗せした割増退職金が加算される制度だ。早期退職対象者のうち希望する社員には、人材サービス企業による再就職支援など、転職に必要なメニューが用意されている。   「高年齢者雇用安定法」改正…定年後の働き方はどう変わるのか  ジョブ型にすると、働かない社員の給料を下げられる?・問1 ITに詳しい人材を特別な高額年俸で採用してもいいですか? ・問2  「こんな安月給では結婚もできない」と若手がぼやく ・問3 ジョブ型にすると、働かない社員の給料を下げられる? ・問4 職務記述書にどんな要素を入れればいいか分からない ・問5 仕事はできるが、勤務態度が悪い古参をどう処遇すればいい? 新卒一括採用、終身雇用など日本企業の代名詞とされるメンバーシップ型雇用。これに対して、欧米型のジョブ型雇用は、ジョブディスクリプション(職務記述書)を作成し、その職務内容に基づいて必要な人をその職務内容に見合った金額で採用します 。 ジョブ型が職務に対して人を付ける「就職」であるのに対して、メンバーシップ型は、人を採用してから職務を付ける「就社」と表現すると分かりやすいでしょう。 雇用の起点が、職務ありきか、人ありきかという違いです。  そして、最近話題のこのジョブ型雇用に変更したら「働かない社員の給料を下げられるのか」と尋ねられることが増えました。 私は「下げようと思えば、下げられるでしょう」と答えています。 ジョブ型は😊、職種ごとに職務記述書を作成するので、「ここに定めた仕事が十分にできていなければ、今の給料は維持できない」と迫ることは可能だからです。  でも、「社員の給料を下げたいから、ジョブ型を採用するのですか」と私は経営者に聞きたい。 新しい賃金制度を導入する目的は、給料を下げることなのか、それとも社員の成長や定着を促すことなのか。自問自答してください。 また、働かない社員の給料を下げる前に、なぜ社内に働かない社員が生まれてしまったのかを考えるべきだと思います。社員の給料を下げるなら当然。社長の給料も下げて当たり前ではないですか? ある日突然、その社員は働かなくなったのでしょうか。その社員に対して、きちんと働くように会社は十分な指導をしてきたのでしょうか。 もし、働かない社員の給料を下げた場合、必ず他の社員にも影響を及ぼします。「今度は自分の給料が下げられるかもしれない」と不安になるからです。 それ以降、会社に忠誠心を持つことはないでしょう 。組織にとってマイナスであることは明らかです。働かない社員にはこう話すことをおすすめします。「あなたの本来の給料は○○万円です。○○の仕事ができるようになれば、今の給料を維持できます。給料を下げたくないので、○○の仕事ができるように成長してほしい。我々も一生懸命教えます」。 これで社員がやる気になってくれれば、社員も会社もハッピーです。 この説明をするためには、一般職、中堅職、管理職における期待成果、その成果を出すための重要業務、必要な知識・技術、そして勤務態度を明らかにしなくてはなりません。 さらに、社員の成長に連動した賃金制度もつくる。 その上で、経営者には社員の前でぜひこう宣言してほしい。  「人事制度を見直して成長基準と給料を明確にしたために、我が社では、評価と賃金の一致しない社員はもう二度と生まれない」 私は「他社にならってジョブ😊型を導入しましょう」「働かない社員は排除しましょう」といった今の風潮には疑問を感じています。企業は目先の給料や労働分配率だけを見るのではなく、長い目で企業が成長するための人材育成をしていくべきです。真の問題はどこにあるのか、何のためにジョブ型を導入したいのかをはっきりさせることが先決です。  人事に関する問題は社員の採用、定着、成長の3つに帰着します。「定年後の再雇用」うまくいく人、ダメな人の差管理職で定年を迎えた人ほど早々に辞めるワケこの4月から「高年齢者雇用安定法」が改正となり、70歳までの就業機会を確保することが企業の努力義務となりました 現在は65歳までの雇用が義務化されていますが、そこからさらに5年という期間が努力義務となったことで、すべての企業ではないものの70歳まで会社に残って働ける可能性は増えてきたといっていいでしょう。 ところが現状では、定年延長どころか再雇用でも70歳までの雇用機会を設けているところはそれほど多くはありません。帝国データバンクが今年の2月に調べた結果によれば、定年を70歳まで延長するうえにしたへつずきとばすところはわずか3.4%です。 比較的多いのは70歳までの継続雇用制度を採用するところで、これは25.4%です。その他の制度を合わせても何らかの就業機会の確保を予定しているのは43.6%ですから半分以下です。さらにいえば、これは制度をつくるということであって、全員が必ず70歳まで雇用されるわけではなく、成果や能力の評価によっては雇用されないということもありえます。したがって、望めば誰もが70歳まで同じ会社で働けるというわけではありません 。70歳までの雇用をめぐる昨今の記事やコメントをみていると、「自己評価が甘すぎる」とか「自分の価値を冷静にみるべきだ」という比較的シビアな意見がみられますが、 70歳までの雇用確保への取り組みはまだ始まったばかりです。むしろ、それ以前に現在の雇用延長制度、すなわち60歳から65歳までの再雇用制度にも問題点はあります。再雇用後の仕事に「判断する業務」はない私は、自分自身も定年後に再雇用で少しの間、働いた経験がありますので、実体験からいわせてもらうと、再雇用でうまくいくかどうかの分かれ目は性格とか能力といった要素よりも、もっとシンプルな要因で決まります。結論からいえば、「現業で働いている人」はうまくいくことが多いですが、「管理職」はうまくいかないことが多いのです。私自身、定年前は管理職でしたので、60歳で定年になった後に再雇用で働き始めたものの、結局半年で辞めて自分で起業しました。 でも、これは考えてみれば当たり前の話です。現業で働いている人、例えば製造現場で作業に従事していたり、営業マンとして第一線で顧客開拓をしていたり、あるいは経理で実務をやっていたりという人であれば、自分のやるべきタスクがはっきりしています。もちろん、人によって能力差はあるものの、少なくとも“仕事がある”ことは間違いありません。 ところが、管理職のまま、定年を迎えた人は、とたんに“仕事がなくなる”ことが多いのです。管理職の仕事は「判断すること」です。でも定年後は多くの場合、管理職ポストを外れて一兵卒になりますから、管理職の業務=判断することはなくなってしまいます。もちろん、管理職としての仕事は、判断することだけではありません。自分の部門の業務をスムーズに進めるために上層部への根回しやトラブルが起きたときの対応、 部下の評価といったこともありますが、多くの場合、そういった業務はなくなります。定年後の再雇用において管理職のまま勤務を続けられるのであればいいですが、そういうケースはまだ少ないでしょう。したがって再雇用されたものの、管理職からは外れ、重要な仕事を任されることはまずありません。どんな内容であれ、自分が誰かに必要とされていると感じられれば、働くことに生きがいを覚えるでしょうが、そうでなければモチベーションは大きく低下します。では、管理職の人には定年後の再雇用においても、そのままの立場で残って働いてもらえばいいのかというと、事はそれほど容易ではありません。とくに大企業になればなるほど下から若い人がどんどん上がってきますし、ポストは限られますから、ずっと管理職のままでというわけにはいかないのです。だとすれば現在、管理職の人が60歳や65歳以降も一定の存在感を発揮して働きたいと思ったら、いったいどうすればいいのでしょう。それは「準備すること」に尽きると思います。「準備」というと、定年後に再就職や起業をするのかと思うかもしれませんが、必ずしもそうでなく、会社に残る場合も「準備」をしておくことが大切なのです。では何の準備をするのか?ということですが、それは「自分の部署が行っている業務に対する理解と知識の補充」です。「何を今さら! そんなことぐらいわかっている」と思うかもしれませんが、長年管理職をやっていると実務に関する最新の知識はわからなくなっていることが多いのです。なぜなら、実務は現場の若手がやっているからです。でも同じ会社で、再雇用で働く場合は昔と同じ一兵卒に戻るわけですから、判断する業務は不要で、実務をこなさなければなりません。したがって若手同様に現在の業務に対する最新の知識を補充することは必須です。他の部署に異動するのであれば、現在の業務の知識を覚えても無駄になるかもしれませんが、会社としても60歳以降にまったく経験のない業務に就かせて一から教育するなどということは効率が悪いでしょうから、多くの場合は現在の部署で立場を変えて仕事をすることになります。再雇用後は「老後の初心」を忘れずに働こう実務をこなすための知識を勉強し、その能力を身に付けることは欠かすことができません。「若手じゃあるまいし、今さらそんなことができるか!」という人は再雇用には向いていないと思います。いえ、再雇用だけではなく、転職にしても起業にしても素直に学ぶ姿勢がないと、おそらくどんな仕事をやってもうまくいかないでしょう。 室町時代に能を広めた世阿弥が著した『風姿花伝』の中に「老後の初心」という言葉が出てきます。60歳を迎えてから学ぶことを失わないことの大切さを説いているのですが、まさに再雇用でうまくいくために必要なことは、「老後の初心」ではないでしょうか。自分が会社に入った頃に一から学んだ業務のことを再び学ぶ、そのことに新鮮な気持ちと喜びを覚えることが再雇用で楽しく働ける秘訣だと思います。 (ダイヤモンド編集部副編集長 浅島亮子)50歳以上の社員4割の超高齢化 希望退職に続くシニア追い出し策「日本のホンダ社員に占める、50歳以上の社員の構成比が4割に上る。円滑に社員の世代交代を進めるために導入する」 これは、早期退職制度「ライフシフト・プログラム(LSP)」を導入するに当たって、ホンダ経営陣が管理職社員に向けて発信したメッセージだ。 今年4月に、ホンダは中高年社員を対象にLSPを実施。LSPは、定年より早期に辞めれば、通常の退職金に上乗せした割増退職金が加算される制度だ。早期退職対象者のうち希望する社員には、人材サービス企業による再就職支援など、転職に必要なメニューが用意されている。  2016年06月20日 (前田 展弘) 高齢化問題(全般) 一般社団法人高齢者活躍支援協議会 時代は70歳現役社会から生涯現役社会へ高齢者活躍支援協議会(通称:高活協)は、「生涯現役社会」の実現を目指して活動しています。 2021年4月、改正高年齢者雇用安定法(70歳就業法)の施行により、企業など事業者には70歳までの就業機会確保の努力義務が課されました。まさに「70歳現役社会」が本格的に始まりました。 高活協は、企業と働く高齢者を結ぶ懸け橋になりたいとの思いから2009年に誕生しました。そして人生100年時代と言われる今日、究極的には誰もが年齢に関わりなく活躍できる社会、すなわち「生涯現役社会」の実現を目指した活動を行っていきます。 2023.05.01 高活協通信(2023年5月号)配信のお知らせ2023.04.01 高活協通信(2023年4月号)配信のお知らせ2023.03.01 高活協通信(2023年3月号)配信のお知らせ2023.02.01 高活協通信(2023年2月号)配信のお知らせ2023.01.11 ニューヨークタイムズに高齢社の記事が掲載されました。2023.01.03 高活協通信(2023年1月号)配信のお知らせ2022.12.01 高活協通信(2022年12月号)配信のお知らせ2022.11.01 高活協 役職定年を迎えたバブル世代の世知辛すぎる孤独 若手の登用かベテランの活用か。役職定年をめぐっては最適解の模索が続く。人事異動で社内がざわつく3月🎈🎈🎈🎈🎈🎈🎈🎈🎈🎈。55歳で無理やり、部・課長職から一兵卒に引きずり下ろされる人たちもいる。役職定年だ。最近、その中に不可思議な行動を取る人が増えている。 ゼネコンの人事担当者は「社員の残業時間をチェックし、会社の限度時間を超えそうな社員に警告を出している。設計部門で土日も出勤し、残業が過労死ラインの月80時間に達していた社員がいたので、警告しようとしたら、役職を降りた元部長だった」と語る。どういうことか。「役職定年後は年収が3〜4割ダウンする。管理職ではないので残業代が発生するが、どうも減った分をカバーするために残業しているらしい。本人も『俺は専門職になったから仕事を回せ』と周囲に言っている。後輩の部長も注意しづらく、頭を抱えている」と話す。 社員全員「業務委託」にした会社に起きた変化 「ジョブ型は、会社と個人による、“職務(ジョブ)の市場取引”と考えてください。個人のスキルとリソースを、会社が対価を支払って買いとり、成果が出なければ契約解除となる。日本的な“雇用死守”を前提としたスタイルとは根本から違った思想を持った雇用形態が、ジョブ型です」と白井氏は話す。 日本企業の多くが採用している雇用形態は、労働法学者の濱口桂一郎氏が名付けた「メンバーシップ型雇用」が一般的な名称だ。 メンバーシップ型は、バブル期までは理想的な雇用形態だった。当時、日本企業の主力は自動車や電化製品などのモノづくり産業。作業への習熟度が高ければ高いほどクオリティの高い製品を作れるため、会社に長く勤め、習熟度の高いベテラン社員の給与が高くなることは、ある意味自然なことだった。 しかし、1990年代以降、変化の早い情報産業が台頭し始めると、メンバーシップ型雇用は「足かせ」として日本企業に重くのしかかることとなる。 「ビジネルモデルを変更しようとしても、人員整理ができず、動きが遅れる。専門職を雇おうとしても、年功処遇のため若いプロ人材に訴求できない」と白井氏は問題を指摘する。「こうした『負のループ』が、日本企業を後退させてきました」。 白井氏によると、バブル崩壊後、日本企業の多くは成果主義や、ジョブグレード制度の導入など「雇用保障を前提としながらも、一部、ジョブ型的な施策の導入」行ってきた。しかし、十分な人材流動性は実現できず、米中や新興国に後れをとり、フレキシブルな人材活用ができない企業が増えていった。 このままではいけない、という停滞感の中、やってきたのが新型コロナのパンデミックだった。テレワークのマネジメントにおいて「仕事の明確化」の動きが高まったことが、企業を新しい雇用形態へと走らせたのかもしれない。 🎈🎈🎈🎈🎈🎈🎈🎈🎈「ジョブ型」最大の問題とは 日立製作所、富士通、資生堂、ヤフー……。多くの大企業がジョブ型を実施する中で、さまざまな有識者がジョブ型の問題点を指摘している。その最たるものが、既存の組織とのハレーションだ。いくら即戦力度が高く優秀な人材とはいえ、「パラシュート人事」で人材を配置することは、現場の不和を生んでしまうリスクがある。 しかし、この問題をプロセスの見直しによって解決した企業があると聞き、ヘルスケアD2C事業を手掛けるMEJに話を聞いた。同社はベンチャー企業だが、「全社員、プロ人材との業務委託」にて組織を運営している。 もともと新卒採用も行っていたが、2018年から組織をジョブ型に移行。同社で働く約30人のメンバーは、既存の正社員数名を業務委託契約に切り替え、そのほかはプロシェアリングサービスなどを通じて外部のプロ人材を活用している。MEJ代表の古賀徹氏はジョブ型のメリットとしてスピードの速さを強調する。 「新卒人材の育成には数年、ヘッドハンティングを活用した中途採用には約半年はかかりますが、ジョブ型であれば、”広告代理店で広告運用を億単位で実施した経験”などの明確なスキルを持つ優秀な人材をスピーディーに活用できます」(古賀氏) 実際に必要な人材をスピーディーに活用することで、同社の売り上げは今年の1月と10月で比べると5倍に増加し、定期購入者は10倍に増加している。また、古賀氏はジョブ型の採用プロセスにおいて「重要なのは、採用時に“現場の責任者”を同席させること」と語る。 。 1つは、子会社や事業部単位で、ジョブ型を実践する「出島」を作るやり方。いきなり局所的に人材を投入するのではなく、ジョブ型を積極的に行う部署、子会社を置き、異なる制度に「馴化(じゅんか)」させていくことで、ハレーションを抑えられる。実際、白井氏のもとにこうした相談は多く、業務改善の優先順位が高い部署ほど、ジョブ型を導入するよう勧めているという。 もう1つは、社員の「キャリア自律志向」を高め、会社に依存しない働き方を推奨、教育するやり方だ。「自分のキャリアは自分で築く」考え方がカルチャーとして根付くソニーなどは、それに近いといえる。 「キャリア自律と言っても、漠然と自分のキャリアを考えるのではありません。マーケットの中でどのようにポジションを獲得していけばいいのか、というリアルな生存戦略を考えるのが必要になってくるでしょう」(白井氏) 🎈🎈🎈🎈🎈🎈🎈🎈🎈「人材奪い合い」は日本にもやってくる 欧米で主流となっているジョブ型だが、その実情は、職務(ジョブ)の「市場取引」よろしく、激しい人材の獲得競争となっている。アメリカでは、現場の2倍以上の給与を提示してまで、人材を獲得する会社もあるというほどだ。 こうしたジョブ型の人材の奪い合いは、日本にもいずれやってくるだろうと、古賀氏は予想する。そして、MEJのようなベンチャー企業が大企業に負けないために、金銭メリット以外に労働環境を整えることで、プロ人材に訴求することが重要だと強調する。 現にMEJでは、「フルリモート可」だけでなく「スーパーフレックス制」を導入し、ウーバーイーツのように、働きたいときに働けるよう、時間をコントロールできる仕組みにしている。こうした労働環境の変化は大企業よりも早く実行できるため、そのスピード感に人材を獲得できるチャンスがあると考えている。 「引く手あまたのプロ人材が企業を選ぶ際に重視するのは、“自分の社会価値を一番発揮できる場所”です。金銭メリットには限界がありますから、閾値を超えてからは、働き方やビジョンやミッションなど、定性的な面で差別化していくしかありません」と古賀氏。「プロフェッショナルと仕事をすることの本質を理解し、適切な施策を打ち、価値を訴求できれば、ベンチャーにも優秀な人材はやってくると考えています」。 では、大企業ではどうだろうか。白井氏は、「現場責任者に人事権を持たせる」という古賀氏の意見に同意しつつ、さらに2つのやり方を提案する。 白井氏は、外部人材だけでなく、現社員にも「金銭メリット以外の訴求ポイント」を打ち出せるかどうかがカギになると語る。 「会社依存のメンバーシップ型がなくなり、ジョブ型による労働市場が活性化されると、会社はこれまで以上に“見られる”ようになります。労働環境はもちろん、ビジョン、ミッション、キャリアデザインが描けるか……。就職したからOKではなく、働き始めてからも、会社は常に“品定め”されているという意識を持たなければなりません」(白井氏) 新型コロナの影響で、日本企業の多くがテレワークを余儀なくされ、柔軟な働き方が承認されたのは、思わぬ前進だった。 🎈🎈🎈🎈🎈🎈🎈「ジョブ型」か必要が見極めるのが重要 そして次は、「雇用のあり方」が根幹から見直されようとしている。経団連は今年1月、「経営労働政策特別委員会報告」において、2020年には「メンバーシップ型」と「ジョブ型」の組み合わせを推し進めていくと提起した。必要性に応じて、少しずつ雇用制度を変えていくという考えなのだろう。 しかし、ジョブ型がその企業に本当に必要なのかどうかは、慎重に見極める必要がある。雇用制度の変革は、マネジメント、評価制度、給与、事業構造など、さまざまな範囲に影響が及び、失敗したときの損害ははかりしれない。 先述したモノづくり産業のように、メンバーシップ型の雇用がフィットする産業もあるだろう。時勢に惑わされることなく、自社の資本力や産業領域を見極めたうえで、慎重に行っていく必要がある。 また、会社に勤める個人も、考えなければならないことがある。自分の会社はどのような雇用制度が向いているのか、分析したうえで、「キャリア自律」を早急に行うべきか、判断しなければならない。 能力やキャリアによって処遇格差が広がるジョブ型では、いちはやく自分の武器やポジションを見定め、バリューを発揮できなければ、いつまでも賃金を上げることができない。この点で、優秀層と非優秀層の間に生まれる格差も、社会が向き合っていかなければならない課題となるだろう。 いずれにせよ、変化のタイミングが訪れている。コロナの余波は収まらないが、このパンデミックを契機にできるのか、判断すべきときが近づいている。  🎈🎈🎈🎈🎈🎈ダイキン工業における高齢者雇用の取組み(1)雇用基準 ・本人に働く意思と意欲があり、勤務に支障のない健康 状態にある者を、本人希望により65歳まで再雇用する。 ・勤務地は、原則として60歳定年時の勤務地。 ・なお、本制度で再雇用された者は「プロフェッショ ナル アソシエイト」もしくは「シニアアソシエイト」と称する。 (2)雇用方法 ・定年退職日の6ヵ月前までに所属長が本人の意向を 確認し、職務内容・勤務形態を提示する。 提示された職務内容、勤務形態について調整し、 本人の同意を得た上で雇用契約を結ぶ。 65歳までの再雇用制度 14 勤務形態 労働時間 ①フル勤務 7.75H/日 ②短時間勤務 6.5H/日 ③隔日勤務 5日 /2週勤務、7.75H/日 ④登録型 希望業務登録、必要の都度勤務 (3)勤務形態 ・4つの勤務形態のなかから、その勤務の必要性および本人 の希望も勘案して個別に決定する。 ⇒体力面の衰えは個人差が大きい。 第2の人生ということでの自らの趣味など、仕事外での 生きがいに自分の時間をとることも可能時代の変化に応じ、年令に関わらず相応しい人に 活躍の場を与え、処遇していく人事制度の変革を続け てきた。 1977年 職能資格制度の大幅見直し ⇒1979年 60歳まで定年延長 (56歳時賃金見直し ) 1990年 年令給・勤続給:職能給を60:40⇒40:60へ見直し ⇒1991年 60歳定年以降再雇用制度の導入 (63歳まで希望者全員、64歳以降会社選択再雇用) 2000年 人事・処遇制度の抜本的改革 ⇒2001年 再雇用期間の延長 (63歳から更に65歳まで希望者全員再雇用) 。 ・。い。、必要の都度勤務※現在、9割以上の方がフル勤務を選択 (4)賃金・年収など ・60歳再雇用後の賃金は、年収管理とし、60歳までの賃金・ 年収にかかわらず勤務形態ごとに全員同額(基幹職を含む) とし、そのレベルは以下のとおり。勤務形態 年収設定の基準 フル勤務 賃金・賞与および退職金を含めた年収(公的年金を含 む)が当社の51~55歳時の理論年収の70% 短時間勤務 同上年収が当社の51~55歳時の理論年収の60% 隔日勤務 同上年収が当社の51~55歳時の理論年収の50% 登録型 職種ごとの時間給で都度、所属長の申請により 人事担当部長が決定(時給750~3,000円) <加算型賞与> 個々人の意欲や活力向上に対し、基準年収を一律に設定する中にあっても、より高い成<加算型賞与> 個々人の意欲や活力向上に対し、基準年収を一律に設定する中にあっても、より高い成果に対し ては加算型で報いていく。 一回の賞与あたり25万円または10万円の2段階。 ⇒最大25万円×2回=50万円の格差 ’05年度 ’06年度 ’07年度 ’08年度 ’09年度 ’10年度 ’11年度 ’12年度 ’13年度 再雇用者数 474名 492名 492名 465名 484名 500名 612名 652名 655名 再雇用率 80.4% 87.0% 81.9% 84.1% 83.4% 90.6% 92.1% 88.1% 88.6% 注)再雇用者数:各年度末(3月末)における在籍者数 再雇用率:定年を迎える人に占める再雇用者の割合 ○再雇用終了後、65歳を超えても、余人をもって代えがたい人材 に 引き続き働いてもらうために、契約社員制度の枠組みの中のひとつ として、2002年に「シニアスキルスペシャリスト契約社員制度」 を導入 雇用基準 熟練、一定期間の仕事の経験に裏打ちされたスキル、ノウ ハウ、人脈等を有する者 年 齢 65歳以上(当社以外60歳以上) 期 間 1年以内の雇用契約、年齢は最長でも70歳まで 勤務形態 フル勤務(7.75H/日):一定期間継続的に必要な業務 登録型勤務:ニーズに応じてスポット的に必要となる業務 処遇水準 フル勤務:厚生年金を含め当社再雇用者の年収より 弱冠低い水準 登録型勤務:1,500~3,000円/Hの幅の中で個別に設定 (当社再雇用者の登録型勤務者と同水準) 年齢 フル勤務 (内海外) 登録型 計 65~69歳 79人 (5) 36人 115人 70歳~ 11人 (1) 9人 20人 合計 90人 (6) 45人 135人 フル勤務の担当業務(例) ・接合技術の人材育成指導、米国子会社の生産ラインにおける溶接技術指導* ・地方都市における大手取引先に対する受注活動 ・内部統制管理業務にまつわる後継者育成 ・社史編纂* ・環境規制担当としての業務支援及び後進の指導 ・修理技術相談員 ・海外監査業務のOJTを通じた後進の指導 など 登録型の担当業務(例) ・研修所講師(管工事) ・中国子会社の品質指導(出張)* ・板金高度熟練技能者の育成 ・乳化重合技術に対するスケールアップ設備の選定* ・効率的配車や品切れさせない仕掛けなど物流業務の伝承 ・特殊物件の設計事務所フォローを中心とした若手営業マンの育成指導 など (1)60歳以降にかかる労務費の増加 今後、以下理由により60歳以降にかかる労務費は年々増加していく見込み。 ○再雇用者数の増加 平成3年の再雇用制度導入以降、60歳以降の人員数は年々増加傾向。 年金受給開始年齢の引上げ・バブル世代の大量定年も見据えると、 今後も更に増加が見込まれる。 → 2001年449名⇒2012年660名⇒2019年642名⇒2025年1,074名 (再雇用率90%で試算) ○年金相当額の会社負担の増加 現行制度は年収保障であるため、2013年度からの年金受給開始年齢の 引上げに伴い、国からの給付金(約90万円/年・人)相当額が今後 会社負担になる。 →2013年 約1.1億円/年⇒2019年度 約1.6億円/年 ⇒2025年度 約27億円/年(※2012年度比試算) 2 (2)成果に報いる処遇制度の不足 • 当社の再雇用制度は「全員一律年収」「勤務形態は本人希望を勘案し 決定」という内容からも、「ベテラン層活用」よりも「本人のやりが い」「収入面での安心感」「就業機会拡大」を重視した「勤労者福祉」 「生活保障」という色合いが濃い制度。 • 現行の全員一律年収では、成果に報いにくく、モチベーションが維 持しづらい。 • 現在も加算型賞与があるが、支給対象(全体の30%)が固定化 🎈🎈🎈🎈🎈🎈🎈🎈🎈(3)職場、個人による意欲の格差 再雇用時に、役割や業務内容がはっきりしていなかったり、  会社から期待されていることが、明確でないために、本人の モチベーションが低く、周囲からも「何をしているかわからない」という声もあり。 定年前と同じ業務に就いているが、これまでの経験やノウハウを活 かして、新たな仕事(海外や他部門で)をやりたいとの思いを持って いる人もいる。 役職者は肩書が外れることで、第一線を退いたような意識を持って しまう人もいる。ベテラン層の意欲・能力を最大限引き出す仕事の渡し方があるの プロフィール 田原 孝明(たはら・たかあき) JILPT統括研究員 1987年労働省入省、2009年内閣官房地域活性化統合事務局参事官、2011年厚生労働省政策評価官、2012年高齢・障害・求職者雇用支援機構企画部長、2014年から現職。主に高齢者雇用の研究に携わる。 私からは、1)高齢者雇用をめぐる現状、2)60歳代前半層の課題、3)60歳代後半層以降の課題──の3点に分けて説明したいと思います。 まず、高齢者雇用をめぐる現状です。現在は法律で希望者全員を65歳まで継続雇用することが求められていますが、希望者全員が65歳以上まで働ける企業の割合は74.1%(厚生労働省)となっています。厚生年金の支給開始年齢以上の人については、企業が継続雇用の対象者を限定することがまだ認められていますので、厚生年金の支給開始年齢がさらに上がっていけば、100%に近づくとみています。65歳までの継続雇用については、現状を見る限りほぼ定着していると言えます。 一方、70歳以上まで働ける企業は、基準該当者を選別している場合も含めて22.1%(同)となっており、70歳までの継続雇用は、まだまだ緒についたばかりという状況になっています。特に大企業で遅れている状況です。 安倍政権は、人口減少社会に対する強い危機意識から、女性や高齢者にとっても働きやすい環境をつくり、労働力人口を増やしていく、また、人が減っていくので労働生産性を向上させていくことをうたっています。特に高齢者については、年齢にかかわりなく現役で活躍し続けられる社会環境を整えていくことが重要だと言っています。そういう状況を受けて、厚労省も、65歳以降新たに雇用される者を雇用保険の適用対象とするなどの雇用保険法の改正を行いました(2017年1月施行)。 🎈🎈🎈🎈🎈🎈🎈🎈🎈4割の人が「相談の機会がなかった」 次に、60歳代前半層の課題について説明します。「高齢期、定年に向けての相談の機会がありましたか」ということを労働者に尋ねた調査結果(JILPT「60代の雇用・生活調査」2015年)を見ると、結構衝撃的な数字だったのですが、全体では「なかった」が52.2%ありました(図表1)。継続雇用者だけで集計した結果でも、「なかった」という人が40.5%いました。継続雇用になると、雇用形態など様々な面で変化が生じるにもかかわらず、4割の人が相談の機会を持っていなかったわけです。 資料出所:JILPT「60代の雇用・生活調査」(2015年7月)参照:配布資料8ページ(PDF:742KB)同じ調査から、相談の結果の満足度を見ると、相談を持ったら非常に満足している人が多くなっています。「非常に満足している」、「一定程度、満足している」を合わせると86%でした(図表2)。満足している理由について、「非常に満足している」、「一定程度、満足している」という人に聞いたところ、「一定程度、要望が受け入れられたから」という人が63.3%で最も多い結果となっています。また、要望を受け入れられなかったけれども「会社の考え方がわかった」、「自分の話を聞いてもらえた」、「今後相談しやすい環境になった」ということで、満足している層が合わせて31.7%おり、会社が労働者の相談を受けることが重要であることが改めて分かりました。評価を賃金に反映している企業は13%程度別の調査(JILPT「高年齢者の雇用に関する調査」2016年)で、企業に対して60歳代前半層を対象とした評価制度の導入状況も聞いています。全体としては、評価制度を導入している企業が少なくて、26.3%という状況となっています(図表3)。企業規模別に見ると、大企業は導入しているところが結構あります(58.6%)。 図表3 60代前半層を対象とした評価制度の導入状況(業種別・従業員規模別、単位:%)評価制度を導入済評価制度の導入を検討中評価制度を導入する予定はない 資料出所:JILPT「高年齢者の雇用に関する調査(企業調査)」(2016年4月)参照:配布資料10ページ(PDF:742KB)評価制度を賃金に反映しているかを聞いた結果を見ると、「評価結果に基づき個別面談等を行い、賃金を改定」が55.0%でした。評価制度の導入割合の結果と合わせてみると、そもそも評価制度を導入しているのは26%ですから、その半分、13%程度しか働きぶりを賃金に反映していないことになります。 定年に達した後の賃金額についても聞いています。定年に達した後の賃金額について、特に継続雇用者では、80.3%が減少したと答えています。定年到達直後の減少率は、継続雇用者では「41%~50%」と回答した人が24.2%で最も多くなっています。 賃金が大幅に減少する原因として、いつもよく言われるのが、高年齢雇用継続給付のことです。高年齢雇用継続給付というのは、雇用継続後に賃金が減少したときに、一定程度、雇用保険から補填するもので、減額後の水準が75%以上の場合は支給率は0%になります。つまり、25%以上、賃金が減額にならないと給付されません。一方、減額後の水準が61%以下は、給付率は15%に固定されていますので、賃金を4割カットすれば最大の15%の給付率を受けられるという設計になっていて、そのために4割程度削減している企業が多いのではないかと言われているところです。 🎈🎈🎈🎈🎈🎈🎈🎈🎈継続雇用者の4分の3が賃金カットに否定的 大幅な賃金カットについて、労働者はどう考えているのかを見てみます。否定的な意見として「仕事がほとんど変わっていないのに、賃金が下がるのはおかしい」、「会社への貢献度が下がったわけではないのに賃金が下がるのはおかしい」、「仕事の責任の重さがわずかに変わった程度なのに、下がりすぎだ」、「在職老齢年金や高年齢雇用継続給付が出るといって下げるのはおかしい」をグルーピングしています。一方、肯定的な意見として「仕事によって会社への貢献度は異なるので賃金が変わるのは仕方がない」、「仕事は全く別の内容に変わったのだから、賃金の低下は仕方がない」、「雇用が確保されるのだから、賃金の低下はやむを得ない」をグルーピングしています。その結果、回答では、否定的意見の合計割合は75.1%、肯定的意見の合計は68.1%と否定的意見が上回りました(図表4)。 図表4 賃金が下がったことについての考え(複数回答)(%)(A)賃金低下に否定的な意見, (B)賃金低下に肯定的な意見総数(千人)仕事がほとんど変わっていないのに、賃金が下がるのはおかしい(A)会社への貢献度が下がったわけではないのに賃金が下がるのはおかしい(A)仕事の責任の重さがわずかに変わった程度なのに、下がりすぎだ(A)在職老齢年金や高年齢雇用継続給付が出るといって下げるのはおかしい(A)仕事によって会社への貢献度は異なるので賃金が変わるのは仕方がない(B)仕事は全く別の内容に変わったのだから、賃金の低下は仕方がない(B)雇用が確保されるのだから、賃金の低下はやむを得ない(B)定年後の仕事の内容の変化を聞くと、継続雇用者の50.7%は「変わっていない」と答えました。仕事の内容の変化と賃金の増減の状況についてクロス集計してみたところ、仕事内容が「変わっていない」という人の77.2%は、「賃金額は減少した」と回答しました。 60代前半層の雇用の課題のまとめ 60代前半層の雇用の課題は、やはり高齢層の従業員に納得して働いてもらい、生産性を向上させていくことで、そのためには定年前の相談の機会や、評価制度の活用が重要になってくると思います。相談のなかでは、同一労働同一賃金の動きもあるので、定年後の労働条件や役割、仕事内容等の変化についてきちんと伝えて、納得してもらうことが重要になろうかと思います。 *6/265歳以降も継続雇用する取り組みへの支援が課題 最後の、60代後半層以降の高齢者の課題について説明します。60代後半層(65~69歳)の雇用・就業のあり方に関する企業の考え方を見ると、一番多いのが「選別して適合者を雇用したい」(55.6%)で、「希望者全員を雇用したい」は27.8%となっています。「健康の維持・管理に注力してほしい」が40.8%で2番目に多くなっています。同じく70歳代前半層についても聞いたところ、ほぼ同じような傾向で、「適合者を雇用したい」が33.2%、「希望者全員を雇用したい」が10.8%、「健康の維持・管理に注力してほしい」が45.6%でした。 60歳代後半層の雇用確保に必要となる取り組みを聞いたところ、「健康確保措置」が34.9%で最も多く、次に多いのが、「継続雇用者の処遇改定」の31.3%でした。同じく70歳前半層に聞いたところ、「健康確保措置」が40.7%、「高齢者の処遇改定」が25.6%というような状況になっています。こうした企業のニーズや考え方も踏まえて、まずは企業内で65歳以降も継続雇用する取り組みを進めていくことが大きな課題になろうかと思っています。 65歳以上の高齢者の雇用保険の変更 先ほど雇用保険法の改正があったと述べましたが、65歳以上の高齢者の雇用保険制度が変更されており、今年の1月から施行されています(図表5)。昨年までは、同じ会社で65歳以降も働く人に限り雇用保険加入が可能で、高年齢求職者給付金は1回限りで支給可能、介護休業給付金は対象となっていませんでした。65歳以降で新たに雇用される人は雇用保険への加入自体が不可となっていました。 それが、65歳以降で新たに雇用される人も、雇用保険の対象になり、失業した場合、求職の意思があれば高年齢求職者給付金が回数制限なく、もらえるようになりました。家族の介護で休業した場合は、介護休業給付金(賃金の67%、約3カ月間給付)も支給されるようになりました。  60歳代の人で仕事に就けなかった人に、その理由を聞きましたが、「適当な仕事が見つからなかった」が最も多く36.2%でした。意外だったのは「家族の健康上の理由(介護等)」が15.9%もあったことで、先ほど説明した雇用保険の介護休業給付金なども活用しながら、仕事を継続していくということも今後の課題になっていくのかなと思っています。 60代の労働者に、どういう働き方を希望するか聞くと、最も多いのが「短時間勤務で会社などに雇われたい」(50.1%)で、「近所の人や会社などに頼まれたりして、任意に行う仕事をしたい」(15.3%)も結構多い結果となっています。60代の就業では、短時間や近場というのがキーワードになると思います。これから人手不足が進行し、企業が高齢者の求人を出す場合、高齢の求職者のニーズ(短時間、近場)に合った求人を出していくということも、重要だと思われます。 55歳以上の高齢者を中途採用した企業に、採用経路や採用理由などを聞きました。ハローワークを利用する企業が多く、採用理由では、「応募があったから」採用したとする回答が多い。「勤務態度がまじめ」、「高い技能・ノウハウがある」など、高評価を下している企業も多いことがうかがえました。 働くことは健康につながる 60歳代前半層で働いている人に、65歳以降の仕事の継続について聞くと、「まだ決めていない。わからない」という人が31.4%で最も多い。こういう人たちは、優秀な人も多いと思うので、企業のほうから退職後の就業の働きかけも重要だと思っています。 60歳代後半層で働いている人に、70歳以降はどうするか聞いてみると、こちらも「まだ決めていない。わからない」(23.4%)が多いのですが、「生きがいや健康のために、元気な限り働きたい」(30.8%)が3割にのぼっています。我々の調査研究でも、働くことが健康につながっているとする研究結果があり、健康、生きがいのためにも可能な限り働くことの働きかけ、支援は重要だと考えています。 60代後半層以降の雇用の課題のまとめ 60歳代後半層以降では、やはり人口減少のなかで、いかに雇用を拡大していくかが課題となります。 それには、企業側が課題としている健康確保措置や処遇などについて、具体的にアドバイスしながら65歳以降の継続雇用を進めていく必要があります。介護休業を申請する労働者が出てくることも想定されますが、出てきた場合に対応できるよう、企業も準備が必要です。 雇用保険制度の改正により、65歳以降の転職・再就職市場の活性化につながることが期待されます。65歳以降の労働者が希望する働き方のキーワードは、短時間、近場の仕事ですので、こうしたニーズを踏まえた求人も重要になってくると思います。 最後に、高齢者の職業能力開発も重要であり、60歳以降を見据え高齢期に入る前から職業生活設計をしたり、キャリアチェンジを試みたりすることも重要になります。それには、業種、職種の変化なども伴う場合もあり、高齢者自身も意識改革をしていく必要があると考えます。 🎈🎈🎈🎈🎈🎈🎈🎈🎈🎈 米人材マネジメント協会(SHRM)のイベントで、コンサルタントで講演者のデスラ・ジャイルズ氏は、定年を迎えたベビーブーマー世代の再雇用を提案した。 定年退職者の再雇用、なぜ進まない?  ジャイルズ氏は今日の人材不足について強調した。労働統計局の2023年3月の雇用統計によると(注3)、失業率は3.5%だ。2020年4月の失業率は14.7%だった(注4)。  「政治家にとっては素晴らしい数字だが、人材管理の専門家にとっては深刻な数字だ」とジャイルズ氏は語る。人材不足を解消するために彼女が提唱したのは、退職年齢に達した人たちの採用だ。  定年退職者は再就職への意欲が高いというが、なぜ多くの企業は採用を渋るのだろうか。また、定年退職者の再雇用は通常の採用に比べてどのようなメリットがあるのか。  米国の高齢者団体であるAARPによると、平均して1日に1万人が退職年齢に達しているとジャイルズ氏は指摘した(注5)。そして、7年後の2030年には約7500万人のベビーブーマー世代が退職する予定であることを強調する(注6)。これは、多くの人材専門家が既に「大退職時代」と呼んでいる事象だ。  定年退職者を雇うメリットは、働く意欲があり、高度な資格を持っていることだ。ジャイルズ氏は、その多くが大学の学位を持っており、退職の代わりに小規模なビジネスを始めていることを指摘した(注7)。🎈🎈🎈🎈🎈🎈🎈🎈🎈アメリカにおける確定拠出型の個人年金制度の一つである「401k」において、現在、退職間近の人々(55歳から64歳の人々)が得られる金額の中央値は17万7805ドルである(注8)。つまり、多くの年配労働者にとって完全に退職すると生活費が足りないのだ。 ベビーブーマー世代と企業の利害の一致  調査によると(注9)、半数以上のベビーブーマー世代の半数以上は18歳から39歳の成人した子供を経済的に支援している。そういった意味でも、退職後に稼ぐ必要があるのだ。  ジャイルズ氏は、かつてクライアント企業の幹部に提案した内容を披露した。彼女は人材不足への対策として年配の従業員を採用することを検討するように提案したのだ。  そうすると、「年配者はテクノロジーに詳しくない」「数年で退職する」「雇用主は革新的な人材を求めている」「若くて新しいアイデアが必要だ」といった”言い訳”が聞こえてきたが、これらは全て「年配者を雇いたくない」ということの婉曲的な言い回しに過ぎない、とジャイルズ氏は言う。  同氏はその幹部に対して、退職した後に何をするつもりか尋ねると、「私にはまだたくさんのことができるから、株主総会のメンバーになるつもりだ」と答えたという。「65歳以上でたくさんのことができるのは、あなただけだと思いますか」とジャイルズ氏は問いかけた。  ジャイルズ氏は、採用担当者の間で起こる対立についても言及した。ある人は「求職者の潜在的な能力に基づいて採用したい」と考える一方で、ある人は「未経験の応募者は採用したくない」と考える。ジャイルズ氏は「そうした反対意見の持ち主もかつては新人だったのでは」と指摘する。  企業はパートタイムやプロジェクトベースでの契約も可能だ。採用担当者はギグエコノミー(短期的な労働で成り立つ経済の状態)を避けたがるが、ジャイルズ氏によれば、実はそのような働き方は定年退職者にとって理想的だという。全てのギグワーカーが仕事に無頓着なわけではなく、雇用主をほったらかしにするわけでもない。正社員ではなく契約社員を採用することは人件費の節約にもなる。  履歴書作成サービスを提供するResumeBuilderによると、退職者の20%が企業から再雇用の要請を受けたと報告している(注9)。裏を返せば、80%は再雇用の要請を受けていないことになる。40年以上のキャリアを持つ彼ら・彼女らを活用するのは、人材不足への一手となるだろう。 2023年05月22日 07時00分 公開 🎈🎈🎈🎈🎈🎈🎈🎈🎈企業への「愛着心」が低下中 採用時や1on1で注意すべきこととは? 従業員のエンゲージメント(愛着心)が低下している。従業員を企業に定着させるために、採用時や1on1ミーティングの際に気を付けるべきポイントとは。  Gallupが2022年に実施した調査によると、「仕事にエンゲージメント(愛着)を感じている」と答えた従業員は32%で(注1)、2020年の36%、2021年の34%から減少している。  この背景には、必要最低限のことしかやらず、他の業務から手を引く「静かな退職」という考え方がある(注2)。人材市場の変化(注3)や燃え尽き症候群の増加(注4)もこの傾向を強めている可能性がある。 従業員定着に向けて企業がすべきこと  従業員を企業に定着させるために、どのようにエンゲージメントを高めれば良いのだろうか。採用時や1on1ミーティングの際に気を付けるべきポイントを専門家が語った。  コンサルティング企業のHorizon Consulting Servicesの社長兼CEO(最高経営責任者)であるデイビス・M・ロビンソン氏によると、企業は従業員のエンゲージメントが何を意味するのかを根本的に再考する必要があるという。同氏は2023年4月17日に行われたSociety for Human Resource Managementの講演で「企業は従業員が快適に所属できる組織を目指すのではなく、従業員の強みと目標を強調する戦略に焦点を当てるべきだ」と述べた。  ロビンソン氏は自動車メーカーAudiの、従業員が年間最優秀従業員に選ばれた後に職を離れるという内容の広告を紹介した。同氏にとって、この広告から得られる教訓は、表彰や無料の食事、清潔なオフィス、同僚からの目に見える評価などのエンゲージメントを上げるための典型的な特典を提供しても、優秀な人材が去るのを防ぐことはできないということだ。 正しい焦点を見つける  エンゲージメント戦略の定義は「既に仕事に愛着がある従業員から、仕事を嫌う従業員、仕事に関心がない従業員まで、組織内の従業員の分布を理解することから始まる」とロビンソン氏は言う。雇用主が注目すべきは、仕事を嫌う、または仕事に関心がない従業員だと同氏は指摘した。なぜなら、企業にとって、これらの従業員との精神的なつながりをつくることが重要だからだ。  ロビンソン氏は、ボストン大学の心理学者ウィリアム・カーン氏が1990年の記事で述べたエンゲージメントの3つの心理的条件である「意義、安全性、利用可能性」に言及した(注5)。  「従業員が仕事の労力に見合った効果を得ていると感じられ、その仕事に意義を見出し、仕事で自分の強みを活用できる状態を確保することで、企業は3つの心理的条件を満たす第一歩を踏み出せる。従業員を中心に考えるべきだ」 ジョブサイクルを通じたエンゲージメント戦略  ロビンソン氏によれば、エンゲージメント向上のための取り組みは採用段階から始まるという。その段階で企業が候補者をどのようにレビューするか、採用プロセスが候補者の強みやスキルについて確認できるものかどうかを考慮すべきだ。同氏は「組織が教えることができるスキルとそうでないスキル、特に候補者自身の性格について考えるべきだ」と述べる。  マネジャーは従業員が入社してからも重要な役割を果たす(注6)。ロビンソン氏によれば、マネジャーは従業員との会話の中で、その人の強みやその強みが活かされているかどうかを直接質問する必要があるという。例えば、以下のような質問だ。 もし今日退職するとしたら、あなたは何をするか。それは現在のあなたの役割とどのように関連しているかあなたは現在の役割でそれらの強みを生かせているかどのようにしてこの業界に入ったのかあなたの自然な能力や才能は何だろうか仕事の満足感をどのようなときに感じるのか  「これらの質問は従業員のエンゲージメント調査にも盛り込める」とロビンソン氏は述べる。  同氏によると、従業員のキャリアパス設計はよく用いられるエンゲージメント戦略であり(注7)、役割の再設計や作成により、従業員が自身の現在の役割とキャリアパスをより密接に関連付けられるようになるという。  高齢者現状、ジョブ型について。  月収37万円・50代会社員「給与=サラリーマンのちょうど真ん中」に安堵も、65歳で手にする残念な「年金額」 🎈🎈🎈🎈🎈🎈<65歳までの雇用確保義務> 2013年改定・高年齢者雇用安定法第8条・第9条  事業主が定年を定める場合は、60歳未満の定年を禁止する  定年を60歳から65歳未満に定めている事業主は、以下のいずれかの措置を講じる義務がある。 (1)定年を65歳に引き上げる (2)定年制を廃止する (3)65歳までの継続雇用制度(勤務延長制度・再雇用制度)を導入する  〇 勤務延長制度と再雇用制度の違い   ・勤務延長制度……定年の設定はあるが、その定年年齢に到達した従業員を退職させることなく引き続き雇用すること   ・再雇用制度……定年年齢に達した従業員をいったん退職させた後、新たな雇用契約を締結し働いてもらうこと  〇 継続雇用制度は原則として希望者全員に適用する  〇 ただし、2012年改正法の経過措置により、2013年3月31日までに労使協定により制度適用対象者の基準を定めていた場合はその基準を適用できる年齢を2025年3月31日までに段階的に引き上げなければならない。2023年現在は64歳以上の従業員が対象である  参考:厚生労働省 高年齢者雇用安定法改正の概要 🎈🎈🎈🎈🎈🎈🎈 <例外的に定年後の再雇用を拒否できるケース> (1)再雇用を拒否する理由が、解雇(懲戒解雇・普通解雇)事由に相当する場合  〇 解雇事由には、例えば会社の経営状況の著しい悪化、能力不足、業務命令違反などがある。  〇 解雇の種類とそれぞれの該当事由について、就業規則へ明記することに加え、解雇することが客観的に見て合理的な理由・社会通念上認められることが必要。 〇 解雇できるほどの重大な理由がないのに、再雇用を拒否することはできない。 (2)会社が提示した労働条件が合理的なものであるにも関わらず、労働者が合意しなかった場合 〇 再雇用の場合、社員の退職後、新たな雇用契約を結ぶことになるので、必ず従前に勤務していた部署や職務と同一の業務内容を提示する義務はない。  〇 再雇用契約を締結した際に、労働条件の変更(労働時間や業務内容、責任の程度など)によるものであり、合理的な範囲内であれば、定年前に比べて給与などの処遇を下げたとしても不利益変更には当たらない (3)健康上の理由  〇 定年退職日に休職中の状態で、当分の間回復が見込めず契約どおりの労務を提供できない場合など<整理解雇とは> (1)企業が経営悪化や事業縮小などの理由により、人員削減のために行う解雇のことで、一般的には「リストラ」と呼ばれる (2)整理解雇の4つの要素  企業が労働者を整理解雇する場合、以下の要素を全部満たす必要がある 〇 経営状況が、整理解雇が必要なほど低下していることを、具体的な経営指標や数値などの客観的資料を従業員に提示し説明できるか。将来の予測だけでは人員整理はできない。  〇 人員整理を回避するために、さまざまな方法で手を尽くしたか   (諸経費の削減、新規採用の停止など)  〇 解雇する従業員は客観的に選定しているか  〇 整理解雇の必要性などについて、事前に従業員への十分な説明をしたか  参考:厚生労働省 労働契約の終了に関するルール「甲社の場合、売上が下がるのはこれからだし、それによって実際に経営が圧迫されるかどうかも未定。もしかしたら新規の取引先ができるかもしれません。だから今の状態では整理解雇する理由がなく、Aさんの再雇用を拒否することはできないでしょう」 「分かりました。しかし管理課の人員は足りているので、もうAさんの居場所がないんです。どうしたらいいでしょうか?」 「再雇用の場合、就業規則で定めていない限り、必ずしも従前の職場に配属する必要はありません。会社が、これまでと違う職場や業務を提示することも可能です」  D社労士のアドバイスを基に、Aの新たな職場を模索したC社長は1週間後にある決断をした。そしてB部長に決定事項を伝え、再びAと面談するように言った。 🎈🎈🎈🎈🎈🎈「65歳まで再雇用を!」「60歳で辞めて!」社員と会社、どっちの言い分が正しい? 「先週は済まなかったな。再雇用をしない件は撤回するから、定年後もよろしく頼むよ」  Aはホッとした表情を浮かべた。 「分かりました。それでは再雇用後も管理課勤務でOKですよね?」 「いや、君には商品管理センターの主任として働いてもらいたい。急遽1人退職することになったので後任が必要なんだ。君が仕事に就くまで、そのポストは空けておくよ」  B部長は、再雇用契約の場合は、勤務先が定年前の職場とは限らないこと、過去10年間で定年退職し再雇用したのは2名で、同じ職場で引き続き働いていたのは、たまたま職場が人手不足だったからだと説明した。 「でも、管理課勤務とセンターの主任じゃ、給料の額が違いますよね。そう考えると納得できません」 「嘱託社員の場合、管理課に残っても課長じゃなくなるから、センターの主任と給料は同じだよ。A君の場合は、今までの年収からすると30%カットだね。でも今までより仕事はうんとラクになるからいいんじゃない?」  Aは再雇用後も課長職を継続し、給料も変わらないと思っていたので、B部長の言葉に強いショックを受けた。 「そんなバカな!給料が減ったら住宅ローンや子どもの学費の支払いはどうなるんだ?」  ボヤキが止まらないAであった。 仕事がほとんど変わっていないのに、賃金が下がるのはおかしい(A) 会社への貢献度が下がったわけではないのに賃金が下がるのはおかしい(A) 仕事の責任の重さがわずかに変わった程度なのに、下がりすぎだ(A) 在職老齢年金や高年齢雇用継続給付が出るといって下げるのはおかしい(A) 仕事によって会社への貢献度は異なるので賃金が変わるのは仕方がない(B) 仕事は全く別の内容に変わったのだから、賃金の低下は仕方がない(B) 雇用が確保されるのだから、賃金の低下はやむを得ない(B) 仕事がほとんど変わっていないのに、賃金が下がるのはおかしい」、「会社への貢献度が下がったわけではないのに賃金が下がるのはおかしい」、「仕事の責任の重さがわずかに変わった程度なのに、下がりすぎだ」、「在職老齢年金や高年齢雇用継続給付が出るといって下げるのはおかしい」をグルーピングしています。一方、肯定的な意見として「仕事によって会社への貢献度は異なるので賃金が変わるのは仕方がない」、「仕事は全く別の内容に変わったのだから、賃金の低下は仕方がない」、「雇用が確保されるのだから、賃金の低下はやむを得ない」をグルーピングしています。その結果、回答では、否定的意見の合計割合は75.1%、肯定的意見の合計は68.1%と否定的意見が上回りました(図表4)。 高齢者現状 日経新聞役職定年廃止 電通200人業務委託1年間  ハローワークや求人広告の現場介護 飲食 肉体労働 ガードマン 高齢者雇用政策の新たな展開~地域における高齢者の多様な就業機会の確保・拡充に向けて  基礎研レポート 高齢化問題(全般) 高齢者の雇用・就労 改正高年齢者就業確保措置  高齢者雇用政策の経緯と今回の法律改正内容  さて、以上のような高齢者の就業実態に至るまで、どのような雇用政策が講じられてきたのか、そして今回どのような新たな展開が見られるのか概説する。  65歳までの雇用確保の道程 政府による高齢者雇用対策が進められたのは1960年代からである。当時は50歳あるいは55歳くらいで定年を迎える時代であった。当時の引退した高齢者は子供と同居して扶養(私的扶養)されて余生をすごすのが通例であった。1961年に公的年金制度(国民皆年金)が制定されたが、当時の受給対象者は極僅かで、ほとんどの高齢者は自らの貯蓄を取り崩すか子供に世話になる形で引退後の生活をおくっていた。徐々に寿命が延伸し引退後の生活が長期化していくなかで、高齢期の生活(所得)保障のあり方が社会的に問題視され、当初に講じられた高齢者雇用対策は、引退後の「失業対策としての再就職(新規雇用)」に関する施策が中心であった。  0.、「定年延長」が高齢者雇用対策の最重要課題として位置づけられるようになる。1960年代が定年後の事後的対応であったのに対し、70年代からは定年延長という予防的対応に高齢者雇用対策は切り替わっていったのである。  その後も「中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法(1971年制定)」(略称:中高法)を中心に定年延長に向けた取り組みが進められ、1986年には前述の中高法が改称された「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」(略称:高年齢者雇用安定法)のもとで企業に対する60歳定年の努力義務化が立法化される。しかし、時を同じくして60歳定年では事足りない事態を迎える。それは1985年に実施された年金制度の抜本的大改革である。老齢年金支給開始年齢を現行の60歳から65歳へ段階的な引き上げを行うことが決定される。高齢者雇用対策としてもこの年金制度改正を受ける形で1990年から「65歳までの継続雇用確保」の取り組みをスタートさせ、その前提として1994年には「60歳定年」の義務化がはかられることとなる。  60歳定年がほぼ定着すると、2004年には65歳までの雇用確保を確実なものとするべく措置の法的義務化(段階的対応)がはかられる。この結果、企業は、(1)定年の廃止、(2)定年の引き上げ、(3)継続雇用制度の導入、のいずれかの措置を講じなければならなくなった。(2)(3)については2013年4月1日までに雇用確保義務年齢を65歳以上に引き上げる必要があり、これで我々国民としては少なくとも65歳までの雇用確保の道筋がついたことになった。また2013年には継続雇用制度の対象者を限定する仕組みを廃止し、希望者全員が継続雇用されることになった。さらにこの間、厚生労働省主導のもと、70歳まで働ける企業推進プロジェクトが継続され、消すこと70歳までの雇用確保の延長に向けた取り組みも進められている。 🎈🎈🎈🎈🎈🎈🎈生涯現役社会づくりに向けた検討 このように少なくとも65歳までの雇用の道筋をつけることで、高齢者雇用政策は一定の役割を終えたかと思われたが、平均寿命は延び続け、やがては人生90-100年時代となろうとしていること、また高齢者の身体機能の若返りも確認され、高齢者の就労意識も高いことなどを背景に、高齢者雇用政策もさらなる検討が求められるようになる。その方向は、年齢に関わらず活躍できる「生涯現役社会」を創造することである。ただ、それは言うほど簡単なことではない。65歳以降の雇用をさらに企業(事業者)に求めることは現実的でもない。そこで厚生労働省では2013年から有識者会議を重ね5、2015年6月の段階で次のように「生涯現役社会の実現に向けた課題及び施策の方向性」が整理された。 図表5:生涯現役社会の実現に向けた課題及び当面求められる施策の方向性(2015年6月) 5 「生涯現役社会の実現に向けた就労のあり方に関する検討会」(2013年2~6月、座長:大橋勇夫 中央大学大学院戦略経営研究科教授)。「生涯現役社会の実現に向けた雇用・就業環境の整備に関する検討会」(2015年2~6月、🎈🎈🎈🎈🎈🎈座長:清家篤 慶應義塾長) 3|「地域」における高齢者の就業支援の強化(2016年~) こうした経緯を経て、厚生労働省では今年度から高年齢者雇用安定法等を一部改正し、「地域」において高齢者がさらに活躍できるような就業環境の整備をはかる政策を打ち出したのである。主なポイントは次の2点である。 (1)「生涯現役促進地域連携事業」の推進 これは前述の「地域における多様な雇用・就業機会の確保(図表5(ⅳ)部分)」の課題を踏まえ、新たに展開される事業である(全体の事業概要は図表6参照)。地方自治体が中心となって構成する「協議会」等が中心となり、地域における高齢者の就労促進に資する事業を実施することを推進する厚生労働省の新たな施策である。当事業を行うかどうかは各自治体(都道府県・市区町村)の判断(任意)ではあるが、この事業を行う場合、自治体が中心となってシルバー人材センターやハローワーク(公共職業安定所)、また商工会議所や民間の人材派遣会社等、それらの地域の関係機関が密接な連携をはかる「協議会」を設けるなかで、自治体が策定する「地域高年齢者就業機会確保計画」にもとづき、地域の高齢者の就業機会の確 保及び拡大をはかることが求められる。同様の事業は2014年度からあくまでモデル事業(厚生労働省「地域人づくり事業」)として一部の地域で展開されてきたが、今回、高年齢者雇用安定法の中に「地域の実情に応じた高年齢者の多様な就業機会の確保」に関する事項が明記されるなかで、新たな高齢者雇用政策として推進されるものである。 高齢者の就業に関連する法律の改正としては上記に加え、雇用保険も「65歳以降に新たに雇用される者を雇用保険の適用の対象とする」ように改正が行われている。これは2017(平成29)年1月から施行される(ただし、保険料徴収は平成31年度分まで免除される)。  もう会社へ貢献をしようという人達はなるというより ごまかされなくなって行く "「同じ仕事だが給料半分」…定年後の再雇用、厳しすぎる現実 【定年60歳】はたらくシニアの平均給与はどのくらい?高齢者雇用の実態とは  高齢者雇用の実態  シニアの再雇用「同じ業務」で収入が4割減 モチベーションの観点から問題あり   2021年4月の改正高年齢者雇用安定法の施行で職場の高齢化が進むなか、増える再雇用者の働き方を調査したところ、再雇用前とほぼ同じ業務に就きながらも収入が4割下がるなど、モチベーションの低下につながる実態が明らかになった。企業の人事課題を研究するパーソル総合研究所が5月28日に発表した。シニア向け教育・研修、「充実」2割    調査では、職務の変化についても聞いた。再雇用者全体の55.0%と過半数の人が「(定年前と)ほぼ同様の業務」と回答。そう回答した人に年収の変化を聞くと、平均で39.3%の低下。「同じ業務」に就いているにもかかわらず、収入が約4割減っていた。    パーソル総合研究所は、 「同一労働同一賃金やシニア人材のモチベーションの観点から問題と言える」    と指摘する。    調査では、シニア社員向けの教育・研修についても聞いた。55~69歳の1572人が回答。それによると、50.7%が「実施されていない」と答え、また29.8%が「実施されているが、充実していない」と答えた。    「実施されており、充実している」と答えたのは19.5%で、約2割しか満足していない結果となった=下の円グラフ参照。    「教育・研修は、就業環境の変化に伴うシニア人材の学び直しや職務との適合性、意欲の引き出しの観点から重要」と同研究所はみており、「現状は不十分と言える」と指摘している。 シニア人材の教育・研修が「実施・充実している」のは2割だけ。    シニア人材について、パーソル総合研究所・上席主任研究員の小林祐児氏は「シニア人材の可能性を生かすことを考え、法改正への表層的な対応に終わらせることなく、人事制度や各種施策全体を見直していく必要がある」とコメントした。    なお調査は、2021年1月6日~12日に実施。従業員100人以上の企業(第一次産業を除く)に勤務する全国のシニア従業員3000人(正社員2409人、再雇用でフルタイム375人、パートタイム94人、嘱託122人。50~54歳の男性365人と女性691人の1056人、55~59歳の男性385人と女性388人の773人、60代の男性750人と女性421人の1171人)から、有効回答を得た。    シニア従業員3000人のうち、フルタイム、パートタイム、嘱託を合わせた591人の定年後の再雇用で働く人に、再雇用後の年収の変化を聞くと約9割が「年収が減少した」と答えた。    年収は、全体で平均44.3%の低下。また、50%程度(半減)下がった人は22.5%、50%超下がった人は27.6%で、約5割の再雇用者の年収が半分以下に減っていた。定年前とほとんど変わらない人は8%、定年前より上がった人は2.2%だった。 ↑シニアの再雇用「同じ業務」で収入が4割減 モチベーションの観点から問題あり 役職定年のシニア管理職、モチベーション低下が課題に 制度設計の3つのポイント 高齢者現状 人生100年時代を迎えている今日。退職後の老後の生活は長くなり、その間の生活費をどうやって確保していくかは、多くの人にとって共通の不安でしょう。 昨今はリタイア後も働く人は増加しており、定年後も働いて貯蓄を進めることも珍しくなくなりました。 そこで気になるのが、定年後の働き方。日本労働組合総連合会(連合)の「高齢者雇用に関する調査2000」の結果から、具体的な勤務時間やお金事情についてチェックしていきましょう。 🎈🎈🎈🎈🎈🎈🎈定年後の適切な平均給与「16.8万円」に 同調査は、1ヶ月あたりの賃金(税込)はいくらが適切だと思うかを聞きました。それによると、「5万円~10万円未満」(20.9%)や「10万円~15万円未満」(20.2%)「15万円~20万円未満」(15.4%)などに回答が集まり、平均は16.8万円でした。 5~15万円がボリュームゾーンではあるものの、求める給与額にはばらつきがあることがわかります。 65歳以降の労働時間はどれぐらいか ここからは、65歳以降の適切な働き方に関する意識について、回答者の年齢別にみていきましょう。 【1日あたりの平均労働時間】  ・45歳~64歳:5.3時間  ・65歳~69歳:5.8時間 【1週間あたりの平均労働日数】  ・45歳~64歳:3.9日  ・65歳~69歳:4.1日 すでに65歳を迎えて仕事をしている人のなかには、現役世代が考える以上に働けると実感している人が多い事が考えられます。 また、1ヶ月あたりの賃金の平均もみていきます。45歳~64歳の人では16.9万円、65歳~69歳の人では16.3万円となりました。 【定年60歳】仕事内容に満足も給与は不満 ここからは、60歳以上の人(400名)の、現在の仕事についての満足度をみていきます。 「満足している」と回答した人の割合をみると、「働き方」では70.3%、「労働時間」では73.8%、「労働日数」では73.3%、「仕事内容」では71.5%と、いずれも満足している人が7割以上の多数派を占める結果となりました。 一方、「賃金」では44.0%と半数以下という結果に。 6.23 17:38 定年を迎えて以降も働くシニアは、自分らしく働くことができていると感じているものの、賃金には満足していないことがうかがえる結果となりました。 次ページは:「年金支給が遅くなる」高齢者雇用の定着で【定年60歳】はたらくシニアの平均給与はどのくらい?高齢者雇用の実態とは 高齢者雇用が浸透してきている昨今ですが、同調査ではその弊害について懸念する声も上がりました。 全回答者(1000名)に、65歳以降も働くことが当たり前の時代になった場合、現役世代へはどのような影響があると思うか聞いたところ、「年金の支給開始年齢が遅くなる」(43.5%)が最も高くなりました。 次いで、「賃金の上がり方が緩やかになる」(30.6%)、「働く場が少なくなる」(25.4%)、「昇進・昇格が遅くなる」(16.4%)、「マネジメントが難しくなる」(15.1%)となりました。 年金制度や賃金の上昇具合に影響が出ることを予想する人が多いようです。 定年後の生活に早めに備える 今回は、高齢者の雇用の実態を解説してきました。 定年後も働き続けられれば、ある程度収入は見込めるでしょう。ただ、高齢になればなるほど、健康面のリスクがあります。いつ自分が働けなくなるかは誰にもわかりません。 また、年金だけで豊かな老後の生活を送るのもなかなか難しいでしょう。現役世代の元気なうちから、老後に備えた貯蓄について考えておくことが重要ではないでしょうか。 参考資料  ・日本労働組合総連合会「高齢者雇用に関する調査2020」 高齢者現状 定年後も苦しい…60代でもローン地獄から抜け出せない、サラリーマンの辛酸| "定年後も生活費のために働く?年金で足りない分の補い方に対する回答ース" 「高年齢者雇用安定法」改正…定年後の働き方はどう変わるのか 🎈🎈🎈🎈🎈ジョブ型にすると、働かない社員の給料を下げられる? ・問1 ITに詳しい人材を特別な高額年俸で採用してもいいですか?・問2  「こんな安月給では結婚もできない」と若手がぼやく・問3 ジョブ型にすると、働かない社員の給料を下げられる?・問4 職務記述書にどんな要素を入れればいいか分からない・問5 仕事はできるが、勤務態度が悪い古参をどう処遇すればいい? 新卒一括採用、終身雇用など日本企業の代名詞とされるメンバーシップ型雇用。これに対して、欧米型のジョブ型雇用は、ジョブディスクリプション(職務記述書)を作成し、その職務内容に基づいて必要な人をその職務内容に見合った金額で採用します。  ジョブ型が職務に対して人を付ける「就職」であるのに対して、メンバーシップ型は、人を採用してから職務を付ける「就社」と表現すると分かりやすいでしょう。雇用の起点が、職務ありきか、人ありきかという違いです。  そして、最近話題のこのジョブ型雇用に変更したら「働かない社員の給料を下げられるのか」と尋ねられることが増えました。  私は「下げようと思えば、下げられるでしょう」と答えています。ジョブ型は😊、職種ごとに職務記述書を作成するので、「ここに定めた仕事が十分にできていなければ、今の給料は維持できない」と迫ることは可能だからです。  でも、「社員の給料を下げたいから、ジョブ型を採用するのですか」と私は経営者に聞きたい。新しい賃金制度を導入する目的は、給料を下げることなのか、それとも社員の成長や定着を促すことなのか。自問自答してください。  また、働かない社員の給料を下げる前に、なぜ社内に働かない社員が生まれてしまったのかを考えるべきだと思います。ある日突然、その社員は働かなくなったのでしょうか。その社員に対して、きちんと働くように会社は十分な指導をしてきたのでしょうか。  もし、働かない社員の給料を下げた場合、必ず他の社員にも影響を及ぼします。「今度は自分の給料が下げられるかもしれない」と不安になるからです。それ以降、会社に忠誠心を持つことはないでしょう。組織にとってマイナスであることは明らかです。 働かない社員にはこう話すことをおすすめします。🎈🎈🎈🎈🎈🎈「あなたの本来の給料は○○万円です。○○の仕事ができるようになれば、今の給料を維持できます。給料を下げたくないので、○○の仕事ができるように成長してほしい。我々も一生懸命教えます」。これで社員がやる気になってくれれば、社員も会社もハッピーです。  この説明をするためには、一般職、中堅職、管理職における期待成果、その成果を出すための重要業務、必要な知識・技術、そして勤務態度を明らかにしなくてはなりません。さらに、社員の成長に連動した賃金制度もつくる。その上で、経営者には社員の前でぜひこう宣言してほしい。  「人事制度を見直して成長基準と給料を明確にしたために、我が社では、評価と賃金の一致しない社員はもう二度と生まれない」  私は「他社にならってジョブ😊型を導入しましょう」「働かない社員は排除しましょう」といった今の風潮には疑問を感じています。企業は目先の給料や労働分配率だけを見るのではなく、長い目で企業が成長するための人材育成をしていくべきです。真の問題はどこにあるのか、何のためにジョブ型を導入したいのかをはっきりさせることが先決です。  人事に関する問題は社員の採用、定着、成長の3つに帰着します。あなたの会社がジョブ型を導入するなら、3つのどこに焦点を合わせるのかを考えてみてください。 🎈🎈🎈🎈🎈🎈🎈🎈「定年後の再雇用」うまくいく人、ダメな人の差管理職で定年を迎えた人ほど早々に辞めるワケ この4月から「高年齢者雇用安定法」が改正となり、70歳までの就業機会を確保することが企業の努力義務となりました。現在は65歳までの雇用が義務化されていますが、そこからさらに5年という期間が努力義務となったことで、すべての企業ではないものの70歳まで会社に残って働ける可能性は増えてきたといっていいでしょう。 ところが現状では、定年延長どころか再雇用でも70歳までの雇用機会を設けているところはそれほど多くはありません。帝国データバンクが今年の2月に調べた結果によれば、定年を70歳まで延長するうえにしたへつずきとばすところはわずか3.4%です。比較的多いのは70歳までの継続雇用制度を採用するところで、これは25.4%です。その他の制度を合わせても何らかの就業機会の確保を予定しているのは43.6%ですから半分以下です。 さらにいえば、これは制度をつくるということであって、全員が必ず70歳まで雇用されるわけではなく、成果や能力の評価によっては雇用されないということもありえます。したがって、望めば誰もが70歳まで同じ会社で働けるというわけではありません。 70歳までの雇用をめぐる昨今の記事やコメントをみていると、「自己評価が甘すぎる」とか「自分の価値を冷静にみるべきだ」という比較的シビアな意見がみられますが、70歳までの雇用確保への取り組みはまだ始まったばかりです。むしろ、それ以前に現在の雇用延長制度、すなわち60歳から65歳までの再雇用制度にも問題点はあります。 🎈🎈🎈🎈🎈🎈🎈再雇用後の仕事に「判断する業務」はない 私は、自分自身も定年後に再雇用で少しの間、働いた経験がありますので、実体験からいわせてもらうと、再雇用でうまくいくかどうかの分かれ目は性格とか能力といった要素よりも、もっとシンプルな要因で決まります。結論からいえば、「現業で働いている人」はうまくいくことが多いですが、「管理職」はうまくいかないことが多いのです。私自身、定年前は管理職でしたので、60歳で定年になった後に再雇用で働き始めたものの、結局半年で辞めて自分で起業しました。 でも、これは考えてみれば当たり前の話です。現業で働いている人、例えば製造現場で作業に従事していたり、営業マンとして第一線で顧客開拓をしていたり、あるいは経理で実務をやっていたりという人であれば、自分のやるべきタスクがはっきりしています。もちろん、人によって能力差はあるものの、少なくとも“仕事がある”ことは間違いありません。 ところが、管理職のまま、定年を迎えた人は、とたんに“仕事がなくなる”ことが多いのです。管理職の仕事は「判断すること」です。でも定年後は多くの場合、管理職ポストを外れて一兵卒になりますから、管理職の業務=判断することはなくなってしまいます。もちろん、管理職としての仕事は、判断することだけではありません。自分の部門の業務をスムーズに進めるために上層部への根回しやトラブルが起きたときの対応、部下の評価といったこともありますが、多くの場合、そういった業務はなくなります。 定年後の再雇用において管理職のまま勤務を続けられるのであればいいですが、そういうケースはまだ少ないでしょう。したがって再雇用されたものの、管理職からは外れ、重要な仕事を任されることはまずありません。どんな内容であれ、自分が誰かに必要とされていると感じられれば、働くことに生きがいを覚えるでしょうが、そうでなければモチベーションは大きく低下します。では、管理職の人には定年後の再雇用においても、そのままの立場で残って働いてもらえばいいのかというと、事はそれほど容易ではありません。とくに大企業になればなるほど下から若い人がどんどん上がってきますし、ポストは限られますから、ずっと管理職のままでというわけにはいかないのです。だとすれば現在、管理職の人が60歳や65歳以降も一定の存在感を発揮して働きたいと思ったら、いったいどうすればいいのでしょう。それは「準備すること」に尽きると思います。 「準備」というと、定年後に再就職や起業をするのかと思うかもしれませんが、必ずしもそうでなく、会社に残る場合も「準備」をしておくことが大切なのです。では何の準備をするのか?ということですが、それは「自分の部署が行っている業務に対する理解と知識の補充」です。「何を今さら! そんなことぐらいわかっている」と思うかもしれませんが、長年管理職をやっていると実務に関する最新の知識はわからなくなっていることが多いのです。 なぜなら、実務は現場の若手がやっているからです。でも同じ会社で、再雇用で働く場合は昔と同じ一兵卒に戻るわけですから、判断する業務は不要で、実務をこなさなければなりません。したがって若手同様に現在の業務に対する最新の知識を補充することは必須です。他の部署に異動するのであれば、現在の業務の知識を覚えても無駄になるかもしれませんが、会社としても60歳以降にまったく経験のない業務に就かせて一から教育するなどということは効率が悪いでしょうから、多くの場合は現在の部署で立場を変えて仕事をすることになります。 再雇用後は「老後の初心」を忘れずに働こう 実務をこなすための知識を勉強し、その能力を身に付けることは欠かすことができません。「若手じゃあるまいし、今さらそんなことができるか!」という人は再雇用には向いていないと思います。いえ、再雇用だけではなく、転職にしても起業にしても素直に学ぶ姿勢がないと、おそらくどんな仕事をやってもうまくいかないでしょう。 室町時代に能を広めた世阿弥が著した『風姿花伝』の中に「老後の初心」という言葉が出てきます。60歳を迎えてから学ぶことを失わないことの大切さを説いているのですが、まさに再雇用でうまくいくために必要なことは、「老後の初心」ではないでしょうか。自分が会社に入った頃に一から学んだ業務のことを再び学ぶ、そのことに新鮮な気持ちと喜びを覚えることが再雇用で楽しく働ける秘訣だと思います。 「定年後の再雇用」うまくいく人、ダメな人の差 🎈🎈🎈🎈🎈🎈🎈🎈希望退職を募集して、応募者が「やっぱり辞めません!」と言ったら、どうする? 仕事は同じ給料は下がる責任も同じ役職亡くなったのに取引先は同 じと見る給料も役職も失うのに権限があるとみられる 単身赴任の弊害元に戻るの2倍以上かかる夫婦関係生活 新型コロナウイルスが雇用に大きな影を落としている。名だたる大企業や、安定した経営だと思われていた業種にも、早期・希望退職者を募集する企業が相次いでいる。経営コンサルタントの大前研一氏が、日本企業の早期・希望退職の増加について考察した。  * * *🎈🎈🎈🎈🎈🎈🎈🎈🎈 新型コロナウイルス禍の影響で、日本企業の人員リストラが加速している。  東京商工リサーチの調査によると、2021年の上場企業の早期・希望退職者募集人数が6月3日に1万人を突破した。1万人を超えたのは2020年(9月14日)より約3か月早く、実施企業数は2020年同日より17社多い50社で、募集人数も2020年同日より4121人多いという。人員削減は日本たばこ産業(JT)、KNT-CTホールディングス、LIXIL、東武百貨店、中京銀行、アステラス製薬など様々な業種の企業に広がっている。  また、内閣府が6月に公表した2021年版『男女共同参画白書』は、新型コロナの感染拡大による不況は女性の就業が多いサービス業などの接触型産業に強く影響を及ぼしたため、「女性不況」(シーセッション/She-Cession=SheとRecessionを組み合わせた造語)と呼ばれることもあると指摘した。  そういう暗澹たる状況の中で、パナソニックが既存の早期退職制度を拡充し、バブル入社組の50代を標的にした大規模リストラに着手すると報じられた。同社は創業者の松下幸之助氏が「事業は人なり」をモットーにしていたことから、これまで人員整理をタブー視してきた企業である。そのパナソニックまでもが大規模リストラに踏み切ったとなれば、今後も人員削減を行なう企業が相次ぐことは避けられないだろう。 🎈🎈🎈🎈🎈🎈🎈パナソニックが抱えた余剰人員  そもそも早期・希望退職募集は、経営者が“サボった”結果であり、好ましくないやり方である。たとえば、百貨店最大手の三越伊勢丹ホールディングスは2018年度から大々的な人員削減を行なったが、それは役に立たない中高年社員を、早期退職金を払って切り捨てたにすぎない。本来なら、彼らにICTやAIなどを活用したマーケティング・流通・販売の新しい知識と能力を身につけさせて雇用を継続する、あるいは他社から求められる人材になるよう再教育すべきだが、それができなかった。  パナソニックも同様だ。間接業務の革命的な変化に対応できず、ホワイトカラーの余剰人員を大量に抱え込んでしまった。さらに、その人たちがこれから必要とされるスキルを身につけて職能転換できるようにすることもできなかったからリストラするわけで、これは「社員を再教育して役に立つようにする知恵も自信もありません」と宣言したのと同じであり、経営者として最も恥ずべきことである。同社を9年間率いてきた津賀一宏会長(前社長)は、しばしば経済誌などで持ち上げられてきたが、結果を見れば、その経営手腕には大いに疑問を感じざるを得ない。 ただし、この問題はパナソニックだけでなく、大半の日本企業に共通する。  たとえば、ソニーは2003年の「ソニーショック(※)」以降、いわゆる「追い出し部屋」問題やパソコン・電池事業の売却などを経て、今はゲーム、映画、音楽、CMOSイメージセンサーが絶好調で2021年3月期に1兆1718億円の過去最高益を出した。しかし、間接業務のホワイトカラーに大鉈を振るわなければ、いずれはパナソニックのように失速しかねないと思う。 【※ソニーが2003年4月に同年1-3月期の大幅な赤字と翌年3月期の3割減益見通しを発表して株価が暴落し、日経平均株価も20年ぶりに7700円を割り込んでバブル崩壊後の最安値7699円50銭まで下落した】 日立は買収した海外企業に学ぶ  ソニーと同じく2021年3月期に5016億円の過去最高益を出した日立製作所も、間接業務の効率化を事業としていながら、その自動化において自社が世界の潮流から大きく後れを取っていた点では、パナソニックと大差なかった。  だが、2020年にスイスの重電大手ABBから買収した送配電子会社・日立ABBパワーグリッドの間接部門のやり方が画期的に違うことに驚愕し、同社の間接部門の専門組織に国内外の調達や総務、財務などの機能を集約すると報じられた。2025年度までの5年間で1700億円のコスト削減効果を見込んでいるというが、うまくやれば、グループ全体で年間1兆円程度は削減できると思う。  日立製作所の東原敏昭会長がABBの間接部門に着目したのは慧眼であり、買収した企業に花を持たせるのも非常によいことだ。将来は東京本社の間接部門の一部人員を海外へ移転させることも視野に入れているそうだが、私に言わせれば、間接業務はすべてABBに任せるべきだろう。  ことほどさように欧米企業は間接業務を徹底的に合理化・効率化しているから、生産性が高くなって収益が増え、給料が上がっているのだ。日本企業は🎈🎈🎈🎈🎈🎈日立製作所のケースを参考にして、間接部門の改革に可及的速やかに取り組まねばならない。それが新型コロナ禍を乗り越えてDX時代に成長するための必須条件なのである。 「早期・希望退職」の増加は経営者に知恵がない証拠 (1) 70歳までの定年引上げ(2) 定年制の廃止(3) 再雇用などで、70歳まで働ける制度を導入(4) 70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入(5) 70歳まで継続的に以下の事業に従事できる制度の導入a.事業主が自ら実施する社会貢献事業b.事業主が委託、出資(資金提供)等する団体が行う社会貢献事業 🎈🎈🎈🎈🎈🎈🎈🎈🎈ホンダといえば、給料や福利厚生などの待遇に恵まれた“社員に優しい”会社として知られている。そのホンダが、本気のリストラに着手。今年4月に募集をかけた「早期退職プログラム」には国内正社員の5%に相当する2000人もの社員が殺到した。特集『新・階級社会 上流国民と中流貧民』の#2では、割増退職金の詳細条件などプログラムの全容を明らかにすると共に、それと並行して進む“シニア追い出し”施策の実態に迫った。(ダイヤモンド編集部副編集長 浅島亮子) 50歳以上の社員4割の超高齢化希望退職に続くシニア追い出し策 「日本のホンダ社員に占める、50歳以上の社員の構成比が4割に上る。円滑に社員の世代交代を進めるために導入する」  これは、早期退職制度「ライフシフト・プログラム(LSP)」を導入するに当たって、ホンダ経営陣が管理職社員に向けて発信したメッセージだ。  今年4月に、ホンダは中高年社員を対象にLSPを実施。LSPは、定年より早期に辞めれば、通常の退職金に上乗せした割増退職金が加算される制度だ。早期退職対象者のうち希望する社員には、人材サービス企業による再就職支援など、転職に必要なメニューが用意されている。  ホンダは「募集人数や期限を定めているわけではなくクビ切りではない。あくまでも転身支援制度であり、早期退職制度という位置付けではない」という立場だ。だが、管理職に発信した「冒頭の一言」に経営の意思は凝縮されている。超高齢化まっしぐらのいびつな年齢構成を解消するために、ロートル社員の締め出しを急いでいるのだ。  制度導入の背景には、企業に高齢者雇用を強いる規制強化の動きもある。今年4月に施行された改正・高年齢者雇用安定法は、企業に対して70歳までの社員の雇用努力を義務付けるというもの。今後、年金の支給開始年齢の引き上げに伴い、努力義務から「70歳定年、あるいは70歳までの社員の雇用義務付け」へと規制が強化されることが濃厚になっている。  そうなれば、企業の人件費激増は避けられない。今のうちに中高年・シニア人材をリリースしておかなければという防衛本能が働くのは当然だ。  そして、10年ぶりに導入されたホンダの早期退職プログラムに対して、社員2000人超もの応募が殺到した。2021年3月期時点で、ホンダの日本地域における正社員は4万3472人(ホンダ本体、本田技術研究所、ホンダ・レーシングなどを含む)なので、全体の4.6%に相当する社員が手を挙げたことになる。  希望者の大量殺到に対して、中高年のホンダ社員からは複雑な本音が聞こえてくる。 「“老兵は死なず、消え去るのみ”ということだろう。周囲で手を挙げた人間も多く迷ったが、自分は居場所がなくなっても最後まで居続けようと思う」(50代後半ホンダ社員) 「自分たちが対象年齢に達した時には、退職金の原資が枯渇しているのではないか。辞める人に手厚く、現役社員の活力が高まる仕組みになっていない」(40代後半のホンダ社員)  一体、LSPとはどのような制度なのか。割増退職金の詳細条件などプログラムの全容を明らかにする。また、取材を進めると、LSPとは別の新たな「シニア追い出し施策」の遂行が進められていることが分かった。 問1定年再雇用の社員向けの人事制度でうまくいっているパターン、うまくいっていないパターンを知りたい。 答  大企業の場合、再雇用をしても65歳までが基本で、それ以上の年齢で働いている人は少ない印象です。一方で、私が人事コンサルティングを担当している中小企業のうち、4割以上が70歳以上の社員を雇用しています。  「再雇用の社員はお元気ですか」と経営者に聞くと「すごく元気です」と口をそろえて言います。仕事を通じて社会に貢献し、精神的に充実しているからでしょう。労働人口が減る中、元気なシニアは企業にとっても重要な戦力です。  質問への回答ですが、再雇用時に経営者が悩むのは、給料の「払い過ぎ」についてです。  2021年4月から、中小企業も「同一労働・同一賃金」制度の対象となりました。定年後に社員を再雇用して、それまでと同じ仕事を続けてもらう場合、給料を下げることはできません。  「再雇用後も同じ仕事を続けてほしいが、あなたにはこれまで給料を払い過ぎていたから、これからは給料を低くします」と悪びれずに言う会社がありますが、それでは社員の意欲は大きく減退しますし、そもそも法律違反です。 評価と給料を一致させる  多くの日本企業は年功序列型の賃金制度を採用し、定年近くまで年齢給と勤続給を自動的に昇給させています。その結果、社員の評価と給料が必ずしも一致していません。  私は前職の魚屋で人事制度を作りました。魚には旬の季節がありますから、社員が旬の知識を身につけているかどうかを評価要素の1つに設定しました。  例えば、「土用の丑の日」の知識があれば、社員は「今日は土用の丑の日なのでウナギはいかがですか」とお客様に声をかけることができます。大声で「いらっしゃいませ!」と呼びかけるだけでなく、知識によってお客様の購買率を上げることができるのです。  「旬の知識を身につけたら、成長点数(評価点数)が5点上がる」などと明確にすると、社員は勉強会に進んで参加しました。評価(成長点数)と給料が結びついているので「勉強するのは自分のため」とモチベーションが上がるのです。  会社にとって必要なこうした知識・技術をどれだけ習熟しているかに加えて、期待成果の実現度や重要業務の遂行度、勤務態度の順守度によって社員を評価して給料を決めれば、評価と給料は一致します。そうではなく年齢や勤続年数で給料を決めると、払い過ぎている社員が出てきます。  大事なのは、入社時から各社員の成長を「可視化」し、常に評価と給料を一致させておくことです。そして、例えば成長点数が20点の社員がいれば、60点、80点になるように指導していく。再雇用のときになって「払い過ぎだ」と慌てても、手遅れなのです。 再雇用は個別対応で  評価と給料が一致している会社では、再雇用後もその人事制度をそのまま活用しています。再雇用後も社員が成長したらそれを評価して給料に反映するので、🎈🎈🎈🎈シニア社員も会社もハッピーです。  ただ🎈🎈🎈🎈🎈🎈、働き方は多様になります。「再雇用後もバリバリ働いて残業もしたい」と考えるシニア社員がいる一方で、「50代より仕事量を減らしてゆっくり働きたい」と考えるシニア社員もいるでしょう。  「60歳を過ぎたから一律で給料を何%下げる」といった対応ではなく、どんな働き方をしたいのかを一人一人と毎年きちんとすり合わせ、業務の内容や量、働き方に合った給料を決定してください。  そして「気力・体力さえあればマネジャー職を続行できる」、または「もう部下の指導はせずに専門職として働く」など、60歳を過ぎた後にどんな働き方の選択肢があるのか、経営者はあらかじめ社内で示しておくようにしましょう。  また、シニア社員の場合、勤続年数を重ねるにつれて働く時間は徐々に短くなっていくのが一般的です。元気なうちは週5日のフルタイムで勤務していても、体力が落ちてきたら出勤日数や勤務時間はどの程度、柔軟に変更できるのか。社員のためにも仕組みをきちんと設計しておきましょう。  ちなみに、65歳になれば年金が支給されるため、業務量や仕事の内容を変えることで給料を下げても、社員から不平不満が出ることは少ないようです。  輪転機の東京機械製作所は55人程度🎈🎈🎈🎈🎈🎈大和ハウス、早期退職制度を拡充 新型コロナ禍が続く中、8月も上場企業による希望(早期)退職者募集の動きが止まらず、輪転機メーカー大手の東京機械製作所、医薬品卸大手のスズケンなど4社を数えた。これで36カ月連続となり、丸3年に及ぶ。ただ、1~8月累計では35社と前年同期を3割強下回っており、勢いは弱まりを見せている。 輪転機の東京機械製作所は55人程度 東京機械製作所は8月30日、50歳以上の正社員・嘱託社員を対象に55人程度の希望退職者を募ると発表した。募集期間は9月13日~30日。主要ユーザーである新聞業界は販売部数の落ち込み、広告収入の減少に歯止めがかからず、設備投資に慎重な姿勢を強めており、輪転機の受注が低迷。募集人数は連結従業員の約14%にあたる。 東京機械製作所は目下、大規模な株買い占め問題の渦中にある。7月下旬、東証2部上場で投資事業を手がけるアジア開発キャピタルの子会社が東京機械株の8.08%を新規保有し、筆頭株主に躍り出た。その後も買い増しが続き、保有割合は現在38%を超える。これに対抗するため、東京機械は10月下旬に臨時株主総会を開き、買収防衛策発動の是非を諮る予定で、激動の秋が待ち構える。 特殊ガラスメーカーの岡本硝子は、グループの正社員を対象に30人弱の募集を始めた。希望退職者募集は昨年6月(20人弱)に次いで2年連続。主力のプロジェクター用反射鏡関連は復調傾向にあるものの、一層の固定費削減と需要に合わせた事業体制の構築が欠かせないと判断した。 大和ハウス、早期退職制度を拡充 医薬品卸大手のスズケンは同社と主要子会社3社で退職者を募る。スズケンの連結従業員は約1万5000人だが、今回の募集人数は非公表。抜本的な構造改革の一環として、人員と年齢構成の適正化を進めるのが狙い。 スズケン本体のほか、退職者を募るのは地域販売会社のサンキ(広島市)、アスティス(松山市)、翔薬(福岡市)の3子会社。スズケンでは45歳~59歳の正社員を対象とする。 早期退職優遇制度を拡充したのは大和ハウス工業。従来の制度は4月1日時点で49歳もしくは54歳、勤続15年以上が条件だったが、今回、対象年齢を45歳に引き下げ、勤続10年以上、54歳までの社員であれば応募できるようにした。世代の不均衡是正が主眼という。人数は設けず、8月11日から9月10日まで募集中。 正式発表していないが、ホンダは55歳以上の社員を対象に実施した早期退職に2000人超の応募があったことが8月初めに報じられた(今回の集計にはカウントせず)。 コロナ禍の1年目にあたる2020年の上場企業による希望退職者募集の発表は93社(延べ97社)に上り、2019年の2.6倍に急増した。2021年1~3月も前年を上回るハイペースだったが、4月以降は前年を下回り、8月までの累計は35社(募集人数は約3700人)とピークを越えた感がある。 月別の希望退職者募集は2018年9月からこの8月まで36カ月連続で、ついに丸3年となった。 ◎8月公表:希望(早期)退職者募集の一覧 社名募集人数と期間東京機械製作所55人程度(9月13日~9月30日)岡本硝子30人弱(8月30日~9月17日)スズケン人数非公表(10月18日~29日)大和ハウス工業人数定めず(8月11日~9月10日)  🎈🎈🎈🎈🎈🎈🎈🎈定年制を廃止したYKK、人事部長が明かす決断への思い YKKは4月、国内事業会社で定年制を廃止した。少子高齢化で現役世代の人口が減少する中、今後も会社が発展を遂げるには「全ての社員にこれまで以上に年齢に関わらず活躍してもらいたい」(寺田創執行役員人事部長)との思いが背景にある。高齢の社員が残留しても、若い世代が萎縮せず活気のある組織を維持できるか試される。 グローバル展開しているYKKは海外事業会社が89社あり、海外では既に社員の処遇に年齢を基準としない国がある中、「国内事業会社でも年齢に言及すべきでないとかねて考えていた」(同)という。また経営理念に「公正」を掲げており、年齢を基準とした一律退職である「定年制度」や、再雇用で給料が下がるような処遇は「公正ではない」(同)と感じていた。こうした思いも、定年廃止を後押しした。 同社は元々、成果・実力主義を掲げ、「役割」を軸とした人事制度を導入してきた。ベテランも若手も適材適所で配置し、役割に応じて公正に処遇するよう努めてきた。高齢の社員も、従来と同じ職務内容・役割であれば、処遇はこれまでと同水準となる見込みだ。 社員は65歳までに面談などを行いながら、自ら65歳以降の働き方を決められる。職務は64歳までの経験やスキルを考慮して決まる。実は、まだ65歳に達した社員はおらず、本格的に定年廃止の影響が出てくるのは24年4月以降という。「それまでに人事制度の詳細を詰めたい」(同)としている。過去数年間、社内で定年廃止を議論した際、ベテランからはまだまだ働けると期待の声が挙がる半面、若手からは将来、自分たちに管理職のポストが回ってこないのではと不安の声があったという。こうした声に対応し、「管理職が適切なタイミングで後進に道を譲る制度を導入していく」(同)。また年齢に関わらず果敢に挑戦する社員を公正に評価・処遇し、組織の活性化を図る方針だ。 「人生100年時代」を迎え、中高年以降の「第二の人生」が注目されている。そんな中、広告大手の電通が、40歳以上の一部の正社員を個人事業主に切り替える制度を始めた。対象者は電通を退職するが、10年間一定の固定給を得ながら、自分のやりたいことに挑戦できるという。しかし、そんなにうまくいくのだろうか。いわゆる「リストラ」ではないのか。電通を飛び出した元社員の挑戦から、会社とベテラン社員の新たな関係を探った。【松岡大地/経済部】 目指すは陶芸家  真夏の日差しが照りつける8月上旬の平日。東京都世田谷区の陶芸教室「祖師谷陶房」で、大谷麻弥さん(54)がろくろを回していた。「陶芸家というにはまだまだですが、会社員時代に比べて、少しずつ上達しています」と笑顔を見せる。来年2月には展示会を予定しており、将来は陶芸家として自立を目指している。  大谷さんは昨年末まで電通の社員だった。1992年に入社し、18年間アートディレクターとして大手企業の販促ポスターや新聞広告のデザインを担当した。しかし、長男の出産を機に現場を離れ、主に人材開発部で社員の健康管理などをしてきた。  育児の時間を融通しやすくなった一方で、モヤモヤした気持ちも抱えていた。「人材開発は大事な仕事ではあるけれど、自分に向いているのかなという思いがあった。やはり形ある作品を作りたい気持ちが捨てきれずにいた」。そこで、プライベートで十数年前から陶芸を習い始めると、面白さにとりつかれた。「クライアント(顧客)の仕事ではなく、自分が好きな作品を作れることが面白くて、上達したい気持ちが芽生えた」  「どこかで早期退職をしよう」。7~8年前からそう思っていたが、決断できずにいた。「陶芸家として独立するには時間がかかる。うちはシングルで自分が働かないと収入が得られない。中学生の息子の教育費もかかることを考えると踏み切れなかった」 ↑さらば正社員 中高年を個人事業主にした電通の「大実験」 2020年も、残り1カ月を切った。歴史的パンデミックとの共存を迫られる中、大きな変化があったものといえば、私たちの「働き方」だろう。リモートワークの導入を端緒に、労働の当たり前を問い直す時間は、今も続いている。 働き方の変化のなかでも、顕著だったものの1つが、特化したスキルを持った「プロ人材」を現場のニーズに合わせて配置する「ジョブ型」の台頭だ。コロナ禍においては、日立製作所、資生堂、KDDI、三井住友海上などの大企業が導入を発表したことでも話題となった。最近では電通やタニタをはじめ、正社員を業務委託として「再契約」することで、柔軟な働き方を推進する動きも出てきている。 一方で、チームワークを尊重する「メンバーシップ型雇用」を慣行とする日本企業との齟齬が生まれやすい点をはじめ、ジョブ型のリスクを指摘する声も上がる。コロナ禍を経て、日本企業の雇用形態は、どのように変化していくのだろうか。 大企業での導入事例も増える中、雇用のあり方に変化が起きる日は近い。あなたの会社も、決して例外ではない。 「ジョブ型導入」の相談が劇的に増えている 「日本企業には合わないという声も多いが、デジタル化、グローバル化を進め、競争力を高めるためには“やらざるをえない”状況でしょう」 ジョブ型についてそう語るのは、人材・組織コンサルティング会社のマーサージャパン取締役、白井正人氏だ。2020年、白井氏に寄せられた相談のうち半分近くが、ジョブ型の導入にかかわるものだった。「昨年、一昨年と比べると、劇的に増えている」と相談内容の変化を語る。 コロナ禍において、突然注目を浴びたジョブ型。高い専門スキルを持った「プロ人材」を採用し、業務効率の改善やイノベーションの創出を、一足飛びで狙うものだ。年齢給などが排除され、スキルによって給与が決まり、転勤や異動の義務はない。一方で、雇用保障が弱く、結果が出なければ即退職を促されるというシビアな一面もある。。 「現場責任者を面接に同席させ、実際に会って話をすることで、既存のメンバーが納得した状態で迎え入れることができ、業務もスムーズになります。いくら優秀だからと言って、独断で連れてきたプロを入れても、現場は反発してしまいますからね」と、古賀氏は語る。  高齢者現状お役立ち情報  社員全員「業務委託」にした会社に起きた変化大企業によるジョブ型導入の相談も増えてい「。。 丸山 彰良さんの最新公開記事をメールで受け取る(著者フォロー  読み物労使の方へ。高齢者の原料。現状。 高齢者の現状。 プロフィール 田原 孝明(たはら・たかあき) JILPT統括研究員 高齢求職者のニーズに合った求人を 正社員制度にほころびが見えてきた。高度経済成長を支えた終身雇用や年功序列などの仕組みが今は逆に日本企業の競争力をそいでいる。どうすれば社員のやる気を引き出せるか。タニタは正社員にあえて退社してもらい、業務委託契約を結び直す大胆な施策を打ち出した。会社と働く側の新たな関係性を探る挑戦だ。 退社して業務委託契約 社外の仕事も自由に 中高年の給料激減!主要企業のデータ初公開!大企業の5割導入 役職定年の悲哀 「53歳で年収が3割減」など、一定年齢になるとシニアの年収が激減する「役職定年制度」。この制度は1000人以上の大企業の5割で導入されている。ところが、これまで役職定年の詳細が世に出ることは、ほとんどなかった。そこで、ダイヤモンド編集部では主要企業の役職定年の実態、実額を徹底調査。そこからは、残酷なまでの悲哀が浮き上がってきた。 #1 8月1日(月)配信 NTTは「55歳で年収3割減」の役職定年、富士通・NECは廃止も新制度はよりシビアに 東京海上は年収3割減、あいおいも激減!🎈🎈🎈🎈🎈🎈🎈損保大手50代役職定年で給料激減の悲哀 「NTTは『55歳で年収3割減』」「東京海上は年収3割減」。  これが大企業での役職定年の実態だ。役職定年とは、一定の年齢と職位に達した管理職を、一律で役職から外すとともに年収が激減する制度のこと。冒頭のように、3割減少することは珍しくない。ローンや教育費を抱えるシニアにとっては大打撃だ。  しかも、実は大企業の多くがこの制度を採用している。厚生労働省の「平成21年賃金事情等総合調査(退職金、年金及び定年制事情調査)」によると、従業員1000人以上規模の企業の約50%は役職定年制度を導入。ダイヤモンド編集部の調査でも。社員3001人以上の企業ではなんと75%が導入しているという結果が出た(調査詳細は次ページ)。  にもかかわらずだ。役職定年制度は当該企業の社員にはあまり存在や詳細を知られていない。定年と異なり社員規定などで明文化していない企業も多いため、中には当事者になる直前で初めて、人事部から個別に制度の存在を知らされる社員もいるという。  年収が激減し人生を左右する制度であり、しかも大企業のほとんどが導入している。しかし、まるで「存在しない」かのように、本人たちには詳細を知らせていない。はっきりいって、これは大問題だ。  そこでダイヤモンド編集部では役職定年の全貌をつかむため、アンケート調査を実施した。  本人に特に過失がないのに実際に定年を迎える日まで管理職の仕事を全うできず、定年の数年や10年前の時点で年齢を理由に一線から外す、という役職定年制度は、本人にとっては納得がいく制度ではないだろう。アンケートでも「能力や実績を加味せず年齢のみで一方的に役職を解かれ減給されるのは、納得感がない」「業績評価次第では減給とならない制度にしてほしい」などの声が集まった。  役職定年制度はそもそもなぜ生まれたのだろうか。「1986年に施行された高年齢者雇用安定法で、それまで55歳または57歳だった定年が60歳に延長されたことがきっかけだった」と定年後研究所の池口武志所長は指摘する。  つまり、定年の延長が法律で定められたので企業はそれに従い雇用延長をする義務を負ったものの、それまで就いていた役職からはかつて定年だった年齢で退いてもらう、とした経過措置がそもそもの始まりだったというわけだ。その後、団塊世代やバブル世代などで大量に採用された世代が占めていた管理職ポストを、次の世代に回して組織の新陳代謝を図るための手段として企業に使われてきた。  だが今、この制度は幾つかの理由で見直さなければ後々企業経営に大きな禍根を残すことになりそうな状況になっている。  次ページからは「対象年齢」や、「給料の減額幅」などアンケート結果をひもときながら役職定年制度の現実を見てみよう。そして、なぜこの制度がさらに問題となりそうなのか、その解決策はどこにあるのかについても考えていく。 🎈🎈🎈🎈🎈🎈日立は本部長間で約500万円もの年収格差 降格もあり得る“冷徹”人事制度  バブル期に入社した40代後半から50代の人材がダブついているのは多くの日系企業に共通する課題だが、電機業界もその例に漏れない。  かつて、日立製作所にも役職定年制は存在し、50歳以上で担当者クラスや課長級程度だった社員は、グループ会社への出向(後に転籍)や、55歳程度で日立本体にいながら役職定年というパターンで、大幅な賃金カットの憂き目に遭ってきた。後者の場合、社員の年収は役職定年時に約4割ダウンすることもあったという。  だが2014年3月期の「グローバルグレーディング」導入を前に順次、役職定年制は廃止された。グローバルグレーディングは海外子会社を含む全世界の管理職5万ポジション(当時)の序列を世界統一の基準で評価し、等級分けを実施する仕組みだ。上位ポストから下位ポストに降格させれば、年齢が高いというだけで高額報酬を払い続ける必要はなくなる。  日立は人事制度改革の手を緩めなかった。23年3月期にジョブ型の人事制度を本格導入したのだ。これにより、非管理職を含む全社員のポジションごとにジョブディスクリプション(JD、職務内容を詳しく記述した文書)を作成し、JDが求める必要要件を満たす社員を適材適所で配置することになった。  これらの改革で、給料は年功序列ではなく、ポジションごとの難易度で決まる傾向が強くなった。役職定年制を復活させる必要性はもはやないというわけだ。  ただ、その結果、日立では役職定年性の時代よりもシビアな人事が多発している。実は同じ役職でも500万円の差が生まれることすらあるのだ。  同様にNECと東芝でも劇的な人事制度の変化が進む。かつての出世のメカニズムは通用せず、日立同様に格差が生まれようとしている。3社に何が起きているのか。何歳時点でどれくらいの給料が減るのかなど、具体的な内実を見ていこう。 キリンビールの年収「57歳で3割減」でアサヒと明暗…食品業界50代の給料事情 電力業界の頂点に君臨する東京電力ホールディングスにとって、都市ガス業界の王者、東京ガスは永遠のライバルだ。売上高の規模、顧客基盤において東電が東ガスを長年にわたって圧倒してきた。果たして、中高年社員の待遇も東電が東ガスを上回るのだろうか。特集『中高年の給料激減!主要企業のデータ初公開!大企業の5割導入 役職定年の悲哀』(全17回)の#6では、900万円という大きな格差を生む背景に迫る。そしてその格差はさらに拡大するかもしれない。(ダイヤモンド編集部 堀内 亮) 福島第一原発事故を境に 東電社員の待遇が暗転  首都圏を地盤とする東京電力ホールディングスと東京ガスは、顧客の光熱費争奪戦で激しくしのぎを削ってきたライバルだ。  持ち株会社制度に移行する前の旧東京電力が2004年、タレントの鈴木京香さんがCMでオール電化住宅の導入を訴える「Switch!」キャンペーンを仕掛けると、東ガスは、06年からタレントの妻夫木聡さんが都市ガスをアピールするCMシリーズ「ガス・パッ・チョ!」で対抗した。  ライバル関係にあるとはいえ、東電は東ガスより会社としての格がはるかに上だと自負してきた。当時は東ガスの5倍近い売上高5兆円、顧客基盤はほぼ2倍の2200万件に上り、そして財界のトップである経団連会長を送り出す名門企業としての矜持があったからだ。  むろん、社員の待遇も上回っていた。10年3月期の有価証券報告書によると、管理職を含まない東電社員の平均年間給与は約757万円。これに対し、東ガスは約718万円だった。  ところが、である。11年3月に発生した東電福島第一原子力発電所の事故を境に、東電社員の待遇は暗転する。  次ページ以降では、東電と東ガスのベテラン社員が57歳での年収で最大900万円もの差がつく裏事情を、具体的な年齢や役職などを基につまびらかにしていこう。すると、この格差がさらに拡大する可能性も見えてきた。 過去最高益が続々の総合商社 商社マンの生涯賃金は5億円  総合商社の勢いが止まらない――。商社の2022年3月期決算は、大手7社全てが従来予想を上回って最高益を更新。ロシアのウクライナ侵攻による損失を一部で計上したものの、資源高などを背景に好業績をたたき出している。  三菱商事の純利益は前期比でなんと5.4倍の9375億円を稼ぎ出し、2期ぶりに商社トップに返り咲いた。次いで、三井物産は同2.7倍の9147億円となり、商社2社が純利益9000億円を突破。三菱商事に逆転されたとはいえ、前期決算で商社トップとなった伊藤忠商事も、同2.0倍の8202億円となっている。  生涯賃金5億円――。商社マンの年収たるやすさまじい。一般的なサラリーマンの生涯年収の約2倍近い年収を稼ぎ出すのが、総合商社のエリートサラリーマンだ。直近の有価証券報告書によれば、三菱商事の平均年収は約1559万円、三井物産は約1549万円、伊藤忠商事は1580万円、住友商事は1406万円、丸紅は1469万円と記載されており、その水準の高さには驚くばかりである。  高給なだけに仮に他の企業と同じような役職定年制度があれば、打撃も大きそうだ。役職定年とは、一定の職位や年齢になると職を解かれ部下なしとなる制度のことで、多くは給料が激減するからだ。  では、商社の役職定年制度はどうなっているのか。一言で言えば、他の業界の役職定年とまったく異なり高待遇に尽きる。ただし、一部の役職定年制度をなくした商社では、新制度の下、熾烈なポスト争いが生まれている。  三菱商事、三井物産、伊藤忠商事、住友商事、丸紅、豊田通商の破格の優遇ぶりを年齢と実額で開陳。新たな出世のメカニズムとともに、次ページ以降で紹介していこう。 ソニー「事業部長→平社員」降格の超シビアな役職定年、パナソニックは制度廃止に動いて誤算 国内製薬会社で製薬関連売上高トップ3の武田薬品工業、アステラス製薬、第一三共。しのぎを削る3社は、役職定年制度の有無に経営スタイルや社風が表れている。もっとも、役職定年後の給料でも1300万円を超えることがあり、「高給」は健在だ。特集『中高年の給料激減!主要企業のデータ初公開!大企業の5割導入 役職定年の悲哀』(全17回)の#9では、製薬業界のシニア高給事情を明らかにする。(ダイヤモンド編集部 土本匡孝) 平均年間給与「1000万円超え」の 武田薬品、アステラス、第一三共  製薬業界は、革新的な医薬品を生み出すこと、つまりイノベーションが最重要視される。そしてイノベーションに対して価格が付き、社員の報酬に跳ね返る。要するに、高給取りとなる。  ただし希望退職者募集の頻度が高く、人材の流動性は高い。リストラでなくとも、平時から競合他社にキャリアアップの道を求める“業界渡り鳥”も少なくない。  さて国内の製薬関連売上高トップ3の武田薬品工業、アステラス製薬、第一三共は、いずれも平均年間給与(単体ベース)が1000万円超であり、製薬業界の中でも特に高給の企業として知られる。  業界をあまり知らない人へ“3社のキャラ”をご紹介すると、武田薬品は報酬18.5億円のクリストフ・ウェバー社長兼CEO(最高経営責任者)の下、近年急速にグローバル化を進めた「イケイケ」タイプ。アステラスも報酬4.5億円の安川健司社長兼CEOの下、武田薬品ほどではないが大胆な組織変革を遂げた「準イケイケ」タイプ。なお両社は開示、非開示を問わず、近年頻繁にリストラを行っている。また特に幹部クラスで人材の流入、流出が目立つ。 * 6/23 18:30 一方、第一三共は前の2社と比べると、「おっとり」タイプ。年功序列的な組織運営など、日本的かつ保守的な姿勢が色濃く残る。眞鍋淳社長兼CEOの報酬は3.4億円と抑え気味で、報酬面では比較的フラットな組織となっている。人材の流動性は前の2社と比べれば目立たない。  いずれにしても3社に共通するのは「高給取り」ということ。であるならば、「役職定年制度」の有無や、給料の減額幅も気になるところだ。役職定年とは一定の年齢になると役職を解かれ、多くは部下なしとなり年収が2~3割の大幅減となる制度。  一般的にも“強制的な大幅報酬ダウン装置”と恐れられているが、製薬業界はベースの給料が大きいだけに、さらにインパクトは大きくなる。  3社の役職定年事情はどうなっているのか。実は、そこにも“キャラ”が表れていた。ある会社では年収が400万円も激減する場合もある。一方、別の会社では役職定年制度はないが、よりシビアな現実が待っていた……。次ページから、どのようなタイプなら年収が下がらないかも含めて、具体的な金額とともに明らかにしていく。 🎈🎈🎈🎈🎈🎈公務員65歳定年制開始で 国家・地方公務員に何が起きるか?  役職定年制度の見直しやジョブ型への移行などに動く企業が増える中、これから導入するところもある。全国で国家59万人、地方274万人が存在する公務員だ。  国家公務員には、霞が関や地方にある国の機関に勤めるいわゆる官僚、それに検察官などの「一般職」と呼ばれる公務員が約29万人、そして裁判官、防衛省職員、大臣などの「特別職」と呼ばれる職員が約30万人いる。さらに全国に散らばる地方公務員、合わせて330万人余りがゆくゆくはこの制度の対象になることになる。  そもそもなぜ今、公務員で役職定年制度が採用されるのか。それは公務員の定年延長に伴うものだ。  国家公務員法と地方公務員法の改正により、2023年4月から国家・地方公務員の定年が、現在の60歳から段階的に引き上げられることになった。2年ごとに1歳ずつ定年を引き上げ、23年度と24年度は60歳定年を61歳定年に、25年度から26年度は62歳に、というように徐々に延ばす。31年度以降は65歳定年制に完全に変わる。  民間企業でも今後25年4月から65歳への定年延長が義務化されるが、公務員もこれに合わせて延長となるわけだ。これに伴って、60歳以降の職員に適用されるのが役職定年である。つまり「50代のある時期で役職を外されて給料をカットされる」という、本特集で見てきた民間企業の役職定年とは少し意味合いが異なる。  そもそも、これまでシニア公務員の働き方はどうなっていたのか。キャリア官僚の天下りなどに代表されるような、定年前の自主退職や企業、団体への転職が一つ。それに60歳以降の「再任用」制度を利用するのがもう一つの手段だ。  再任用制度は13年から年金支給開始年齢が65歳に繰り下げられたため、無年金となる期間の収入を補うためにできたものだ。  1年更新で、希望者は全員応募できるが、給料は大幅に下がる。公務員の給料は役職と職務について与えられる「級」と、年次や評価によって定まる「号俸」で決まるが、再任用の場合はどんなに高い号俸だった人でも級によって固定の、しかもほぼ最低の号俸にまで引き下げられてしまうからだ。  この再任用制度が廃止され、それに順次入れ替わっていく制度が、今後採用される定年延長と役職定年制度というわけだ。その内容はどうなっているのか。  最も気になるのは「再任用制度よりも給料は下がるのか?上がるのか?」だろう。その点を含めて、年齢、役職、金額など具体的に変更の中身を紹介。新制度で業務過多の若年公務員の働き方は改善されるのかも、次ページで見ていこう。すると、公務員向けの役職定年制度は、かなり思い切った制度であることが浮かび上がってきた。 最大手2社でも年収1000万円を超えない 給料は安い小売り・流通業界の役職定年事情は?  社員数が多く、そして平均給与が安い小売り・流通業界。役職定年制度の状況はどうなっているのだろうか。  傘下に総合スーパーを抱える小売り大手は、概して社員数が多い。セブン&アイグループで8万3635人、イオングループで15万5465人いる。さらに、平均年間給料はセブンが739万円、イオンが856万円(共に親会社のみ、有価証券報告書ベース)で1000万円を超えない。最大グループの2社がこの水準ということは、あとは推して知るべしだ。  ちなみにコンビニではローソンが同1万0362人・634万円、ファミリーマートが6881人・618万円、百貨店では三越伊勢丹HDが9691人・711万円、丸井グループが4654人・642万円、専門店ではファーストリテイリングが5万5589人・964万円となっている。  小売業の場合、現場で販売に従事するのは臨時雇用の契約社員や非正規雇用社員の比率が圧倒的に高い。フランチャイジーを束ねるコンビニチェーンの場合は本部の規模が比較的小さく、直営店を持ち運営するスーパーなどの場合は社員数が比較的多い。  また、元ダイエーグループのローソンや、元西友グループのファミリーマートなど、スーパーグループから分離して商社傘下に落ち着いた企業と、再編を経ずに今に至る企業とでは、その成り立ちが大きく異なる。そのため、役職定年制度に関してもシニア社員の活用については大きく分かれた。  役職定年制度とは、一定の職位や年齢になると職を解かれ、部下なしとなる制度のこと。多くは給料が激減してしまうだけに、もともとの水準が低い小売り・流通業界のシニア社員にとっては死活問題といえよう。  セブン・イレブン-ジャパン、イトーヨーカ堂、ローソン、ファミリーマートや三越伊勢丹HD、丸井グループ、ファーストリテイリング、日本郵便について、シニア人事制度の詳細、年齢、役職、給料の減額幅などを具体的に見ていこう。日本郵便のように「給料がほぼ半額になる」制度がスタートしている会社もあり、シビアな現実が浮かび上がった。 50歳を過ぎたら片道切符 銀行のシニアは今?  片道切符――。銀行員が融資先など取引先に出向するといえば、こういった印象を持つ人が多いだろう。実際、同時に入行した同期の中から執行役員が誕生するのが50歳を過ぎたあたり。出世競争に敗れた銀行員たちが銀行を去り、グループ会社や民間企業に出向していくことから、悲哀の象徴として語られることが多い。  こういった出向は規定に明文化されているわけではないが、暗黙のルールとして行われてきた。30代での出向は銀行本体への復帰が約束されているが、40代後半からの出向は、二度と銀行に戻ることがない片道切符である。霞が関のキャリア官僚は、年次が上がって同期が出世するたびに周りは徐々に退官していくが、それと同じような慣習といえる。  霞が関には今もこうした慣習が残るが、銀行はどうか。多くの金融機関が年次に縛られているのに変わりはないが、出向する慣習については銀行によって違いが出てきたようだ。  その理由の一つに、歪な年齢構成がある。この話で避けては通れないのが、バブル入社組の存在だ。バブル入社といえば、1988~92年に大学を卒業して社会に出た世代を指す。詳細は次ページ以降に譲るが、大手銀行はバブル期に新卒者を大量に採用、90年には現在の3メガバンクで約4000人弱の大卒総合職を採用している。  これらバブル入社組はすでに50歳を超えているが、人数が多いバブル入社組に対し、バブル崩壊後に訪れた就職氷河期世代の人員が極端に少ない。その後、合併を繰り返し、公的資金の注入などによるリストラもあって、メガバンクの人員構成はかなり変わってきている。故に、同じメガバンクであっても、50代の処遇にはかなりの違いがある。  三菱UFJ銀行に三井住友銀行、みずほ銀行の3メガバンクに加え、あまり表に出ることがない日本銀行、そして地方銀行ではトップクラスの規模と収益力を誇る千葉銀行では、いったいシニアはどういった処遇になっているのか。年齢や役職によって年収はどれくらい減るかに加え、出向先や転職先の事情など、全て具体的な生の声と共に次ページ以降で明らかにしていこう。 70歳まで給料激減制度なしで働ける!?ゼネコンがシニア社員に優しい「ある事情」ダイヤモンド編集部 藤田章夫:編集委員特集中高年の給料激減!主要企業のデータ初公開!大企業の5割導入 役職定年の悲哀 ある事情から、昨今のゼネコン業界はシニア社員にとても優しい。例えば、中高年の給料が激減するような役職定年制度を持つゼネコンは少ない。さらに大成建設では、条件を満たせば70歳まで働けるという。一方、不動産会社はどうなのか?特集『中高年の給料激減!主要企業のデータ初公開!大企業の5割導入 役職定年の悲哀』(全17回)の#16では、ゼネコンがシニア社員に優しい事情を詳述する。(ダイヤモンド編集部編集委員 藤田章夫) 歯止めがかからぬ人手不足と高齢化 シニアに優しい建設業界  人手不足と高齢化――。建設業界を語る上で、この話は避けては通れない。国土交通省の調べによれば、1997年に建設業界の就業数は約685万人となりピークを迎えたが、その後は減少の一途。2020年には492万人となって500万人を割り込み、実にピーク時の約3割減となっている。  就業人数が減る一方で、高齢化にも歯止めがかからない。建設業に占める55歳以上の割合が3割を超えてからすでに10年以上が経過しているが、現在では36%を占める。なんと、建設業従事者の3人に1人が、55歳以上というわけだ。片や、29歳以下は約1割でしかなく、かなり高齢層に偏った業界といっても過言ではない。  そこには、公共工事の減少などで長らく建設投資が減ったことに加え、労働環境の厳しさなどから若者の「建設離れ」が進んだことが挙げられる。むろん、これは下請けや孫請けなど現場を含めた建設業全体の話であり、その頂点に君臨するスーパーゼネコンの置かれた状況は少々異なるが、他業界と同様に氷河期世代や若手が少ないことに違いはない。  しかも、アベノミクス以降、東京オリンピックなどもあって、ここしばらく建設業界は建設ラッシュに沸いてきた。故に、人手不足はさらに深刻度を増している。そうした中で、ゼネコンに役職定年制度はあるのだろうか。  役職定年制度といえば、一定の職位や年齢になると職を解かれ、部下がいなくなる制度のことで、多くは給料が激減してしまうことをいう。そこで、下図をご覧いただきたい。    本特集の#3『「シニアの給料激減制」を大企業の7割が採用!独自アンケートで判明した“役職定年”の全貌』で示した通り、従業員101人以上の企業で半数以上が役職定年制度を導入し、201人以上の会社での採用率は6割にもなる。ところが、建設業界に限ってみれば、「現在導入されているまたは過去に導入されていた」の割合は3割弱でしかない。  人手不足の深刻さの度合いが高い建設業界だけに、他業界に比べて役職定年制度が少ないことが如実に表れている。では、鹿島や大成建設、大林組、清水建設といったスーパーゼネコンたちのシニア事情はどうなっているのか。総じてシニアに優しい制度となっているが、役職定年制度の有無や定年の延長、再雇用の条件などで違いのあることが分かった。次ページ以降で年齢、役職、年収などを具体的に詳述していこ 創業支援等措置の導入に際して、企業側は業務委託の方法や報酬についての仕組みを新たに決め、下記の事項を記載した計画を作成します。   七十歳 現役生涯現役時代         🎈🎈🎈🎈🎈ニッセイ基礎研究所 2016年06月20日 (前田 展弘) 高齢化問題(全般) 関連カテゴリ 基礎研レポート 高齢化問題(全般) 高齢者の雇用・就労 改正高年齢者就業確保措置 3――高齢者雇用政策の経緯と今回の法律改正内容 。地域が一丸となって、高齢者の新たな活躍を支援する新たな政策と言える。 図表6:「生涯現役促進地域連携事業」の概要 (2)シルバー人材センターにおける取り扱い業務の要件緩和 これは前述の「シルバー人材センターの機能強化(図表5(ⅴ)部分)」の課題を踏まえ、2016年4月から施行される。シルバー人材センターの概要及び取り扱う主な業務は図表7①に示したが、これまで取り扱うことのできた業務は、「臨時的・短期的」(概ね月10日程度まで)または「軽易な業務」(概ね週20時間程度まで)に限定されていた。それが図表7②にあるとおり、これからは『都道府県知事が市町村ごとに指定する業種等においては「派遣・職業紹介」に限り、週40時間までの就業が可能』となる。高齢者の就業ニーズは多様であり、いわゆる「臨・短・軽」の業務に止まらず、それ以上の仕事を求める高齢者も多い実態を踏まえて、このような要件緩和がはかられたのである。 図表7:シルバー人材センターの事業概要及び「臨・短・軽」要件の緩和概要 <参考>雇用保険の適用対象者の拡大(雇用保険法の一部改正) 高齢者の就業に関連する法律の改正としては上記に加え、雇用保険も「65歳以降に新たに雇用される者を雇用保険の適用の対象とする」ように改正が行われている。これは2017(平成29)年1月から施行される(ただし、保険料徴収は平成31年度分まで免除される)。 【次ページ】高齢者の就業支援に向けたその他の動向(参考) ※社員のセカンドキャリア徹底支援!「健康経営」があなたの会社を強くする-ジェロントロジーからの提案 ※生涯現役社会の環境整備に関する一考察~地域における65歳以上の就業促進に向けて ※高齢者雇用政策の展望~生涯現役社会/エイジフリー社会の実現に向けて~ ※生涯現役促進地域連携事業の実態~先進23地域の動向 このレポートについて問い合わせる  関連カテゴリ・レポート 基礎研レポート 高齢化問題(全般) 高齢者の雇用・就労  一般社団法人高齢者活躍支援協議会ニッセイ基礎研究所 2016年06月20日 (前田 展弘) 高齢化問題(全般)  一般社団法人高齢者活躍支援協議会 時代は70歳現役社会から生涯現役社会へ 高齢者活躍支援協議会(通称:高活協)は、「生涯現役社会」の実現を目指して活動しています。 どういうことか。「役職定年後は年収が3〜4割ダウンする。管理職ではないので残業代が発生するが、どうも減った分をカバーするために残業しているらしい。本人も『俺は専門職になったから仕事を回せ』と周囲に言っている。後輩の部長も注意しづらく、頭を抱えている」と話す。 🎈🎈🎈🎈🎈🎈🎈🎈社員全員「業務委託」にした会社に起きた変化。 。 ・。い。、必要の都度勤務※現在、9割以上の方がフル勤務を選択 会社から期待されていることが、明確でないために、本人の モチベーションが低く、周囲からも「何をしているかわからない」 という声もあり。 定年前と同じ業務に就いているが、これまでの経験やノウハウを活 かして、新たな仕事(海外や他部門で)をやりたいとの思いを持って いる人もいる。 役職者は肩書が外れることで、第一線を退いたような意識を持って しまう人もいる。 ベテラン層の意欲・能力を最大限引き出す仕事の渡し方があるの プロフィール田原 孝明(たはら・たかあき)JILPT統括研究員 高齢求職者のニーズに合った求人を人材不足なのに6/22定年退職者を採用したくない企業のホンネ定年退職者の再雇用は人材不足の解決策になり得ると専門家は語る。定年退職者はなぜ再就職への意欲が高く、そのような人々を採用するメリットはどこにあるのか?🎈🎈🎈🎈🎈🎈ベテランは何歳で引退すべきだろうか。フランスや米国では議論が再燃している(注1、注2)。 。改正「高年齢者雇用安定法」における“努力義務”とは? 罰則の有無も解説2012年改正では「65歳までの雇用確保措置」が事業主の“義務”となっていたが、2020年改正における「70歳までの就業確保措置」は“努力義務”とされている。「必ずしなければならない」義務に対して、「努めなければならない」のが努力義務だ。ようやく「65歳」への対応を終えたばかりの事業主も多い中で「70歳」を強制的な“義務”とするのは時期尚早、社会的な合意も形成されていない、という視点から努力義務にとどめられたと考えていいだろう。 だからといって怠っていいわけではない。前述の5つの措置のうち、どれを導入するのか、検討・準備し、具体的なアクションを起こすことが求められる。「何もしない」はもちろん「ひとまず67歳までの継続雇用制度は導入した」でも不十分で、引き続き「70歳までの制度導入へ向けて努力を続ける」ことが必要とされる。 また「高年齢者雇用安定法」はすべての企業に適用されるため、自社に高年齢者がいない場合でも対応する努力義務を負うことには注意しなければならない。 🎈🎈🎈🎈🎈🎈🎈努力義務を果たしていないとしても罰則はないが、行政指導の対象(ハローワーク等からの指導・助言、状況が改善しなければ措置導入の計画作成を勧告、それでも従わなければ社名公表)となることはあるため、真摯に対応を進めたいところである。押さえておきたい「継続雇用制度」のポイント継続雇用する制度としては、「勤務延長制度」と「再雇用制度」の2種が考えられる。「勤務延長制度」は、文字通り、そのまま雇用を延長する制度だ。通常、役職、賃金、労働条件等の変更はない。一方「再雇用制度」では、定年に達した時点でいったん退職扱いにし、雇用契約を再度締結することになる。こちらの場合、役職、賃金、労働条件等は見直されることが一般的である。 事業主および個々の高齢者の事情に合わせて、フレキシブルな契約形態を選択できる「再雇用制度」の方が、より導入しやすいといえるだろう。この「再雇用制度」において配慮しなければならないのが、以下の4点だ。●役職・賃金など処遇の見直し契約社員や嘱託社員などに雇用形態を切り替えて再雇用する際には、前役職から解かれ、それに応じて賃金を下げるという形が一般的だ。ただし、同一企業内における正社員と非正規社員の間の不合理な待遇差を禁止した「パートタイム・有期雇用労働法」などの観点から、過度な賃金カットは避けるべきである。対象となる高齢者の事情、仕事内容、責任範囲などを十分に検討したうえで、労使双方に不満のない契約内容を設定することが求められる。●勤務形態の見直し高齢者の体力、運動能力、健康状態は個人差が大きく、ライフ・ワーク・バランスに対する考え方もそれぞれ異なる。個々の希望や状況に合わせて勤務形態、労働日数・労働時間などを見直すべきである。●特殊関係事業主および他社での継続雇用「65歳までの継続雇用制度」は、自社および特殊関係事業主(いわゆるグループ企業や関連企業)での雇用が条件となっていたが、「70歳までの継続雇用」は他社での継続雇用も可能とされている。その場合、「当該の高年齢者を他の事業主が引き続いて雇用することを約する契約を締結する必要がある」、「可能な限り個々の高年齢者のニーズや知識・経験・能力等に応じた業務内容及び労働条件とすべき」、「継続雇用される高年齢者の知識・経験・能力に係るニーズがあり、これらが活用される業務があるかについて十分な協議を行う」といったことに留意しなければならない。●無期転換ルールに関する特例「無期転換ルール」とは、同一の使用者(事業主)との間で、有期労働契約が通算で5年を超えて繰り返し更新された場合、労働者の申込みによって無期労働契約に転換できるというものだ。ただしこれには特例がある。適切な雇用管理に関する計画を作成し、都道府県労働局長の認定を受けた事業主(特殊関係事業主を含む)の下で、定年後に引き続いて雇用される期間は無期転換申込権が発生しないこととなっている。一方、他社で継続雇用される場合は特例の対象にはならず、無期転換申込権が発生する点には留意が必要である。🎈🎈🎈🎈🎈🎈「高年齢者雇用安定法」改正にあたって企業が準備しておくべきこと厚生労働省では「改正法が施行される2021年4月1日時点で、70歳までの就業確保措置が講じられていることが望ましい」としている。施行後に対応を始めるのではなく、前もって以下の準備を進めておくことが必要だ。●措置の選択前述の5つの措置のうち、どの措置を講ずるか、労使間の十分な協議、個々の高齢者からの聞き取りを済ませたうえで、方針を決定しておきたい。●措置の対象者の設定2012年改正における「65歳までの雇用確保措置」は、希望する高齢者全員を対象とした制度の導入が義務となっていた。一方、2020年改正の「70歳まで継続雇用する制度」などでは、対象者を限定することが可能となっている。ただし対象者基準の内容は、過半数労働組合などと十分に協議して同意を得ることが望ましいとされている。労使間で十分に協議して設定した基準であっても、たとえば「会社が必要と認めた者に限る」「上司の推薦がある者に限る」といった曖昧な基準、「男性(女性)に限る」といった差別的な基準は、法改正の趣旨や他の労働関係法令に反するものであり、不適切とされているため注意が必要だ。●高年齢者雇用状況等報告事業主は、毎年6月1日現在の高年齢者の雇用に関する状況を「高年齢者雇用状況報告」としてハローワークに提出しなければならないが、2020年改正により、この報告書は、70歳までの措置に関する実施状況、労働者への措置の適用状況に関する報告が追加された新様式に変更となった。2021年の報告から対応しなければならないため、早急な準備が不可欠である。●高年齢者が離職する場合の対応離職する高年齢者に対しては、求職活動に対する経済的支援、再就職や教育訓練受講などの斡旋といった「再就職援助措置」を講じなければならない。これまでは「解雇その他の事業主の都合で離職する45歳~65歳」が対象だったが、2020年改正により、65歳以上70歳未満の者や、対象者基準に該当せず離職する高年齢者なども対象として追加された。より幅広い高年齢者の再就職をサポートする必要が生じるわけで、その対応準備を進めておかなければならない。  2021年4月施行「高年齢者雇用安定法」の改正内容とは? 努力義務となる雇用確保措置やその準備、罰則の有無を解説「高年齢者雇用安定法」の制定・改正の背景にあるものとは?「高年齢者雇用安定法(高年齢者等の雇用の安定等に関する法律)」は、その名称の通り、高年齢者の安定した雇用の確保を目的としている。そして2021年における人事領域の大きなトピックといえば、この「高年齢者雇用安定法」の改正法が4月に施行時期を迎えることだ。 同法は1971年に「中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法」として制定され、以後、改称や改正を重ねて今日に至っている。最新の改正が2020年、その前が2012年。この2012年改正(施行は2013年)では、以下の2点が主眼となっていた。 【2012年改正高年齢者雇用安定法における高年齢者雇用確保措置】定年を60歳未満とすることの禁止65歳までの雇用確保措置……以下3つのいずれかの措置を事業主に義務付け(1)定年を65歳に引き上げ(2)65歳までの継続雇用制度の導入(3)定年制の廃止 🎈🎈🎈🎈🎈🎈🎈🎈『令和2年版高齢社会白書』によれば、日本の人口1億2,617万人(2019年)のうち65歳以上の人口は3,589万人で、総人口に占める割合は28.4%にも達している。少子化が進み、高齢者が増え、労働人口が減少している現在、その高齢者を雇用することで労働力を確保しよう。そんな狙いが「高年齢者雇用安定法」にはあるといえる。 また少子高齢化によって深刻な状況に陥っているのが公的年金だ。かつては65歳以上の高齢者1人を10人以上の現役世代が支えていた。ところが上記『高齢社会白書』によると、2015年には高齢者1人に対して現役世代は2.3人。2065年には高齢者1人に対して現役世代は1.3人という比率になることが予想されている。 現役世代の負担軽減と財源確保のため、政府は公的年金の受給開始年齢を段階的に引き上げることとした。だが、これまでの「定年も年金受給開始も60歳」を「60歳で定年、65歳で年金受給開始」にするだけでは、5年間の空白期間が生じる。そこで「高年齢者雇用安定法」に定年の引き上げや65歳までの継続雇用などを盛り込み、「年金を貰える65歳までは働く」という社会を作ろうとしたわけである。 高齢者も、実は労働意欲を持っている。内閣府の調査(2019年)によると、現在仕事を持っている60歳以上のうち、36.7%が「働けるうちはいつまでも働きたい」と回答。「70歳くらいまで」~「80歳くらいまで」を加えると計87.0%だ。また継続雇用する事業主としても、高齢者の豊富な経験、卓越した技術、優れた知見は、失いたくないリソースだといえる。 こうした状況の中で「高年齢者雇用安定法」は、高齢者に働き続けて欲しい社会と、働き続けたい高齢者とを結ぶものとして機能し、運用されてきたのである。2021年4月施行「高年齢者雇用安定法」の具体的な内容とは?2012年の改正では「65歳」がキーワードとなっていたが、これを「70歳」へと引き上げるのが2020年改正の大きな特徴だ。「70歳までの就業確保措置」が事業主の努力義務とされたのである。 【2020年改正高年齢者雇用安定法における高年齢者就業確保措置】対象となる事業主・定年を65歳以上70歳未満に定めている事業主・65歳までの継続雇用制度を導入している事業主 対象となる措置(努力義務)以下の(1)~(5)のうち、いずれかの措置を講じるよう努める必要がある(1)定年を70歳に引き上げ(2)70歳まで継続雇用する制度の導入(3)定年制の廃止(4)70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入(5)70歳まで継続的に以下の事業に従事できる制度の導入  a.事業主が自ら実施する社会貢献事業  b.事業主が委託、出資(資金提供)等する団体が行う社会貢献事業 (4)と(5)は雇用とは呼べないため、今回の改正では「雇用確保措置」ではなく「就業確保措置」となっている。ただし、この(4)と(5)は導入に際して労働組合等の同意が必要なこと、社会貢献事業に該当するかどうかの判断が難しいことなど課題は多く、現実的には(1)~(3)の“雇用”で対応する企業が大半を占めることになるはずだ。 田原 孝明(たはら・たかあき)高齢者現状、読み物やることJILPT統括研究員 高齢求職者のニーズに合った求人を 🎈🎈🎈🎈🎈🎈🎈🎈人材不足なのに定年退職者を採用したくない企業のホンネ 定年退職者の再雇用は人材不足の解決策になり得ると専門家は語る。定年退職者はなぜ再就職への意欲が高く、そのような人々を採用するメリットはどこにあるのか? ベテランは何歳で引退すべきだろうか。フランスや米国では議論が再燃している(注1、注2)。 中高年の給料激減!主要企業のデータ初公開!大企業の5割導入 役職定年の悲哀 高齢者現状、ジョブ型。社員全員「業務委託」にした会社に起きた変化 大企業によるジョブ型導入の相談も増えている 1日あたりの平均労働時間】  ・45歳~64歳:5.3時間 ・65歳~69歳:5.8時間  【1週間あたりの平均労働日数】 ・45歳~64歳:3.9日 
実際の公開ページでは回答部分が閉じた状態で表示されます。

人事に関する問題は社員の採用、定着、成長の3つに帰着します

  • 定年後の再雇用」うまくいく人、ダメな人の差

    管理職で定年を迎えた人ほど早々に辞めるワケこの4月から「高年齢者雇用安定法」が改正となり、70歳までの就業機会を確保することが企業の努力義務となりました 現在は65歳までの雇用が義務化されていますが、そこからさらに5年という期間が努力義務となったことで、すべての企業ではないものの70歳まで会社に残って働ける可能性は増えてきたといっていいでしょう。 ところが現状では、定年延長どころか再雇用でも70歳までの雇用機会を設けているところはそれほど多くはありません。帝国データバンクが今年の2月に調べた結果によれば、定年を70歳まで延長するうえにしたへつずきとばすところはわずか3.4%です。 比較的多いのは70歳までの継続雇用制度を採用するところで、これは25.4%です。その他の制度を合わせても何らかの就業機会の確保を予定しているのは43.6%ですから半分以下です。さらにいえば、これは制度をつくるということであって、全員が必ず70歳まで雇用されるわけではなく、成果や能力の評価によっては雇用されないということもありえます。したがって、望めば誰もが70歳まで同じ会社で働けるというわけではありません 。70歳までの雇用をめぐる昨今の記事やコメントをみていると、「自己評価が甘すぎる」とか「自分の価値を冷静にみるべきだ」という比較的シビアな意見がみられますが、 70歳までの雇用確保への取り組みはまだ始まったばかりです。むしろ、それ以前に現在の雇用延長制度、すなわち60歳から65歳までの再雇用制度にも問題点はあります。再雇用後の仕事に「判断する業務」はない私は、自分自身も定年後に再雇用で少しの間、働いた経験がありますので、実体験からいわせてもらうと、再雇用でうまくいくかどうかの分かれ目は性格とか能力といった要素よりも、もっとシンプルな要因で決まります。結論からいえば、「現業で働いている人」はうまくいくことが多いですが、「管理職」はうまくいかないことが多いのです。私自身、定年前は管理職でしたので、60歳で定年になった後に再雇用で働き始めたものの、結局半年で辞めて自分で起業しました。 でも、これは考えてみれば当たり前の話です。現業で働いている人、例えば製造現場で作業に従事していたり、営業マンとして第一線で顧客開拓をしていたり、あるいは経理で実務をやっていたりという人であれば、自分のやるべきタスクがはっきりしています。もちろん、人によって能力差はあるものの、少なくとも“仕事がある”ことは間違いありません。 ところが、管理職のまま、定年を迎えた人は、とたんに“仕事がなくなる”ことが多いのです。管理職の仕事は「判断すること」です。でも定年後は多くの場合、管理職ポストを外れて一兵卒になりますから、管理職の業務=判断することはなくなってしまいます。もちろん、管理職としての仕事は、判断することだけではありません。自分の部門の業務をスムーズに進めるために上層部への根回しやトラブルが起きたときの対応、 部下の評価といったこともありますが、多くの場合、そういった業務はなくなります。定年後の再雇用において管理職のまま勤務を続けられるのであればいいですが、そういうケースはまだ少ないでしょう。したがって再雇用されたものの、管理職からは外れ、重要な仕事を任されることはまずありません。どんな内容であれ、自分が誰かに必要とされていると感じられれば、働くことに生きがいを覚えるでしょうが、そうでなければモチベーションは大きく低下します。では、管理職の人には定年後の再雇用においても、そのままの立場で残って働いてもらえばいいのかというと、事はそれほど容易ではありません。とくに大企業になればなるほど下から若い人がどんどん上がってきますし、ポストは限られますから、ずっと管理職のままでというわけにはいかないのです。だとすれば現在、管理職の人が60歳や65歳以降も一定の存在感を発揮して働きたいと思ったら、いったいどうすればいいのでしょう。それは「準備すること」に尽きると思います。「準備」というと、定年後に再就職や起業をするのかと思うかもしれませんが、必ずしもそうでなく、会社に残る場合も「準備」をしておくことが大切なのです。では何の準備をするのか?ということですが、それは「自分の部署が行っている業務に対する理解と知識の補充」です。「何を今さら! そんなことぐらいわかっている」と思うかもしれませんが、長年管理職をやっていると実務に関する最新の知識はわからなくなっていることが多いのです。なぜなら、実務は現場の若手がやっているからです。でも同じ会社で、再雇用で働く場合は昔と同じ一兵卒に戻るわけですから、判断する業務は不要で、実務をこなさなければなりません。したがって若手同様に現在の業務に対する最新の知識を補充することは必須です。他の部署に異動するのであれば、現在の業務の知識を覚えても無駄になるかもしれませんが、会社としても60歳以降にまったく経験のない業務に就かせて一から教育するなどということは効率が悪いでしょうから、多くの場合は現在の部署で立場を変えて仕事をすることになります。再雇用後は「老後の初心」を忘れずに働こう実務をこなすための知識を勉強し、その能力を身に付けることは欠かすことができません。「若手じゃあるまいし、今さらそんなことができるか!」という人は再雇用には向いていないと思います。いえ、再雇用だけではなく、転職にしても起業にしても素直に学ぶ姿勢がないと、おそらくどんな仕事をやってもうまくいかないでしょう。 室町時代に能を広めた世阿弥が著した『風姿花伝』の中に「老後の初心」という言葉が出てきます。60歳を迎えてから学ぶことを失わないことの大切さを説いているのですが、まさに再雇用でうまくいくために必要なことは、「老後の初心」ではないでしょうか。自分が会社に入った頃に一から学んだ業務のことを再び学ぶ、そのことに新鮮な気持ちと喜びを覚えることが再雇用で楽しく働ける秘訣だと思います。 50歳以上の社員4割の超高齢化 希望退職に続くシニア追い出し策「日本のホンダ社員に占める、50歳以上の社員の構成比が4割に上る。円滑に社員の世代交代を進めるために導入する」 これは、早期退職制度「ライフシフト・プログラム(LSP)」を導入するに当たって、ホンダ経営陣が管理職社員に向けて発信したメッセージだ。 今年4月に、ホンダは中高年社員を対象にLSPを実施。LSPは、定年より早期に辞めれば、通常の退職金に上乗せした割増退職金が加算される制度だ。早期退職対象者のうち希望する社員には、人材サービス企業による再就職支援など、転職に必要なメニューが用意されている。   「高年齢者雇用安定法」改正…定年後の働き方はどう変わるのか     さらに、社員の成長に連動した賃金制度もつくる。 その上で、経営者には社員の前でぜひこう宣言してほしい。  「人事制度を見直して成長基準と給料を明確にしたために、我が社では、評価と賃金の一致しない社員はもう二度と生まれない」 私は「他社にならってジョブ😊型を導入しましょう」「働かない社員は排除しましょう」といった今の風潮には疑問を感じています。企業は目先の給料や労働分配率だけを見るのではなく、長い目で企業が成長するための人材育成をしていくべきです。真の問題はどこにあるのか、何のためにジョブ型を導入したいのかをはっきりさせることが先決です。
  • ここをクリックして表示したいテキストを入力してください。

    ここをクリックして表示したいテキストを入力してください。テキストは「右寄せ」「中央寄せ」「左寄せ」といった整列方向、「太字」「斜体」「下線」「取り消し線」、「文字サイズ」「文字色」「文字の背景色」など細かく編集することができます。
実際の公開ページでは回答部分が閉じた状態で表示されます。

                  ジョブ型雇用とは
メンバーシップ型との違いやメリデメなど解説 、ジョブ型雇用とは「仕事」に「人」を当てはめるという考え方を基本

ジョブ型雇用とは?|メンバーシップ型との違いやメリデメなど解説 ジョブ型雇用とは「仕事」に「人」を当てはめるという考え方を基本とした雇用形態のことです。ジョブ型雇用では、仕事内容や就業場所、責任範囲や評価基準、報酬などの職務内容をあらかじめ提示し、この職務記述書にもとづいて雇用契約を結びます。職務記述書に記載されていない業務の指示や、就業場所の変更などは基本的には認められません。 ジョブ型雇用の目的は「仕事に必要な人材を雇用する」こと。企業側だけでなく従業員側にもメリットがあります...     ここからしたジョブ型業務委託メリットデメリット業務委託やってる会社人事高齢者の方へジョブ型雇用とは?【メンバーシップ型との違い】メリデメ2023/06/05部下を育成し、目標を達成させる「1on1」とは?スペシャリストを確保したい企業を中心に導入が進められています。目次 [表示する]
 1.ジョブ型雇用とは?ジョブ型雇用とは、職務内容を明文化して従業員を採用し、仕事の成果で報酬を決める雇用制度です。ジョブ型雇用では、仕事内容や就業場所、責任範囲や評価基準、報酬などの職務内容をあらかじめ提示し、この職務記述書にもとづいて雇用契約を結びます。職務記述書に記載されていない業務の指示や、就業場所の変更などは基本的には認められません。従来、日本企業が採用してきた「メンバーシップ型雇用」とは制度として大きく異なります。部下を育成し、目標を達成させる「1on1」とは?2.ジョブ型雇用が注目されている背景ジョブ型雇用はすでに浸透しつつありますが、近年また注目されるようになったのは、2020年に経団連(一般社団法人日本経済団体連合会)が「2020年版経営労働政策特別委員会報告」で「メンバーシップ型の雇用を見直すべき」と公表したためです。そのほかには、2020年4月1日に施行された「同一労働同一賃金ルール」で「同じ仕事内容ならば同じ賃金を支給する」と定めたことや、テレワークでは評価基準を成果に切り替えたことなどが挙げられます。部下を育成し、目標を達成させる「1on1」とは? 効果的に行うための1on13.職務記述書(ジョブディスクリプション)とは?職務記述書(ジョブディスクリプション)とは従事する職務内容などを記載した書類で、雇用契約を結ぶ前に企業が求職者へ提示します。記載項目には以下のものが挙げられ、なかには業務を問題なく遂行するために必要な項目も含まれているのです。ポジションや役職職務目的職務責任職務内容および範囲スキルや資格、経験年数 など4.ジョブ型雇用のメリットジョブ型雇用の目的は「仕事に必要な人材を雇用する」こと。企業側だけでなく従業員側にもメリットがあります。企業側のメリットジョブ型雇用では、企業は求める人材を職務記述書で明確化して採用するため、採用活動や人材育成などでメリットを得られるのです。専門性の高い人材の採用職務記述書で業務遂行に必要なスキルや資格、経験年数などを明確にしているため、条件に合致する、業務に適したスペシャリストを採用できます。企業にとっては、人材育成コストの削減と業務効率化の両面において大きなメリットを得られるのです。雇用のミスマッチ防止職務内容や勤務地などを雇用前に限定しているため、採用後に「希望していた仕事と違う」という理由での退職を防げます。メンバーシップ型雇用では、欠員が出たときなどに担当業務の変更や転勤を命じられることがありますが、ジョブ型雇用ではそのような人員配置ができないからです。ミスマッチが起こりにくいため、採用コストの削減にもつながるでしょう。優秀な人材の育成ジョブ型雇用従業員は人材育成においても効果的です。ジョブ型雇用では求められる役割や責任、能力などが明確であり、仕事の成果が評価や報酬につながります。業務遂行に必要なキャリア形成やスキルアップなどに対して意欲的に取り組みやすいと考えられます。能力の高いジョブ型雇用従業員にマネジメントなどの研修を取り入れると、次世代のリーダーとなりえるでしょう。従業員側のメリット従業員側の大きなメリットは、自分の能力を活かせる仕事に専念できること。評価の基準が成果であるため、報酬が年齢や勤続年数などに左右されない点もメリットになりえます。能力を最大限に発揮ジョブ型雇用従業員は、自分のスキルや専門性を最大限に発揮して仕事に取り組めます。各部門のジョブ型雇用従業員が各々の仕事に専念して成果を上げれば、業務効率や生産性の向上につながります。経営課題の解決や業績の向上などが実現しやすくなるでしょう。評価基準の明確化ジョブ型雇用従業員の評価は、職務記述書に記載された業務を遂行し、求められている成果を上げることで決まります。メンバー型雇用の評価では、上司や人事の主観が含まれたり、人柄や価値観なども加味されたりすることも少なくありません。ジョブ型雇用の評価基準は従業員にとっても基準が明瞭であるため、成果アップへのモチベーションにつながるでしょう。専門性やスキルに応じた報酬の獲得ジョブ型雇用の報酬額は人材市場も考慮して決定されるため、従業員の専門性やスキルが報酬に影響します。年齢や役職などは評価や報酬の基準に含まれません。スキルアップするほど高い報酬を得られるのです。社内ではより高報酬の仕事を遂行できるようになりますし、キャリア形成のための転職などもし🎈5.ジョブ型雇用のデメリット日本で多く取り入れられているメンバーシップ型雇用と比べると、対極的ともいえる雇用制度です。企業側と従業員側には、メンバーシップ型雇用にはないデメリットが生じます。企業側のデメリット企業でジョブ型雇用を導入した際には、人材の硬直化人材流出雇用時のトラブルなどのデメリットが想定されます。柔軟な人材の配置換えが困難ジョブ型雇用従業員は職務や就業場所が変更できないため人員配置に制限が生じてしまい、柔軟な対応が取りにくくなります。たとえば増員や欠員補充が必要になった部署やチームがあっても、ジョブ型雇用従業員へ異動や転勤などを原則命じることができません。事業の縮小や撤退などで部署や部門を廃止する際に、ジョブ型雇用従業員は人員整理がしにくくなります。合意形成が不十分だった場合のトラブル職務記述書の記載内容が不十分なまま雇用契約を締結させてしまうと、のちにトラブルに発展する恐れがあります。「職務記述書に記載されていない業務をやらされた」として、従業員の不満や、最悪の場合は訴訟への発展が懸念されます。業務内容などに変更が生じる場合は職務記述書を更新し、再度合意を得る必要があります。人材流出のおそれジョブ型雇用従業員は、自分の専門性や能力をより高く評価してくれる企業へ転職してしまう可能性があります。特定の職務に従事してスキルを高めた従業員は人材市場価値が高まりますし、ほかの企業も高い報酬を提示して確保しようとするでしょう。キャリアアップや、自社では実現できないスキルアップを希望して他社へ転職してしまうケースも考えられます。従業員側のデメリット働く側のデメリットには、教育の機会長時間労働解雇などが挙げられます。いずれも職務や勤続へのモチベーションが大きく低下しかねません。積極的な自己研鑽が必要ジョブ型雇用従業員は、研修や教育が省略される傾向にあります。「職務を遂行できる専門性や能力を持っている」という条件で採用され、入社後は即戦力とみなされるからです。異動なども行えないため、ジョブローテーションの対象にもなりません。ジョブ型雇用従業員がキャリアアップや報酬アップを目指すには、自主的に学習やトレーニングを積んでスキルアップする必要になるケースもあります。労働時間に対し業務量が不相応成果が評価の基準であるため、ときに労働時間と業務量のバランスが崩れることがあります。「あきらかに勤務時間内に終わらない業務量である」や、「期日までの期間が短すぎて残業しなければ間に合わない」といったケースが考えられるでしょう。このような状況が続いてしまうと、離職や転職してしまいかねません。ジョブ型雇用従業員であっても適正な労務管理が必須です。解雇リスク職務記述書に記載された職務に専従するため、その職務が無くなると解雇される可能性があります。たとえば事業の縮小や撤退などで人員整理が必要になった際、ほかの部署へジョブ型雇用従業員を異動するなどの対処ができないのです。ただし企業が従業員を解雇する際にはさまざまな条件が設けられているので簡単には実施できません。🎈6.ジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用の違い特定の職務に従事するジョブ型雇用に対して、メンバーシップ型雇用は職務内容や勤務地の制限がありません。たとえば新卒者をメンバーシップ型雇用で採用した場合、社内研修などで適性を見極めて最適な職務が割り振られます。しかしその職務にずっと従事するとは限りません。部署異動や転勤といったジョブローテーションや研修などを行って、リーダーやマネージャー、役員などへ育成していくのです。メンバーシップ型雇用のメリットメンバーシップ型雇用は基本的に終身雇用を前提としています。部署や部門を変更できるので、ジョブローテーションなどを取り入れた長期の人材開発がしやすく、事業の縮小や撤退などがあっても雇用を継続しやすい制度になっています。企業は柔軟な戦略人事が実現でき、従業員は安定した収入を得られます。メンバーシップ型雇用のデメリットメンバーシップ型雇用のメリットは、一方でデメリットにもつながります。「簡単に解雇されない」という安心感から、従業員の向上心やモチベーションなどが低下する恐れがあるでしょう。年功序列型賃金制度もあわせて取り入れている場合、企業はそのような従業員にも勤務年数に応じた賃金を支払わなければなりません。一方従業員側は、会社都合の異動や転勤、残業などに応じなければならない点がデメリットといえます。7.ジョブ型雇用の導入事例日本でもジョブ型雇用の導入が進んでおり、大手企業だけでなく中小企業やベンチャー企業などにも広がりを見せているのです。ここでは大手企業3社の事例を紹介します。

 

  • ここでは大手企業3社の事例を紹介します
    70歳 現役生涯現役時代

    株式会社日立製作所総合電機メーカーの株式会社日立製作所ではグローバル人財マネジメントを実現するために、2021年4月からジョブ型雇用人事制度を運用開始。主な施策には以下の3つが挙げられます。デジタル分野に特化した人材の採用職種別採用即戦力となる経験者の積極採用職種別採用とは、新卒者が応募時に希望職種を選択でき、入社後はその職種へ配属する取り組みです。ほかにも全職種の職務記述書を作成し、2024年までに従事する従業員へ必要なスキルを習得する機会の提供という取り組みも進めています。参考NEXT CAREER STORIES株式会社日立製作所参考対談 「ジョブ型雇用」とこれからの人財マネジメント その1 「ジョブ型雇用」の定義株式会社日立製作所🎈富士通株式会社電子機器メーカーの富士通株式会社は、2020年にジョブ型人事制度を導入。対象は幹部従業員です。報酬の基準として7段階の「FUJITSULevel」を設定し、売上や目標達成度、影響力や専門性などによって評価します。同時にジョブポスティング(社内公募制度)も改定しており、レベルを上げるために必要であればポジションの移籍を可能としています。参考富士通と従業員の成長に向けた「ジョブ型人材マネジメント」の加速富士通株式会社🎈KDDI株式会社大手通信事業者のKDDI株式会社は2020年8月にジョブ型人財マネジメントを導入。労働時間ではなく成果や能力、チャレンジなどを評価の対象として報酬を決定します。ジョブ型雇用でありながら、グループ企業などを利用した人材育成を取り入れている点が特徴です。2021年4月に入社する新卒従業員からは、一律としていた初任給制度を撤廃し、能力に応じた給与体制を導入することも決定しています。参考KDDI版ジョブ型人事制度KDDI株式会社8.ジョブ型雇用を導入する際の課題企業にも従業員にもメリットがあるジョブ型雇用の導入を検討している企業も多いでしょう。しかし、職務記述書の作成が難しい採用活動の効率が低下する適した人材が見つかりにくいなどの課題があります。職務記述書(ジョブディスクリプション)の作成ジョブ型雇用を導入する際は、職務記述書の作成が不可欠です。しかし企業によっては、職務記述書を作成するのが難しいでしょう。職務記述書を作成するには、部署やチームなどが現場で行っている業務や責任、遂行に必要なスキルなどを洗い出し、人事部や経営層がこれらを把握しなければならないからです。多くの人手と時間を要するため、これらの作業をやりたくても実行できないという企業も少なくありません。新卒一括採用との非親和性ジョブ型雇用への移行やジョブ型雇用従業員の割合を増やすと、メンバーシップ型雇用の採用活動と比べて効率が悪くなる可能性があります。たとえば新卒者は応募の際に職務記述書の提出が求められるようになり、人事担当者はそれぞれの適性に合わせた人材配置を考えねばなりません。中途採用の割合を増やす場合は、通年的に採用活動を行う必要があります。人材の確保メンバーシップ型雇用の企業が多いと、ジョブ型雇用に適した人材が獲得しにくいという課題もあります。独立行政法人労働政策研究・研修機構の「データブック国際労働比較2019」によると、20年以上勤続している労働者の割合は、日本は全体のうち22.5%を占めています。一方のアメリカは10.3%。ジョブ型雇用が普及しているアメリカでは、キャリアアップなどで転職することが一般的なので、転職市場で優秀な人材を調達することが可能なのです。しかし日本ではまだその域に達していないといえます。ジョブ型メリットデメリットその意味  現状ジョブ型 🎈「高年齢者雇用安定法」改正…定年後の働き方はどう変わるのか  ジョブ型にすると、働かない社員の給料を下げられる?・問1 ITに詳しい人材を特別な高額年俸で採用してもいいですか? ・問2  「こんな安月給では結婚もできない」と若手がぼやく ・問3 ジョブ型にすると、働かない社員の給料を下げられる? ・問4 職務記述書にどんな要素を入れればいいか分からない ・問5 仕事はできるが、勤務態度が悪い古参をどう処遇すればいい? 新卒一括採用、終身雇用など日本企業の代名詞とされるメンバーシップ型雇用。これに対して、欧米型のジョブ型雇用は、ジョブディスクリプション(職務記述書)を作成し、その職務内容に基づいて必要な人をその職務内容に見合った金額で採用します 。 ジョブ型が職務に対して人を付ける「就職」であるのに対して、メンバーシップ型は、人を採用してから職務を付ける「就社」と表現すると分かりやすいでしょう。 雇用の起点が、職務ありきか、人ありきかという違いです。  そして、最近話題のこのジョブ型雇用に変更したら「働かない社員の給料を下げられるのか」と尋ねられることが増えました。 私は「下げようと思えば、下げられるでしょう」と答えています。 ジョブ型は、職種ごとに職務記述書を作成するので、「ここに定めた仕事が十分にできていなければ、今の給料は維持できない」と迫ることは可能だからです。  でも、「社員の給料を下げたいから、ジョブ型を採用するのですか」と私は経営者に聞きたい。 新しい賃金制度を導入する目的は、給料を下げることなのか、それとも社員の成長や定着を促すことなのか。自問自答してください。 また、働かない社員の給料を下げる前に、なぜ社内に働かない社員が生まれてしまったのかを考えるべきだと思います。社員の給料を下げるなら当然。社長の給料も下げて当たり前ではないですか? ある日突然、その社員は働かなくなったのでしょうか。その社員に対して、きちんと働くように会社は十分な指導をしてきたのでしょうか。 もし、働かない社員の給料を下げた場合、必ず他の社員にも影響を及ぼします。「今度は自分の給料が下げられるかもしれない」と不安になるからです。 それ以降、会社に忠誠心を持つことはないでしょう 。組織にとってマイナスであることは明らかです。働かない社員にはこう話すことをおすすめします。「あなたの本来の給料は○○万円です。○○の仕事ができるようになれば、今の給料を維持できます。給料を下げたくないので、○○の仕事ができるように成長してほしい。我々も一生懸命教えます」。 これで社員がやる気になってくれれば、社員も会社もハッピーです。 この説明をするためには、一般職、中堅職、管理職における期待成果、その成果を出すための重要業務、必要な知識・技術、そして勤務態度を明らかにしなくてはなりません。 さらに、社員の成長に連動した賃金制度もつくる。 その上で、経営者には社員の前でぜひこう宣言してほしい。  「人事制度を見直して成長基準と給料を明確にしたために、我が社では、評価と賃金の一致しない社員はもう二度と生まれない」 私は「他社にならってジョブ型を導入しましょう」「働かない社員は排除しましょう」といった今の風潮には疑問を感じています。企業は目先の給料や労働分配率だけを見るのではなく、長い目で企業が成長するための人材育成をしていくべきです。真の問題はどこにあるのか、何のためにジョブ型を導入したいのかをはっきりさせることが先決です。  

     

  • ここをクリックして表示したいテキストを入力してください。

    ここをクリックして表示したいテキストを入力してください。テキストは「右寄せ」「中央寄せ」「左寄せ」といった整列方向、「太字」「斜体」「下線」「取り消し線」、「文字サイズ」「文字色」「文字の背景色」など細かく編集することができます。

17電通タニタの業務委託の例

先日、㈱電通が、希望する正社員を雇用契約から業務委託契約に切り替え 参考:
電通、社員230人を個人事業主に 新規事業創出ねらう
電通は一部の正社員を業務委託契約に切り替え、「個人事業主」として働いてもらう制度を始める。まずは2021年1月から全体の3%に相当する約230人を切り替える。電通では副業を禁止しているが、新制度の適用を受けると兼業や起業が可能になる。他社での仕事を通じて得られたアイデアなどを新規事業の創出に生かしてもらう考えだ。新制度の適用者は、営業や制作、間接部門など全職種の40代以上の社員約2800人を対象に募集した。適用者は早期退職したうえで、電通が11月に設立する新会社と業務委託契約を結ぶ。契約期間は10年間。電通時代の給与を基にした固定報酬のほか、実際の業務で発生した利益に応じてインセンティブも支払われる。適用者は電通社内の複数部署の仕事をするほか、他社と業務委託契約を結ぶこともできる。ただ競合他社との業務は禁止する。電通は「新しい働き方を求める社員の声に応じて制度導入を決めた」と述べ、人件費縮小などリストラ策ではないとしている。
会社にぶら下がってきた正社員定年は70歳に延長
健康機器大手のタニタ(東京・板橋)でも正社員の一部を個人事業主に切り替える制度を導入している。希望する正社員を雇用契約から業務委託契約に切り替えて、個人事業主として働いてもらう取り組みを開始しています。参考:「あえて退社」タニタの選択 社員を個人事業主に 【タニタ働き方改革】個人事業主化で正社員は淘汰される時代へそのタニタが2017年の1月から26人の社員を個人事業主化し、業務委託契約に変えています。タニタ単体では200人ぐらいの会社で、連結では1000人を超えていますが、そう考えると26人は決して多い数字ではありませんが、この26人の正社員が個人事業主に変わり、2017年の初めから働き方改革をしているという話です。これに対して、働き方改革がなかなか進まない会社も多いようです。働き方改革を進めようとしない「保守派」世の中には、保守派というのがどの会社にもいます。 保守派とは何かというと、今までやってきたことを変えたがらない方たちのことです。どの会社もタニタのようなことをできないのは、この保守派の方たちが圧倒的な人数を占めているからです。圧倒的に保守派の人数が多く、どうして今までやってきたことを変えなければいけないのか、「社長それはおかしいでしょう」というようになるのが普通です。これまで。正社員さんがどれだけ会社にぶら下がっていたかというのは、他の中小企業も同じです。
会社にぶら下がってきた正社員定年は70歳に延長
ある一定までは給料が上がっても、それ以上上がることがないという働き方よりは、これからの世の中はどんどん変わっていきますので、絶対に頭を差し出したほうがよくなります。
大企業を中心に終身雇用制が65歳まで法律で決まっていて、さらに今度は70歳まで延長する努力目標が出ました。ですから今までの流れと同じような考え方で、いずれ70歳定年制になると思います。通勤交通費や残業代はもちろん支給正社員は、会社まで来るのですから、通勤交通費を払ってもらって、残業代ももらうのが当たり前でした。我々は会社に拘束されているから、働いた時間は残業代をもらうのは当然です。

私のミスであろうが、関係ありません。会社に拘束されたわけですから、私のミスで仕事時間が延びたとしても残業代をもらって当然です退職金や社会保険、有給休暇や産休・育休まで認められる正社員正社員は、ちゃんと勤めあげたのですから、退職金ももらって当然です。健康保険、厚生年金への加入も当然でしょう。実際、保険は他にも、雇用保険、労災保険、さらに40歳からは介護保険もあり、そして正社員ですから、法律で決まっている有給休暇も産休も、そして最近では育休を男性も取ります。このように、正社員というのは、これだけ会社にぶら下がっていて、その正社員たちの要求を経営者側は全部聞いてきました。タニタの働き方改革がこれからの流れタニタはどうしたかというと、個人事業主化して、これまで従業員にかかっていた費用を全額会社が負担して払ったのです。そうしたら、負担は1.4%増えたそうです。

1.4%負担が増えましたが、業務委託契約の内容も優しくて3年契約、そして今の仕事を引き継げるので、雇用形態が変わるだけです。会社側の負担は1.4%多くなりましたが、この流れはもう止められません。正社員は個人事業主になるという流れ

実際に正社員側の権利要求で、どれだけ会社が本当に苦労しているかということを、経営陣が誰も言わないからです。

大企業の場合は言い難いのは分かりますが、中小企業の経営者はそろそろ声を上げてもいいのではないか、どれだけ会社が大変なことになったのかを考えてほしいと思います。一律に時間では労働を測れない時代たとえば、「私は肉体労働者だからそんなことは関係ないし、考えたくもありません」と言うのも確かにわかります。ところが頭を使っている労働者の場合は、本当に個人差があって、8時間拘束の労働時間で測れません。

工場勤務と全然違い、本当に頭を使って、モノの製造や開発、要するに作業員じゃなくて、仕組みを組み立てたりする人は労働時間が測れません。マーケティングもそうだし、全体の生産性をよくするような仕事は8時間勤務といったものでは測れません。みんなで力を合わせてやっていこうと思っても、今は、力を合わせるような法律ではないのです。

実力のある正社員は選択肢が拡大個人個人が権利を主張するような法律が整備されてしまって、ほとんどがチームの力をそいでいく形になっていますから、これまでのやり方を変えようということです。のれん分け制度のように、ある一定の実力がついた人たちは、個人事業として他の仕事も受けていい人という形にしてはどうかとういう話です従業員も「手足を差し出す仕事」か「頭を差し出す仕事」かを選択結局、労働者側も、これからは手足を差し出す仕事でいいのか、それとも頭を差し出すのかという話しです。「手足を差し出す」働き方というのは、個体差は基本的にはせいぜい倍くらいです。ところが、「頭」の場合の個体差は、何十倍、何百倍も差が出てしまいます。そうすると、給料も大きく差が付くし、頭を使っている人たちの方が、正社員という働き方を選べたり、フリーランスを選べたり、そして会社の経営者を選べたりすると思います。

頭を差し出す仕事につくこれからどういう形で生きていくかと考えるときに、ずっと手足を差し出して、ある一定までは給料が上がっても、それ以上上がることがないという働き方よりは、これからの世の中はどんどん変わっていきますので、絶対に頭を差し出したほうがよくなります。
ここをクリックして表示したいテキストを入力してください。テキストは「右寄せ」「中央寄せ」「左寄せ」といった整列方向、「太字」「斜体」「下線」「取り消し線」、「文字サイズ」「文字色」「文字の背景色」など細かく編集することができます。
メディア.研究学者.による中高年の現状


「退職してほしい」月収32万円・30代サラリーマンも半ギレ…職場の使えないシニアの〈あきれた給与額〉


 職場の使えないシニアの〈あきれた給与額〉 年金の支給が原則65歳からとなったことで、60歳を超えても就労を希望するシニアが増加している。勤務先への再雇用が最も手っ取り早い道だが、仕事や人間関係の面で、難しい問題もあるようだ。実情を見ていく。年金支給は65歳から…増加の一途をたどる「シニア従業員」すさまじい勢いで進展する日本の高齢化。中高年の人たちの多くは、老後資金に不安を抱えている。人生の早い段階から、貯蓄や投資等で老後資金の確保に努めている人もいるが、人生、なかなか計画通りには進まない。そのため、「できるだけ長く働く」という選択肢を選ぶことになる。実際、内閣府『令和4年版高齢社会白書』からは、その傾向が如実に見て取れる。労働力人口のうち「65~69歳」は410万人、「70歳以上」は516万人。労働力人口総数に占める「65歳以上」の割合は、2000年7.6%→2005年7.6%→2010年8.8%→2015年11.3%→2020年13.3%と、ジワジワ上昇を続けている。 就業率の推移をみていくと、「60~64歳」では2011年57.1%→2021年71.5%、「65~69歳」で2011年36.2%→2021年50.3%、「70~74歳」で2011年22.8%→2021年32.6%、「75歳以上」で2011年8.4%→2021年10.5%と、いずれの年代でもこの10年、上昇傾向にある。 役員を除く雇用者のうち、非正規社員の割合だが、男性は「55~59歳」で10.5%、「60~64歳」で45.3%、「65~69歳」で67.8%と、60歳を境に急増。女性は「55~59歳」で59.1%、「60~64歳」で74.7%、「65~69歳」で83.9%と、男性に比べて上昇幅は小さいものの、同じく60歳を境に非正規社員の割合は増えている。60歳の定年を境に、雇用形態を変えて働き続ける人が多いことが読み取れる。 定年後の再雇用だが、こちらは高年齢者雇用安定法で定められており、企業は従業員が希望すれば、基本的に65歳まで雇用し続けなければならない。厚生労働省『高年齢者雇用状況等報告』によると、60歳定年企業において、調査期間(2021年6月1日~1年間)に定年に達した人は37万9,120人。そのうち継続雇用された人は87.1%、継続雇用を希望しない定年退職者はわずか12.7%だった。60歳以降の就労を希望するのは、年金の支給が65歳からというのが大きな理由だろう。🎈「シニアは給料をもらい過ぎ」…20代30.0%、30代27.6%定年後、新しい環境に飛び込むより、同じ会社でなじみの顔ぶれのなか、勝手のわかる仕事を続けた方が、ストレスがないのではないか。そのように思いがちだが、実情はどうも異なるようだ。 まずあげられるのが ポジションの問題。管理職としてくの部下を束ねていた人も、再雇用の立場になれば、仕事内容は軽いものになりがちだ。かつての部下から指示をもらうこともあるだろう。頭では割り切ったも、気持ちがついていかないという人も少なく
。 逆に、肩書もなくなり、給料も下がったにもかかわらず、なし崩し的に、役付き時代の高度な仕事と同じ仕事をさせられ、うんざりする人もいる。 若手からすると、ついこの間まで目上の立場だった人が非正規のポジションとなり指示を仰いでも、なかなか部下のようには扱えない。遠慮しがちになり、ミスの指摘にも気を遣う。しかし、元上司のほうは、元部下たちの気持ちが汲みとれず、適当な仕事を投げ返したり、周囲の空気を読めないままニコニコ自由にふるまったりと、相手の神経を逆なですることも。 また給与面も、これこれこれ若手をイライラさせる原因となっている。厚生労働省『令和4年賃金構造基本統計調査』によると、大卒・男性・正社員「55~59歳」の給与は、月収52.5万円、年収で857.6万円。ところが、60歳定年で非正規社員になると、月収は32.3万円、年収で490.8万円。 非正規となった本人目線では「4割も給与が減っている」ことになるが、この月収は30代前半の「32.1万円」と同水準。賞与を含む年収こそシニア従業員を上回ってはいるものの、退職したシニア、ましてや「イマイチ使えない人材」と同等だとなれば、若手も気分はよくないだろう。 実際、パーソル総合研究所『シニア従業員とその同僚の就労意識に関する定量調査』によると、「私の会社ではシニア社員が給料を貰い過ぎていると思う」という社員が、20代で30.0%、30代で27.6%、40代で20.1%、50代で15.9%。若い社員ほど不公平感を覚えているのだ。 何度も同じ質問を投げかけ「おお! そうだった、そうだった」と、毎回同じリアクションを見せるシニア。 ミスを指摘されても「そうか。じゃ、修正しといて!」と、つい管理職時代のような返事をしてしまうシニア。 🧐「もうウンザリ。使えなさすぎ!」「正直、退職してほしい…」 にこやかに、遠慮がちに仕事を指導する若手たちが、陰で怒り、あきれていることも。 若手と同じステージで働くことができなければ、次第に居場所がなくなり、大切な老後の収入源も失ってしまうかもしれない 

株式で報酬を渡す制度

企業が従業員に株式で報酬を渡す制度が広がっている。譲渡制限付き株式報酬など主な制度の導入数は2022年8月時点で777社と、過去10年で3倍弱に膨らんだ。自社の株価と報酬を結びつけ、株主目線の経営を意識しつつ、企業価値向上に向けた従業員の「やる気」を引き出す。高い流動性を求める東京証券取引所の市場再編に対応する狙いもあり、当面、増加傾向が続きそうだ。株式報酬制度、役員だけから従業員にも対象者が広がってい
役員報酬に株式報酬制度を導入する上場企業はおよそ半数に
長い間、米国などと比べて、日本では役員報酬が低く、業績に連動するインセンティブ報酬比率が低いと言われてきました。しかし、ここ数年で状況は大きく変わっています。日本経済新聞は2021年、株式による役員報酬を導入した上場企業は約1,900社と、全上場企業の半数になったと報じました。

背景には、国を挙げた後押しがありました。2015年には東京証券取引所が「コーポレートガバナンス・コード」(GCコード、企業統治における指針)を公表。この中に、「中長期的な業績と連動する報酬の割合や、現金報酬と自社株報酬との割合を適切に設定すべきである」との一文が盛り込まれました。日本企業は収益性が低い、との批判の声が海外投資家から上がっていましたが、その理由の一つが、役員報酬における業績連動の割合が非常に低いことだと考えられたのです。

自社株報酬制度は、株式給付信託と各種ストックオプション、そしてPS・RS(譲渡制限付株式)の3スキームが一般的です。特に株式給付信託では、自社株式保有による株主目線、業績達成度合いに応じて報酬が連動する設計にすることで、役職員のモチベーションを喚起したり、優秀な人材流出を抑制したり、外部からの人材登用を促すことができるため、企業価値及び株主価値の向上につながります。
従業員向けの現状は?
CGコードの普及とともに導入が進んできた役員向けに追いつくように、従業員向けの株式報酬制度もじわじわと広がりをみせております。
従業員向け株式インセンティブ・プランの導入動向
野村證券の調査によると、2023年5月末時点において従業員向けに株式報酬制度を導入している企業数は915社。
また、インフロニア・ホールディングスのように、中期経営計画策定を契機にインセンティブプラン導入の検討を始めたという企業もあります。中期経営計画達成のためのモチベーションを高めるためにも、株式給付信託をはじめとした株式報酬制度は有効なのです。また、従業員が自社株を持つことで、株式市場に興味を持ったり、株主の気持ちがわかるようになるという点も見逃せないメリットです。ストックオプションや株式給付信託等、各種株式報酬制度の特徴を比較表にまとめています。ぜひご参照ください。従業員向けへと拡大していく第二フェーズに入ったと言えるでしょう。